藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

銀行員だけではない。

エスタブリッシュの代表である銀行員が揺れている。

茹でガエル、というのはよく知られた例示だし、自分自身の過去を見ても覚えがある。
だが、影響がより大きいのは「既存のエスタブリッシュメント」がそれに本当に晒された時だ。

過去も明治維新とか、太平洋戦争とかはあったが、それ以降の波は実に低かったと思う。

これからコンピューターとかAIとかがもたらす革新は「技術がもたらす革新」というよりは、「人が淘汰されること」である。
より「人間なら何をするか」という深いテーマが自分たちに投げかけられているわけだ。

これには自分たち、特に「ホワイトカラー」と言われる人たちは真剣に向き合わなければならないだろう。

少し小器用に意見の集約とか、数値表作りとか、社内統制とか、「いわゆる管理職」を生業にしてきた人たちが根こそぎいらなくなる。

ひょっとしたら企業のリソースの半分以上。
さらに行政のシステムの半分以上。
政治も。

そんな「ぜい肉落とし」がこれから始まる。

ちょっとワクワクする。
自分だって「ぜい肉サイド」かもしれない。
けれど、ぜい肉が落ちて、身軽になるのはいいことだ。

国を挙げてのダイエットがこれから始まると期待しよう。

銀行員「将来に希望が持てない!」若手が流出〈AERA
1/22(月) 16:00配信
銀行がかたくなに守ってきた日本型雇用が崩れ始めた。行員は、残るか、転職市場に打って出るかの選択を迫られている。

その男性が、勤めていたメガバンクに辞表を提出したのは、花形部署である「本店営業部」への異動目前だった。20代後半。周囲から「エリートコースに乗った」と言われていたが、決心したのは「将来に希望が持てなかったから」だという。

終身雇用・高給と引き換えにすべては会社の意のまま。上司、先輩には「絶対服従」。そんな銀行のカルチャーに、違和感を覚えていた。ドラマ「半沢直樹」のように上司に物申すなどありえない世界。

「週末のゴルフの誘いを断れば、翌週の支店長は異様に厳しくなる。支店長に気に入られないと出世できないので、飲み会で部下たちは、競い合うように店のスタッフから皿を奪い取り、上司に料理を取り分けていました」

仕事でもチャレンジすることより、失敗しないことが何より大事という究極の減点主義。一回でもバツがつけばおしまいだ。

「銀行の仕事では主体性は求められないんです。行内で評価される『優秀さ』は、外では通用しない」

出るならいまがチャンスと外資系企業に転職した。

昨年、メガバンクからベンチャーに転じた別の男性(30)は、年収が1千万円を超えると、それに執着して身動きができなくなるからと決断した。営業では大企業を担当し、昇格試験にも合格。キャリアは順調だったが、やはり将来が不安だった。銀行内の業務は非効率的な事務作業が多く、やるべきこと、やりたいことが進まない。意思決定のスピードも驚くほど遅い。こんなビジネスをやっていては、時代についていけないと感じた。

3、4年ごとに転勤を繰り返す人事システムにも納得がいかなかった。5年後、10年後、自分がどこで誰とどんな仕事をしているのか予想もつかない。

「僕は自分の意思でキャリアをデザインしたかった。転職で年収は下がりましたが、満足しています。嫌なことに耐えて高い給料をもらうより、給料が安くても自分でキャリアをつくっていけるほうが、納得感があるし、楽しいです」
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 いま、彼らのような優秀な若手人材が、銀行から転職マーケットに流出している。それは銀行が守ってきた日本型雇用システムが制度疲労を起こしている表れ──。そう指摘するのは、元「リクナビNEXT」編集長で、現在ミドル世代の転職を支援するルーセントドアーズ社長、黒田真行さんだ。

「銀行は終身雇用・年功序列という典型的な日本型雇用モデルをかたくなに守ってきた。山一証券北海道拓殖銀行が破綻した1997年の金融危機から20年間を経ても、雇用維持のために非効率を放置し、構造転換を怠ってきた」

とみる。

超低金利による収益悪化、フィンテックの台頭による銀行業務の代替といった事態を受け、メガバンク3行は昨年、ようやく大規模なリストラ計画を発表した。不良債権処理で赤字決算を強いられた2000年代初頭以来のことだ。しかし、内部の行員たちに対しては「バブル世代の退職や新卒採用の抑制などの『自然減』の範囲内なので、安心して働いて」という説明がされている。これに対し、黒田さんは言う。

「それは、20年かけてたまってきたエネルギーがプレートの境界で反発寸前なのに、『とりあえず明日、地震は来ない』と言っているようなもの。転職マーケットは早晩、動きだします」

支店の統廃合を進めれば、支店長などのポストの減少は避けられない。銀行は50歳近くになったら子会社や取引先に出向・転籍することを慣行にしてきたが、黒田さんいわく、

「残念ながら、銀行出身の余剰人員をもろ手を挙げて歓迎してくれる会社は極めて少ない。銀行が守ってきたこの出向・転籍という人員循環システム自体、崩壊しつつあるのではないでしょうか」

(編集部・石臥薫子)

AERA 2018年1月22日号より抜粋