藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

オバマ氏の「反乱の夏」

9月12日、米国の首都ワシントンDCに、前代未聞の100万人規模の人々が集まり、オバマ政権による財政規模の急拡大や政府権限の肥大化、これか
ら起こりそうな増税に反対してデモ行進し、国会議事堂やホワイトハウスの周辺を人々が埋め尽くした。

という。これが映像。


この集会(912DC)の規模について、ニューヨークタイムスは「数万人」と報じ、この日オバマ大統領が訪問したミネソタ州オバマ支持のために集
まった人々の数と同規模だと報じた。


半面、主催者や参加者は、100万から200万人が参加したと述べており、参加者の規模に大きな開きがある。
警察は、参加者の数を発表していない。

またいくつかの記事がこれを補足している。
In Washington, Thousands Stage Protest of Big Government - The New York Times
(にしても、そのいくつかはすでに「not found」何か作為を感じてしまう)


マスコミへの反感

最近の世論調査によると、米国民の3分の2は、マスコミはよくウソを報じると思っている。
1985年には、マスコミはおおむね事実を報じていると考える人が米国民の55%だったが、この比率は99年には37%となり、今では29%しかいない。
米国では、不況を受けて多くの新聞が倒産寸前だが、米国民の中には「当然の報いだ」という思いが強い。
この傾向は日本でも同様だ。


そして、オバマの側近の弁は続く。

 米国民の生活は、今後さらに悪化していくだろう。
オバマの経済顧問であるローレンス・サマーズは最近「我慢できないほどの高い失業率が、今後、何年も続くだろう。
経済は回復しても、失業は減らない」と予測を述べている。
彼は要職にいる割には悲観的なことを正直に言う人で、7月にも不況の二番底と失業増を警告し、8月には中産階級に対する増税があるかもしれないと示唆している。
米政府が正式に増税を言い出せば、反政府100万人集会がまた起きるだろう。


昨日、米国は「景気の回復」を表明したばかりだが、一向に回復しない設備投資や、失業率を見ながら「我慢できないほどの高い失業率が今後、何年も続く」と明言する人もいる。
答えは、徐々に、しかし明らかに出てくるだろう。
オバマ氏の標榜し、また採用した財政政策、などは評価もされている。
リーマンショックを引きずる当時は、ベストチョイスだったとも思う。


だが、当時とり得たベストの方法が、結局正しかったのかどうか、というのは別の話。
短期的な国力への依存、というだけでは今回の金融危機は救いきれず、実体経済に「これから本格的なダメージをもたらすだろう」ということは、やはり避けがたいようなのだ。

失業率は、新聞の見出しになる数字では10%を切っているが、職探しをあきらめた無職者を含めた失業率(U6)は17%である。
U6失業率は上昇し続けており、今年3月には13%台だった。
こんな状態なのに、金融界だけは税金で救済され、銀行首脳は桁外れの巨額報酬を受け取っている。
米国民が激怒するのは当然だ。


五人に一人が職を失う。

 当局が巨額資金をつぎ込んでも、米国の金融システムは、まだ悪い状態から脱していない。
経済学者のジョセフ・スティグリッツが9月15日のリーマンブラザーズの破綻一周年に述べた話によると、リーマン破綻後に潰れそうな大手銀行どうしが合併したせいで、米国には「大きすぎて潰せない銀行」が増えてしまい、米金融システムはリーマン破綻前より今の方が悪い状況となっている。


やはり、国力頼み、中央銀行に依存した「維持システム」は長持ちしない。
むしろ、「本当の収縮、あるいは破綻」を先送りだけしてしまった、というのがほん報道の主旨である。


ここしばらくの報道と、抗議集会などの実録記事、そしていろんな周囲の事実から予測していた「事態の悪さ」にもっとも近かったのが当レポートである。


どれが最終的に的確だったか、はしばらくの時間を要すると思うが、ともかくウェブからの多様な報道の一例、としてここに挙げておく。