藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

異性と付き合うように本を読む。

自室を整理していて、必要のない衣類や雑貨を処分する。
しかし一番の問題は本だ。
小説や漫画はもう買わないようにしているが、それにしても「読む本と買う本の差」がひどい。

一日に一冊買い、
読むのは三日に一冊。

これでは借金は溜まるばかりである。

日経のコラムを読んでいて、ふと気がついた。

自分はこれまで、あまりにも、均質に活字を追いすぎていたのではないかと。

コラムでの読書アドバイスはこんな感じだ。

(1)本への「質問」を決める
(2)読む時間を決める
(3)人に説明する前提で読む

つまり、無邪気に活字をそのままに追い、立ち止まったり行きつ戻りつしながら楽しんで読むのか。
それとも「駆け引きで何かを得るためだけの相手なのか。」
それとも「その本」を元に何か別のことをするために読むのか。

何をするにも、「まずあなたはどうしたいですか?」とこれほど聞かれてきたけれど。
足元の読書が、まず読書が"それ"だったのだ。

誰にでも同じ速度で接するのでもなく。
本にも「本付き合い」がある。
週刊誌も漫画も全集もマニュアルも新聞も、皆との付き合い方はきちんと決めて臨まねばならない。

今年の「意識したいこと」のテーマになった。

100%身につく「ずるい読書法」

 本を読むのに時間がかかる。頑張って読んでも内容を覚えていない──。そんな悩みを解消する、素早く読んで身につける4つの鉄則を紹介する。

■鉄則(1) 心構え:読書の質を高める「3原則」を意識する

 「せっかく時間とお金を投資して本を読むのですから、内容を最大限吸収したいものです。そのためには読書の質を高める心構えが大切です」。こう指摘するのは、『読書が「知識」と「行動」に変わる本』(明日香出版社)の著者で、読書講座を主宰する大岩俊之さんだ。

 読書の質を高める方法は大きく3つ。(1)本を読む目的を明確にし、(2)本を読む時間を決め、(3)本の内容を誰かに説明するつもりで読む。以上の点を意識しながら読むだけでも、大切な内容が記憶に残り、しかも速く読めるという。

 本を漫然と読み始めてはいけない。読み方によって読書の「成果」は大きく変わるのだ。

■読書の質を高める3原則

(1)本への「質問」を決める

 本を読む目的を明確にすると、大切な記述を見過ごさず、記憶にも残りやすい。この本を読んで何を知りたいのか。本に対する「質問」を設定する。質問は右の例と同じくらい具体的なものがいい。

(2)読む時間を決める

 「会社に着くまでの30分にここまで読む」といった具合に、読む時間をあらかじめ決めると、ダラダラ読みを回避できる。集中力が高まるため、速く読めて、内容が頭に入る。

(3)人に説明する前提で読む

 本の要点や感想を誰かに説明することを前提に読むと、伝えるために内容をしっかりと咀嚼して理解しようとする。本を読んだら、SNSソーシャル・ネットワーキング・サービス)やブログに感想を書くことを習慣にするといい。

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■鉄則(2) 情報の抽出:重要な「20%」を抽出する

 「大抵の本は、『自分にとって重要な箇所』は、全体の20%しかありません。中でも本のエッセンスと言える部分はさらにその2割。本全体の4%に過ぎない。読書とは、突き詰めればそうした情報を『見つけて、抜き出す作業』なのです。すべて読んで理解する必要などありません」。大岩さんはそう言い切る。

本の概要をつかむと、「丁寧に読む場所」と「捨ててもいい場所」が見えてくる。後者は、斜め読みか、読まずに済ます

 大事な情報を素早く抽出するためには、読む順番が大切だ。本の狙いや主張が圧縮されている「はじめに」、本の構成を俯瞰できる「目次」、結論や読者へのメッセージをまとめた「おわりに」を順に読み、本の概要をつかんでから本編に入ると、スラスラ読める。

 重要だと思った箇所は、本を汚すつもりで線やメモをどんどん書き込む。マーキングは時間と手間をかけないことが大切だ(下の写真)。「本を読む時間がない」という人でも、こうした情報抽出のテクニックを使えば、「素早く」「しっかり」読める。

■鉄則(3) 反復:「20%」の重要箇所を繰り返し読む

脳は覚えた内容を急速に忘れるが、復習を重ねると忘れにくくなる。ドイツの実験心理学者、エビングハウスが発見した現象

 頑張って本を読み、重要箇所を洗い出しても、1度きりの読みっ放しにしていたら、大半の内容は記憶に残らない。本の内容を記憶に定着させるには、繰り返し読む必要がある。

 左の図は、「エビングハウス忘却曲線」という、時間の経過とともに記憶量がどう変化するかを表した有名なグラフだ。人間の記憶は、時間の経過とともに急速に失われていくことが分かる。それを食い止めるには、「復習」が重要だ。復習を重ねるごとに記憶が定着していき、忘却のペースは下がっていく。

 よほどの本でない限り、全ページを何度も読むのは現実的ではない。再読するのは20%の重要箇所だけでいい。言い換えれば、最初に本を読む際に、「繰り返し読むに値する箇所」をマーキングするということになる。

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■鉄則(4) 記録:「読書ノート」にエッセンスをまとめる

 本の内容をよく理解できてきたら、最後に「読書ノート」を作成する。読書ノートには、本のエッセンス、つまり4%の最重要箇所に相当する内容を書き出す。

 「本の要点を文章でまとめる過程で、頭の中が整理されて、理解が深まります。最初は面倒だと感じるかもしれませんが、何回かやればさっとまとめられるようになります」と大岩さんは話す。

 読書ノートにまとめる内容は、(あ)本の基本情報、(い)読書の目的(鉄則(1)で紹介した本への「質問」)、(う)本のエッセンス(「質問」への答えと感想)の3つだ(下図)。

 (う)を書く際の鉄則は3つある。(1)本の要点が凝縮されている箇所は、内容を正確に覚えるためにフレーズをそのまま抜粋する。(2)それ以外の箇所は、後で見返した時にポイントがサッと分かるように、簡潔な要約を箇条書きにする。(3)本全体からどんな気づきを得たのか、言葉や図を使って「自分の感想」を書く。

 読書ノートを見返せば、「どんな本を」「いつごろ」「どうして読んで」「何を学び」「何を感じた」のかが分かる。本のエッセンスはもちろん、その時に自分が持っていた問題意識や考え方まで振り返ることができる。

 時間とお金を投資して得た読書体験をムダにせず、自分の血肉として残すために、読書ノートの作成に挑戦しよう。

大岩俊之さん
 読書講座やセミナー研修などを手けるロールジョブ代表。挫折しない読書法「ゆる速 読書講座」を立ち上げ、人気を博している。著書に『読書が「知識」と「行動」に変わる本』(明日香出版社)、『年収を上げる読書術』(大和書房)などがある。

日経ビジネスアソシエ 2016年3月号記事を再構成]