藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

人生との対峙。

やるべきことが見えてくる研究者の仕事術―プロフェッショナル根性論

やるべきことが見えてくる研究者の仕事術―プロフェッショナル根性論


「研究者の仕事の最高の報酬とは人間的成長である」という一文に感銘を受ける。
もちろん自分は
「ビジネスマンの仕事の最高の報酬とは人間的成長である」と読み替えて。

これは坊さんでも、武道家でも、教師でも、生徒でも、芸人でも、芸術家でも同じではないか。


「○○の仕事の最高の報酬とは人間的成長である」と読み替えて。
ドロボウ、とかでも当てはまるかしらん。(訝)


で話はもっと進む。

10の原則

「研究者としての仕事力をつけるための成長の10のステップ」。
特に英語の表現が面白かったので、それだけ抜粋しておく。
中身の詳細は割愛させてもらうので、ぜひ本書を参照されたい。

1.興味を持てる得意分野を発見する

(Discovery and interest)

しかし、好きこそものの上手なれ。ではないところがミソ。
むしろ「そこ」にこそ研究者としての落とし穴すらある、と著者は言う。このあたりにビジネスマンにはあまりない「研究者ゆえのシビアさ」を感じる。

突出した結果(ユニーク)を出さねばならない、という点においては、一般の職業人と違う取組みが必要なのである。
そしてここで、自分の「強み」を最重要視し、弱点の克服に時間を割くのではなく「強みを伸ばすことに集中する」ストレングス・ベースド・アプローチ、という概念が紹介される。


これにはずい分考えてしまった。
そして「自分で自分の強み」が相当「分かりにくいもの」だと改めて思う。
もちろんそれは自分にはこの世で一番強固な「自分に対する自我」が存在し、自分像をとても歪んだものにしているだろうから。


この「好きよりも得意を優先せよ」というのは、自分たちが職業を選ぶ時、とか
進路を決めるとか、
事業に着手する(起業)とか、
そんな場合にもモロに当てはまると感じた。
何だか商売は始めたけれど、自分だけの強みもなく、水中をもがくような競争の中にハマり込んでしまう、というのはいくらもある話である。


2.最初は自分で学ぶ
(Early self-teaching)
3.師匠を持つ
(Formal education)
4.現場で恥をかく
(Humiliation)


現場で結果を出そうとする。
当然の心情である。
だが、往々にして自分たちは「結果を見せよう」という気にはなっても「フィードバックをもらおう」という視点には立ちにくい。
ここにも自分の自我がある。
敢えて、フィードバックをもらいに行く、という客観的な視点は新鮮である。


5.失敗を恐れつつも、果敢に挑戦する
(Serious attempts at professional improvement)


ここで中谷彰宏氏の言葉が印象的だった。

「人生には2種類ある: 失敗も成功もしない人生と、失敗もするが成功もする人生がある」

成功はチャレンジにしか寄り添ってこない。当たり前だが真言だ。


6.自分の世界で一番になり成功体験を得る
(The beating of local rivals)


自分の置かれた環境で、ひたすら頑張る。
それも大事だが、それだけでは報われない、というところが研究の厳しさなのだろう。
その「置かれた環境」の中でたとえ狭くとも「頂点に立つ」ことの重要性。
それが結局、広い世界でのトップへの道だ、という概念。
これも、ビジネスに置き換えて、何ら違和感はない。
むしろ、最初に十分検討する視点だと感じた。


7.研究者としての自信をつける
(Youthful arrogance)


往々にして、自分たちは謙虚になりがちだが、きちんと自分や自分のキャリアを語る「物語」を作ることを推奨。
これも自分を他人に話す際には、実はとても重要なことだ。
なぜだか、自信がないのか、「オレはこんなことをやってきた」という風にはなかなか話さないものである。
(先日アメリカに行ったときは彼たちはま反対。自分の説明がとても上手かった。これはお国柄もあるのだろうが)


8.井の中の蛙であったことに気付き、打ちのめされる
(Reality check and crashing back down to Earth)


ここで著者は一度「どん底」を経験し、先輩や師に相談することを奨めている。
それで「問題点が整理され、解決の方向すら見えてくる」のだと。


自分は悩み事の相談など、人さまに迷惑なだけ、という哲学めいた感覚を持っているが、ちょっと宗旨替え。
時には「他人サイド」の視点も必要なのか、と思い至った。



9.すべてを知ることはできないことを理解する
(Realizing that you'll never come close to knowing everything)


「真のエキスパートとは、自分は何を知らないのかをよく知っている人」と言う。
自分の限界を知る人、そして自分の未熟な分野については「誰がその分野のエキスパートか」を知っている人であると。
これも、ビジネススキルにおいても、何ら変わらない、重要な指摘である。


10.それでも、自分の新しい見識を世に問うていく
(謙虚ではあるが臆病ではない)