弁護士が少なくとも263人、就職できずにいるという。
2400人の修習生にアンケートした結果。
ということは割合、根拠のある数字と見える。
来年はさらに卒業者が増えるので、同様の傾向はしばらく続く。
もともと弁護士法という規制があり、難度の高い資格試験があり、結果人数が限られていた「参入障壁」が最も高い職業だった。
「規制緩和」の流れは多少揺り戻すことがあっても、もはや「ま逆」に返ることはない。
法的なサービスを受けたい国民や企業は千万単位で存在するから、経済原理から言って当たり前の話である。
折しも、知り合いの修習生から「いろいろ迷いましたが、東京で開業することにしました」と挨拶状が届く。
腹をくくって
法曹三者、というものの検察と判事(裁判官)は「営業」という概念にはあまりなじまぬ。
残る弁護士。
これまでの圧倒的な供給不足(米の50分の一)の状態ではほとんど必要のなかった営業力、がこれからの課題だ。
顧客が増えれば、「生産性」という概念に目が行く。
生産性、という課題の先には「顧客満足」という評価が待っている。
顧客満足度の高いサービスには徐々に「営業力」という武器が備わってくる。
普通、サービス業であれば、基本でしかないこんな「成長のサイクル」を順当にこなせる法律家は少ない。
プロダクト・アウト(製品ありき)ではなく「マーケット・イン(顧客ニーズありき)」というのは二十年も前から言い古された鉄則だが、法律業界はいよいよそこから出発することになる。
どんどん新しい試みにチャレンジするだろう弁護士が増えてくるようで楽しみでもある。
単なる逆境だと思わず、ぜひ頑張ってもらいたい。
<記事全文>
「弁護士の卵」も就職難!? 未定者が倍増の263人
司法試験に合格し、今年末までに修習を終える司法修習生のうち、弁護士を希望しながら就職先が決まっていない人が263人いることが、日弁連のアンケートで分かった。
前年同期の未決定者は134人で、約2倍に増加。司法制度改革で弁護士数は増加を続けており、日弁連は弁護士事務所などに採用を増やすよう働き掛ける。
アンケートは4−5月に修習生約2400人に実施、1041人から回答があった。
日弁連は「昨年は最終的になんとかほぼ全員が就職できたが今年はより厳しい状況。就職への働き掛けを強めたい」としている。