さて、がんばってると思ってたサラリーマン時代と、
サバイバルだけが目的だった創業後数年。
そして、迷えるソフト会社としての彷徨に入る。
顧客のために、いかようとも、がソフトの神髄。
なのでどれだけ「優良なユーザー」と仕事をするか、ということがすべてだと思っていた。
友人には「技術ありき」でいわば「世界随一」の技術を目指してひた走る人もいたが、そんな技術も「必ずしも売れる」わけではなく、また時代の変化にも飲み込まれ、マーケットの移り気というか、非情さみたいなものも感じていた。
ので、「いいユーザ」から仕事を受けること、というのが最良の戦略だと思っていたのだ。
だが、そこにも
勘違いがあることを知る。
客との同化
そこで、会社の理念として「イコール・パートナーシップ」というものを掲げる。
「お客」と同じ目線で、システムを開発する。
経営陣と同じく。
というのがその時の心理だった。
それから、いくつかの急成長ユーザにも恵まれ、一見このイコールパートナーは成功したかに思った。
が。
資本主義世界では、結局「会社同士は交わらない」のだ、ということを痛感。
会社同士はしょせん「契約」で結ばれる「約束事」の世界であり、どこまでも一つの目標を共有して二人三脚というのも難しいと知る。
何だ、みんな結局自分が大事なんじゃないか。
と青臭いことを言ってみたところで始まらぬ。
そこで出会ったのが特許だった。
特許の魅力と魔力
特許とは。
(目的)
第一条
この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的とする。
発明の「利用保護」で産業の「発達に寄」与することを。
まあその直線的な理念にも打たれたのだ。
当時はビジネスモデル特許ブームに火が付いていたこともある。
いわゆる「装置」の特許は相当な技術が要るにせよ、インターネットを使った各種の特許はまだ狙い目だ、という空気もあった。
が、魅力と同時に底なし沼に踏み込むような恐ろしさもある。
「特許を権利化すること」とそれを」実際の事業」に使うこと(実施)の間には大きな隔たりがある。
ことに大企業が巨額の予算で、その製品開発の過程で、次々と編み出して行くようなプロセスと違い、個人や零細企業が単独で取得し、独自に売り込みなどするのは筆舌に尽くせぬ苦労を伴う。
世界初の「新規性」「進歩性」を持つ、というナンバーワンの魅力は強烈な動機となるが、それらを事業化するのはまた「産みの苦しみ」と同じくらいの苦労があるのだ。
そして第三層へ
「成長の期待できるユーザ」を見つけるのではなく。
また特許で「世界唯一」は追いかけながら。
次の方針は「自分たちが成長するユーザになること」。
ということは「千変万化のソフトウェア」からある種、訣別することにもなる。
だが何か主軸が欲しい。
それもグラつかない軸が。
システム会社自らが「業」を持つ。
それが一つの回答だと思っている。
その業、に「技術で磨きをかける」のだ。
アプリの原石
業(つまりアプリケーション)は何を選ぶか。
と考えていたところに出会ったのが法律だった。
そこで、マズローの欲求5段階で、より低次の「生存や安全の欲求」に近いアプリを志向することに気付かされた。
より「カタい」。
より社会性も強い。
システム会社でそんな色、を追求しているのが自分の社会人第三層。
まだしばらくこの段階は終わりそうにない。
それほどまだ「未開の地」なのだ。
もっともっと切り開き、ゆきたいと思う。
自分にとっては「黄金のアプリケーション」なのだ。