藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

若い人へ大事なこと。

asahi.comより。
著作権の関係でコピーできないが、イラストレーターの深川直美さんの描く、鉄人28号のような巨大ロボットとそれを操縦する老人の青年?が
「ゆけ!被保険者3号!厚生年金をとらえてうまくワリカンにもちこむのだ!!」
という作画が最高である。
それはともかく。

文中の基礎年金と厚生年間の関係や、また国民年金との統合の変遷、特に人口や産業動態(サラリーマンが著しく増えたなど)に応じて苦肉の策を弄してきた経緯がとてもよくわかる。
まさに「第三号被保険者」というオプションを作りだしたがゆえに、そしてその第三号・・・に多くの主婦が集まったがゆえに、さらに自営業者が減り、国保の加入者が減って財政が(世代間扶養では)支え切れなくなったがゆえの、まあ「先送り的」な策だったこともよくわかる。

一つだけ原因をあげるなら、田中角栄が決断したとされる「世代間扶養への移行」にとどめをさすと思うが、いずれにしても自分たちが今現在も20歳になったら自動的に「支払い通知」がやってくる年金と、また四十歳になったらやってくる介護保険とか、その"導入の背景"は、きちんと正直に説明しておかねば、将来がんばって負担して行こう、という人がますます少なくなるだろう。
もう義務教育レベルから「年金」とか「社会福祉」「税金」という専門の科目を作って若い世代に今の社会の構造を説明する必要を強く感じる。

もう自分の世代くらいでも年金を支払わず「自己責任だけで完結する」という人は少なくない。
それだけ国のシステムに信を置いていないのである。
政治家と、なにより行政の高官は今一度正直に「過去の説明」に心を砕くべきである。
これはもう世代間の信用の問題に他ならないのだから。

(続・お金のミカタ)国民年金救済のあだ花
■基礎年金 無理につなげたので中身はばらばら

 今回は、公的年金制度をわかりにくくしている「基礎年金」について考えます。

 よく、厚生年金は2階建てで、1階が「基礎年金」、2階が「厚生年金」だと説明されます。そして、国民年金は基礎年金だといいます。

 だとしたら、厚生年金の加入者は基礎年金保険料と厚生年金保険料を払っているのでしょうか。でも、給料明細を見ても、基礎年金の保険料は載っていません。また、どうして「国民年金保険料」を払ってきた人が受け取る年金が「基礎年金」になってしまうのでしょうか。

 これは、無理やり「国民共通の年金」を作ったために、制度が複雑になった結果です。

 わかりやすい例をあげましょう。現在、厚生年金保険料の最低額は月給が10万1千円未満の人たちで、月額8389円です。企業負担も合わせて1万6778円を国に納めます。一方の国民年金保険料は1万5250円です。

 約1500円の違いですが、この支払いを40年続けると、厚生年金の人は「基礎年金」が月額約6万4千円もらえて、現役時代の給料に応じて決まる「老齢厚生年金」が月額2万円余り上乗せされます。厚生年金で第3号被保険者の妻がいると、払った保険料は同じでも妻の分として約6万4千円が追加でもらえて、計約15万円になります。

 一方、国民年金保険料を払う人は夫婦なら倍の負担をしなければ2倍の基礎年金はもらえません。厚生年金の本人負担だけで考えると、半分程度の負担で国民年金の倍以上の年金がもらえることになります。これを「国民共通の制度」と呼ぶのは木に竹を接ぐような話です。

 こんな制度ができた原因の一つは、国民年金財政破綻(はたん)を避けるためでした。

 国民年金は自営業者を想定して1961年に作られた制度です。自営業者は所得の正確な把握が難しいため、所得比例の保険料を公平に集めることが困難です。そのため、負担額も支給額も定額を原則として、厚生年金とは別の独立した制度として始まりました。

 当時は農林水産業をはじめ、自営業者が多い時代でした。しかし、日本経済の発展とともに会社で働くサラリーマンが増え、自営業者は減りました。80年ごろには、国民年金の受給者を現役が支え続けられないことがはっきりしてきます。

 そこで生まれたのが「国民共通の年金」という発想です。公務員らの共済年金、民間サラリーマンが加入する厚生年金と合体させれば、当面の国民年金の破綻は回避できます。そこで、86年、保険料はいままで通りに集めながら、支給の時には年金各制度からお金を集める「基礎年金」という共通のサイフを作ることになったのです。

 基礎年金は同時に、サラリーマン世帯の専業主婦の年金の問題も片付けようという「欲張り」な制度でした。

 国民年金は専業主婦も入ることができました。保険料は月額100円から始まり、80年代になっても5千円前後でした。そのため、当時の専業主婦の7割は国民年金に入っていました。そのままでは、サラリーマン夫婦の年金を合算すると、計算上、現役時代よりも収入が多くなる勢いでした。

 そこで、当時の厚生省官僚は厚生年金の夫を持つ専業主婦には、保険料を払わなくても基礎年金が出る制度を生み出しました。その分、厚生年金の支給額は削ったので、保険料負担は変わらず、夫婦合算の年金額も変わりません。足して引いただけのように見えますが、厚生年金に加入する単身や共働きの人たちの年金は、専業主婦の基礎年金分を減らされる「荒業」でした。厚生労働省は「所得がない人にも年金権ができて国民皆年金になった」と説明しますが、「第3号被保険者制度」は、年金財政の立て直しのために咲いたあだ花といえるでしょう。

     ◇

 松浦新(まつうらしん) 朝日新聞生活経済専門記者。共著に「限界にっぽん」など。ご意見・ご感想はbe@asahi.comへ。

この記事に関するニュース