藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

決断の根拠。

国立競技場の建設が迷走している。
そもそも建て替えが絶対だったのか、今となってはもう更地にしてしまっているので問いようもない。
それにしても、そもそものオリンピック招致は必要だったのだろうかとも思う。
スポーツの祭典が日本で開かれるのは名誉には違いないが、その招致が急に決まって以来「オリンピックありき」の議論が独り歩きしている。
"根源的問いかけ"というのはいつも「潰し屋」のような捉えられ方をして忌み嫌われるところがあるが、どうも「五輪五輪」と常に「もう決まったことだから」という理屈が先行している。

経済界などはあざとく「五輪前「までの経済成長に期待」とその目的を隠さぬ興奮ぶりだし、マスコミも国民も何となくそのイベントありきで話を進めているのは身近に強く感じる。
どの大企業も一様に「ポスト五輪」の話をすると「まったく考えていない」という。
今の宴が催されれば、その後については与り知らぬ、という風潮はどこかおかしい。

経済成長が鈍り、内需が減少し、少子化が進む中で国際的なイベントは魅力的だがそれが何度も続くわけでもないことは皆が知っているはずである。
折角、超高齢化する日本について、地方や中央や行政や政治が「いったいどうしようか」と考え出したところに現れた台風の目のような感じで、皆「これまでのことはしばらく棚上げにして」という雰囲気が強い。
いわゆるお祭り騒ぎだ。

少々の特需期待があるのせよ、もともとの日本の政策があってこその五輪でないと、ポスト五輪は悲惨なものになるだろう。
自宅の近所の五輪選手村予定地の荒涼とした風景を散歩していると、地域の開発がそんなに一足飛びに進むものだろうか、との危機感を禁じ得ない。
オリンピックがなくても、自分たちの町がどうなるかということを地元の人が考えないと「イベント頼み」の後の祭りは寂しいものになるのではないだろうか。

新国立競技場「白紙に」、首相表明 今秋に新整備計画
2015/7/17 20:00

 安倍晋三首相は17日、2020年東京五輪パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の建設計画について「現在の計画を白紙に戻し、ゼロベースで見直すと決断した」と正式に表明した。計画を大幅に上回る2520億円に膨らんだ整備費を縮減する。秋までに整備費の上限などを盛り込んだ新整備計画をまとめ、再度、国際コンペを実施して施工業者を選定。20年春までに完成をめざす。

新国立競技場の計画を白紙に戻すと発表する安倍首相(17日午後、首相官邸
 首相は、見直す理由として「コストが当初予定よりも大幅に膨らみ、国民やアスリートから大きな批判があった」と説明した。五輪組織委員会の会長を務める森喜朗元首相と首相官邸で会談した後、記者団に語った。
 19年5月としてきた新競技場の完成予定時期も「20年春までが目安」(下村博文文部科学相)と大幅にずれ込む。想定していた19年9月に開幕するラグビーワールドカップ(W杯)での使用は断念する。
 現行のデザインは建築家、ザハ・ハディド氏によるもので、2本の巨大な「キールアーチ」で屋根を支えるのが特徴。こうした特殊な構造が整備費を押し上げる要因となっていた。
 政府は秋口までにまとめる新たな整備計画で、整備費の上限や新競技場に求める条件などを提示する。同計画に基づき、デザインと設計・施工を一体にした国際コンペを実施して施工業者などを選ぶ。設計から工事、完成まで約50カ月かかるとみている。菅義偉官房長官は17日の記者会見で、7月中の見直し決断が「(五輪前の完成に)間に合わせるのにギリギリ」の時期だったと強調した。
 首相は記者団に「1カ月ほど前から計画を見直すことができないか検討を進めてきた」と明かした。再検討を指示された文科相からの報告を受け、首相は「五輪開催までに間違いなく完成できると確信したので決断した」という。
 首相は森氏との会談に文科相遠藤利明五輪相も加え、早急に新しい整備計画の検討に着手するよう指示した。
 ザハ氏のデザインは白紙に戻る。菅長官はザハ氏側から損害賠償などを請求された場合について「適切に対応する」と述べた。
 新国立競技場の整備主体である日本スポーツ振興センター(JSC)の河野一郎理事長は17日、都内で記者団に「政府の判断を重く受け止めている」と話した。「政府から全契約を止めるよう指示があった」として、ザハ氏の事務所や、9日にスタンド部分の工事を契約した大成建設などに連絡を入れたという。
 森氏は28日〜8月3日にマレーシア・クアラルンプールで開く国際オリンピック委員会(IOC)の理事会と総会で新国立の見直しを報告する。