藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

経済危機の節目。


今週の「日銀短観」。
政府やアナリストの「景気底打ち宣言」を諫めるように、「政府援助以外」の本当の景気回復はまだまだ予断を許さぬ、との堅実な判断。
市場やマスコミは耳に心地よいコメントばかりを抜き書きするのではなく、厳しい現実を正面から考えた方が良いと思う。<記事1>


またアメリカの景気は。
失業率はますます深刻度合を増し、政府の景気対策とか、一部のメガバンク救済と、一般市民の窮状との乖離こそが目立つ。
まず失業率全体が9.5%。
もう1割超え、は免れぬ。


いくら職業を求めても、10人に一人があぶれるという状態は「飢餓的」である。
「普通程度」に勤労意欲のある人が、職にありつけず、食べることがままならないのだとすると、遠からずその「社会秩序」は崩落の危機にさらされる。
今のように、まだ失業者が出始めの状態でもこんな感じだ。


今後、製造業、流通業、そしてサービス業での「リストラ」が進んだ結果が「飢餓的なまま」だとすると、政府はその政治のシステムを維持できないだろう。
ちまたで囁かれる「ハイパーインフレ」で政府の発行するカネが信用をなくすのか、それとも特に職のない若者世代が武装蜂起するのか、ともかく「既存の政治構造下」ではもう政(まつりごと)は成立せず、治世も、税金も、医療も「入れ替え」の新しいものを求める動きにつながるのかもしれぬ。


100年に一度の経済危機、といいながら、今だにその対応は「ヌルめの反省」程度な気がしてしようがなく、それが問題をどんどん先送りして、さらに大きなクラッシュを生みそうな予感がある。


100年に一度の決算はこれから。
見どころ、覚悟のしどころはここからなのだと思いたい。





<記事1全文>

楽観論吹き飛ばした6月短観 企業の先行きに懸念


日銀の6月短観は、景気回復に対する市場の楽観論を吹き飛ばした。
景気動向の目安とされる大企業製造業の業況判断指数(DI)は2年半ぶりに改善したものの、改善幅は10ポイント。
大幅改善もあり得るとみていた市場の期待を裏切った。
景況感の改善は、省エネ家電購入を促すエコポイント制度など経済対策という「補助輪」に支えられた面が強く、日本経済がこのまま自力で回復軌道に乗れるかどうかは、まだ予断を許さない。

 「予想以上の反響だ」。
トヨタ自動車堤工場(愛知県豊田市)関係者からは、ハイブリッド車(HV)の新型「プリウス」の人気にうれしい悲鳴が上がる。
高い環境性能を誇りながら最低205万円という価格を実現したプリウスを生産する堤工場は、エコカー減税の効果もあって大量の受注残に対応するため、フル操業が続いている。


 半導体専業大手のルネサステクノロジもETC(自動料金収受システム)車載器向けの半導体の“特需”に沸く。
ETC利用者への土日祝日の高速道路料金割引が3月に導入され、需要が急増、生産を今年度上期中に3倍増の月産60万個へ引き上げる。


 ただ、こうした話は政府の経済対策の恩恵を受けている分野ばかり。
トヨタでもエコカー減税の恩恵を受けていない工場はいまだに減産が続く。豊田章男社長は世界の自動車市場について「今後2年は厳しい状態が続く」と慎重姿勢を崩しておらず、2010年に稼働予定だった米ミシシッピ工場は建設再開のめどはたっていない。


 先行きに対する懸念は、内需の柱である設備投資に強く表れている。
今回の短観では今年度の設備投資計画が前年度比24・3%減と6月調査としては過去最大の落ち込みとなった。
設備や雇用からは依然として余剰感が消えておらず、中国の需要回復で生産が上向いている化学メーカーも「中国の需要が今秋以降も続くか分からない」(化学大手)と、先行きには確信を持てないでいる。

 5月の鉱工業生産速報では前月比5・9%増と大幅増加した生産も先行きの生産予測調査では6月が同3・1%増、7月が同0・9%増と徐々に伸びが鈍化してきた。
政府は「景気底打ち」を宣言したものの、企業は経済対策による「上げ底」であると認識しており、その効果が持続しているうちに本格的な回復に結びつけられないと、景気が二番底に陥る可能性も否定できない。

<記事2全文>

米失業率、若年層がより深刻に 16〜19歳は24%に
労働省が2日発表した6月の雇用統計で、若年層の失業が一段と深刻になっていることが明らかになった。
年齢別で、16〜19歳の失業率は前月比1.3ポイント増の24%、20〜24歳は0.2ポイント増えて15.2%、25〜34歳は0.4ポイント減ったものの10.1%といずれも二ケタ台。
一ケタ台を維持している35歳以上の層と比べると、若年層がより失業に苦しんでいる現状が見える。

 雇用形態別ではフルタイムの失業率が前月から0.1ポイント増の10.3%だったのに対し、パートタイムでは0.1ポイント減って5.9%だった。
上がり続けるフルタイムの失業率に対し、パートタイムの失業率は4月をピークに2カ月連続で下がっている。


 6月の失業率が9.5%に達したとの発表を受け、オバマ大統領は「何年もかかってここまでひどい状態になった景気は、数カ月ではひっくり返せない」と米市民に忍耐を呼びかけた。

ホワイトハウスのギブス報道官は定例会見で「景気回復の過程で、失業率改善は最も時間がかかる」と述べ「今後2〜3カ月中に、失業率は10%になるだろう」との予想を示した。