藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

縮む日本。

日経電子版より。

年金や医療制度の破綻、働き手の減少、老朽化したインフラの維持……。

三月末、政府発表の人口推計では2020年代にも制度破綻が来るという。
ほとんど麻酔をかけて体が刻まれるような「茹でガエル状態」だけれども足下はアベノミクス、といいつつどこか浮かれた春である。
そんな中、企業経営者の発言を聞くと、不気味な感じが強い。
「実際の受注は少し戻ったけれど、好調というにはほど遠い」とか「もう輸出とともに原料費も二割上がって追いついてきた。」「復興予算だけが独り歩きし、その周囲は以前と同じか下がり気味」などなど。
何か嵐の前、これから来る災厄を対策する知恵もなく、焚き火をたいてその周りをカラ元気で踊っているお祭りのような感じがするのである。

これから恐ろしいことになる。
人口推計はそう言っている。

社会保障とか、つまり年金とか生活保護とか、健康保険とかは1/2に。
それらの財源となる消費税は30%に。
所得税は70%に。
その他の固都税なども今の三倍に。

恐らくそのくらい、大ナタを振るわねば財布が破たんする、ということを政治家は恐ろしくて口にできないのである。
そのために近く起きるだろうことは「お金の無価値化」でしかない。
ハードランディングのシナリオへまっしぐらである。
アベノミクスは、もう破れかぶれで最後に催された"お祭り"ではないだろうか。
後年、日本史の中では終戦、高度成長を経て、人口減に差し掛かって起きた最初の破たんの分析としてそんな風に評価されるような気がして仕方ない。

自分たちのことは、真正面から自分たちで考えるしかない、ということを忘れてはならないと思う。

縮む日本、人口減・高齢化 社会保障の改革必須
2013/3/28 0:17ニュースソース日本経済新聞 電子版
 政府が27日発表した2040年までの将来推計人口は、人口減と高齢化が40年を待たず20年代には首都圏を含む日本全体を覆い尽くす姿を浮き彫りにした。年金や医療制度の破綻、働き手の減少、老朽化したインフラの維持……。「縮む日本」の衝撃は遠い未来図ではなく、現実になりつつある。社会の活力を維持するには社会保障から雇用、都市の見直しまで痛みを伴う改革が避けられない。
2040年の日本の姿から見える課題見通し課題高齢化(65歳以上の比率)全都道府県で3割超社会保障や働き方の再設計生産年齢(15〜64歳)人口全都道府県で減少女性や高齢者の雇用拡大、移民の受け入れ検討大都市が高齢化75歳以上の割合が埼玉県と神奈川県は10年の2倍、東京都と大阪府は1.7倍高齢化対応の町づくり、使われない施設の増加子ども(0〜14歳)の減少人口に占める子どもの割合が10%未満の自治体が1割から6割近くに学校の統廃合。子どもを産みやすい環境整備市町村が小規模に5分の1以上の自治体の人口が5千人未満に財政難で自治体の統廃合も。過疎化が深刻化
社会保障、現役の負担増限界
 高齢化は社会保障を大きく揺るがす。高齢者医療や介護は現役世代からの「仕送り」で財源を賄う仕組みが基本だからだ。現状のまま放置すれば若い世代が負担増に耐えられなくなり、いずれ制度が破綻しかねない。
 推計によると、65歳以上が人口に占める割合は2025年には東京都、愛知県などを除く40道府県で30%を超え、最も高齢化が進んだ秋田県は39.5%に達する。40年には東京都も33.5%まで上がり、すべての都道府県が3割超になる。
 西沢和彦・日本総研上席主任研究員は「市町村が運営する国民健康保険は非正規雇用の若年層が多く加入し、保険料を負担できなくなる恐れがある」と指摘する。仕送り方式には限界があり、給付の効率化や高齢者の負担増が避けて通れない。
 75歳以上の後期高齢者が占める割合は10年時点で11.1%だったが、25年には秋田県(23.0%)や高知県(22.7%)など18道県で2割を突破する。75歳以上になると1人あたり医療費は65歳未満の約5倍に上り、介護が必要になる人も大きく増えるので、給付増の圧力は一段と強まる。
 75歳以上の人口の伸びは関東や近畿など大都市圏とその郊外で大きい。特に南関東は市区町村の7割で、75歳以上人口が10年に比べて5割以上増える。在宅医療・介護など高齢者をケアする体制づくりも課題になる。
人口増減が大きい市区町村(2010年から40年までの増減率%、▲はマイナス)増える1福岡県粕屋町29.82石川県川北町24.83宮城県富谷町24.44沖縄県豊見城市23.75愛知県長久手市22.26愛知県日進市16.57京都府木津川市15.58埼玉県滑川町15.19群馬県吉岡町15.010熊本県菊陽町14.6減る1群馬県南牧村▲71.02奈良県川上村▲67.93群馬県神流町▲66.84奈良県東吉野村▲65.85高知県大豊町▲65.36北海道夕張市▲64.47長野県天龍村▲64.08北海道歌志内市▲63.39山梨県早川町▲63.210北海道三笠市▲61.3
■労働力、高齢者も「支える側」へ
 15〜64歳の生産年齢人口の減少は働き手の目減りにつながり、0.5%程度とされる日本経済の潜在成長率を一段と押し下げる要因になる。この年齢層の人口は10年の8173万人が25年には7084万人まで約1000万人減る。40年には5786万人と約3割も目減りしてしまう。
 労働力の減少を補うには高齢者の活用がカギを握る。堀江奈保子・みずほ総合研究所上席主任研究員は「労働力の確保には年齢がいくつになっても働ける社会を築くことが大事」と指摘する。
 元気で意欲ある高齢者には働いてもらい、社会保障を受ける側ではなく、支える側に回ってもらう。「25年までに段階的に65歳まで上がる年金の支給開始年齢と退職年齢をさらに引き上げ、67〜68歳にすることも必要」(堀江氏)。育児と仕事を両立して夫婦が共働きを続けられるよう、保育サービスを整備することも重要になる。
■インフラ、都市機能の集約に活路
 人口減が進めば地方自治体の財政基盤が弱まることは確実で、道路や橋など生活基盤の維持も難しくなる。推計では2040年には全国の2割の自治体で人口が5000人未満になる。
 過疎の市町村は国からの地方交付税に歳入の大部分を依存してきた。ただ国の財政も厳しく巨額の交付税を拠出し続けられるかは不透明。インフラの維持・管理などの財源を確保できなくなる恐れがある。
 40年の人口が702人と71%も減ると推計された群馬県南牧村。空き家の提供などで転入者を増やそうとしてきたが、「有力な企業がないため、働く世代を中心に転出が止まらない」(担当者)。68%減になる奈良県川上村の担当者は「税収がさらに減るのに社会保障費は増える。どう対応すればいいのか」と危機感を募らせる。
 東洋大の根本祐二教授は「住民を1カ所に集約するコンパクトシティーでインフラの保有量を減らすことや、浄水施設の小型・分散化などが行政コストの削減に役立つ」と指摘している。
 総務省は医療や福祉などの行政サービスを共通化する自治体に特別交付税を配り、自治体間の連携を後押しする。横並びで保有してきた病院や図書館などを集約し、維持・運営コストを削減するよう促す。