藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

プレゼンの達人

会話はあとに残らないので、かなりルーズでも許される。
英会話などするとよく分かる。


文法的には相当ブロークンでも通じたり。
これが東大の入試問題などになると、相当に難しい。


もっとも口頭で話しているときに、文法的に完全に正しい文章などで会話するとちょっと畏まっていてくどい感じがするけれど。


それはともかく。


印象に残るプレゼン

先日、ある出版社のプレゼン資料を拝見し、妙に気になる。
何が気になるのかな?
と思うと、「でき」がよいのだ、ということに気づく。


その提案の主旨がすぐれている、とか論旨が明確である、ということももちろんある。


がそのスライドをなんども見るうち、「スキ」がないのだ、ということも発見す。
目次とページの番号振りとか。
説明と図の絶妙な位置関係とか。
各ページの表題、ネーミングとか。


ん。
色づかい。
字の大きさ。


イラスト。
吹き出し


そんな色んなものが、実に細部まで気遣われている。
気になったので「これの作成者はどなた?」と聞くとすかさずリーダが「私です」と答える。


大したものだなぁ。とだけその時は思っていたのだが。
後日。

目配り、気くばり。

そのリーダさんと後日お茶を飲む機会があった。
で、気になることをどんどん訊いてみる。


Q.あのプレゼン資料、何で作ったんですか?
イラストレータ


Q.使うの、難しいでしょ?
「デザイン学校出身の後輩に教わった」


Q.色づかいやイラストのデザインは?
「(イラストの)デザインは基本的に自分で作る。うまくできない場合はスケッチを渡しデザイナに依頼する。色づかいも自分が決める。といってもあまり多色は使わない」


Q.イラストは何種類くらい?
「何種類かは数えきれないが、基本的にそのプレゼンごとに作る。あまり使いまわしはしないので、どんどん増える」


Q.プレゼンごとにイラスト作成? 時間がかかって仕方ないでしょう?
「時間が最もかかるのはストーリーの構成だ。イラストやレイアウトはそれらを表現する技術の問題。どちらも両輪だが、強いて言えばシナリオの出来がすべてを支配する」


何かアドバイス
Q.「というほどのものもないが、一期一会。自分はプレゼンというのはその一度限りの出会いだと思っている。同じメンバーに同じ内容をプレゼンすることは滅多にない。その一回にどれだけのことを伝えられるか、という思いがその場を支配するのだと思う。」


とても参考になった。
そりゃ真剣勝負だと思ってたけど。


気合が違う。
聞けば、そのほかにも、

フォントによる表現の硬軟。
文体。
脚注や注釈の付け方、タイミング。
漢字とひらがな、カタカナの比率(黄金比があるそうだ)。
英語の使い方。
数字の書き方(漢数字か半角数字かなど)
ルビ、強調点。
そしてもちろん句点、句読点の振り方まで。


そして、ゲストがそのページをめくったときの視線の移動や、
自分の身振り、手ぶり
声のトーンや強さ、
視線(アイコンタクト)、
服装、
髪型へとつながる、と。


プレゼンの技術論、はともかく。
その自分の作った書面に対する「一回きりの覚悟」のような気迫が印象的だった。


見習わねば。