藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

五十路の本懐(1)

yomiuri onlineより。
*[次の世代に]負の連鎖をどこで切るか
医療保険の予算は42兆円。あと六年で57兆円になるという。
もうこれだけで嘆息ものだが、この先も「なすすべなく」というのはもう失政などというレベルではない。

政治家が悪いのではなく、間違いなく「選ぶ側」が悪い。

医師会がどう、健保組合がどう、介護連がどう、連合がどう。
圧力団体になって我欲ばかり主張するから何も動かない。
40歳以下がシラけるのはあったり前の話である。
 
今すでに高齢の人たちの意見を聞くと「社会保障手厚くあるべし」という人が実に多い。
彼らは高度成長期を生き抜いて「働いた感」が強いのだと思う。
週休1日で朝から晩まで忙しく働いてきた人たちだ。
だから仕方ない。
声を上げるのはその次の自分たち世代ではないか。
今50代・60代の人たちが「全額自己負担」くらいの覚悟を決めなければツケは払えないだろう。
いよいよ自分たちの出番が来る。
(つづく)

医療保険の未来を語る

 
健康保険組合連合会会長
大塚 陸毅(おおつか・むつたけ)
 1965年東大法卒、日本国有鉄道入社。87年のJR東日本発足後、90年取締役。2000年に社長に就任。会長を経て現在相談役。14年から健康保険組合連合会会長。政府の行政改革推進会議議員も務める。中国北京市出身。
TECOT代表取締役会長
島 耕作(しま・こうさく)
 1970年早大法卒、初芝電器産業入社。総合宣伝部長などを経て2002年に取締役。08年に初芝五洋ホールディングス社長に就任。13年からテコット会長。18年から経済校友会代表幹事。山口県岩国市出身。

「現役頼み」今こそ改革

 少子高齢化が進み、日本の医療保険制度が岐路に立たされている。経済交友会代表幹事として社会変革に取り組む島耕作・テコット代表取締役会長と健康保険組合連合会大塚陸毅会長が日本の医療保険制度の将来を語り合った。本紙単独取材。

厳しい健保組合の財政

 日本では高度経済成長期の1961年に国民皆保険制度が創設されました。すべての国民が一定の保険料を負担することで、少ない自己負担で医療を受けることができ、日本の「国民皆保険」は、先進国でも例を見ない素晴らしい制度です。その中心を担っているのが健保組合ですね。
 大企業から中小企業まで、現在、全国に約1400ある健保組合に約3000万人が加入しています。医療費の支払いだけでなく、健康診断や人間ドックなどを通じ加入者の健康づくりに大きく貢献してきました。しかしその健保組合の財政が厳しくなっています。
 その最大の要因はどこにあると考えますか。
 高齢者の医療費を現役世代が「肩代わり」しているからです。例えば、75歳以上の方の場合、病院などにかかった時に窓口で支払う医療費は1割です。残りの医療費の大部分は現役世代の保険料と税金で賄っているのです。既に健保組合では保険料の5割近くが加入者本人ではなく、高齢者の医療費に使われています。今後、高齢化の進展に伴い、「肩代わり」はますます増加することが見込まれます。
 健保組合が置かれている状況は厳しいですね。もちろん当社も例外ではありません。現役世代が減り続ける中、対策を考える必要がありますね。
 ◆2025年には団塊の世代が全て75歳以上になり、日本の総人口の2割弱にあたる約2200万人が75歳以上という超高齢社会が到来する。国民医療費は、2025年度には2015年度比で1.4倍の57.8兆円にまで激増する。
 読売新聞が実施した20代から40代の現役世代を対象にした調査(※)では、2025年には現役世代が負担している保険料のうち高齢者医療費への負担分が現役世代の医療費を上回る、との予測について、「不満を感じる」と「やや不満を感じる」と回答した人の合計が全体の93%に達した(グラフ①)。

高齢者医療の議論を

 国民医療費は増え続けています。高齢者医療費の増加を健保組合が「肩代わり」する構図のままでは、現役世代は納得しないでしょう。「国民皆保険」を守り続けるために、今後は高齢者にも応分の負担を求める、国も必要な公費を投入するなど、本人負担、税金、現役世代の保険料の三つのバランスについて考えていかなければなりません。
 ◆読売新聞の調査では、高齢者医療費を現役世代の負担で賄っていることについて、「負担と給付のバランスを見直してほしい」(37%)が最多で、「制度改革が望まれる」(26%)、「高齢者の負担を増やしてほしい」(17%)と続いた。制度について何らかの形で見直しを求める人が合計で89%に達した(グラフ②)。
 今こそ抜本的な医療保険制度改革を実行するべきです。そのために我々健康保険組合連合会としては、一人でも多くの方にこの問題を知っていただくための努力が欠かせません。
 実は私も2022年に後期高齢者になります。我々一人ひとりが国全体の医療費の大きさを認識して、医療費の伸びを抑えるために個人レベルでも「健康寿命」を延ばす努力が必要ですね。
 ところで、大塚会長は経団連副会長も務められた財界の大先輩です。JR東日本の社長在任中には、2001年に発行した電子マネーの「Suica(スイカ)」の導入に尽力し、2002年には、「完全民営化」も達成されています。
 こうした成果を出し続けるためには何が必要ですか。
 常に新たな夢やビジョンを持つことが大切です。そのための改革に終わりはなく、改革をすれば必ず次の課題が見つかります。まさに「永久改革」です。改革をし続けることで組織も生き残るし、全体の士気も上がり、素晴らしい循環が生まれます。
 今、重要なのは国の夢、ビジョンです。国全体として社会保障をどうするかという議論をもっと活発にしなければなりません。
 大塚会長の改革へのエネルギーと思いを強く感じました。「人生100年時代」といわれる中、主に若い世代が高齢者を支えるといった社会保障制度そのものも見直す必要が出てきますね。世界で「超高齢社会」の先陣を切る日本は、まさに国の形を真剣に考える時期がきていると確信しました。
 
 
 

※「医療保険制度に関する調査」概要

調査期間
2019年1月23日~26日
調査方法
調査会社のパネルを利用したインターネット調査
調査地域
調査対象
男女20歳~49歳の会社員(従業員規模500人以上の会社勤務者)
回収数
調査委託先
マクロミル
 企画・制作 YOMIURI BRAND STUDIO