藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

経済政策のリアリティ。


政府の経済戦略がいよいよ出た。
と思ったが。


現在の390万人の失業者にカウンターで嵌めたかのように、雇用400万人創出計画。

おお。
をを。

大丈夫?

2020年までの新規雇用創出計画として、
環境分野で140万人、健康分野で285万人


合計400万人オーバーと。

何かサラっと書いてあるが。
経産省の調査を見てみると、ちょっと古いが(平成17年)、日本のにいるシステムエンジニアは77万人。
そして、自動車製造部門の就業人口も75万人。


IT人材育成 iPedia:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

しかも、ソフトウェア産業などはすでに「成熟段階」と分類され、まあこれからグングン成長する分野ではない、ということ。
ここ20年かかって育ってきたような産業がこれから十年の間に5つも6つも出現するだろうか。
もし可能なら、さながら80年代バブルか、それ以上の熱気になるはずだが、そんな実感は到底湧いてこない。

麻生政権の4月9日


しかし400万人という数字が気になってネットを調べたら、なんと今年の四月の麻生元首相の声明とまったく同じではないか。
太陽光発電」「健康長寿社会」。
その中身は太陽光発電を今の20倍に、とか福祉介護の基金設立で30万人、とか威勢のいいお手盛りの数字がポンポン並ぶ。
今年の四月、では時期的に誰ももうこの政策発表のことは気にしていなかったのかもしれないが、それにしても瓜二つ。


ビジネスの世界なら、この「400万人雇用」に向かって各分野を細分化し、細かくアクションに落してゆくのだが、どこまでの行動力が示されるか見守りたい。
起業の経営計画などでも実感するのだが、あまりに過大な設定は却ってやる気を削ぐものである。
ただ、そんなアドバルーンをぶち上げねばならないほど、鳩山政権が追い詰められているということである。
だって今この時期に「50万人のエコ従業者を」と言ってもだれも振り向いてはくれないだろうし。

ピカピカの「新産業」とは方向性の違うもの。
しかも既存の産業の中でも重要な部分へと雇用を誘導するような策が示されないと、「やっぱりダメだ」とまたガラガラポンで、いつまで経っても足元が定まらないと思えて仕方がない。

一発代逆転、などないのだ、と早く宣言し、ぜひ「積み上がる政策」を示してもらいたい。
それにしても日本のソフトウェア産業は、ついに世界の舞台では主役にならぬままこのまま老いて行くのだとしたら、当事者の一人としても無念である。


なんの。
まだ諦めないゾ。

<産経ニュース>
「低炭素、健康長寿、魅力発揮」 麻生首相、10年後に400万人雇用創出
2009.4.9

麻生太郎首相は9日、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見し、2020(平成32)年まで約10年間の日本の成長戦略構想を発表した。太陽光発電などによる「低炭素革命」や、介護や地域医療の充実による「健康長寿社会」などを実現させることで、今後3年間で最大200万人、20年には400万人の雇用を創出していくと表明した。12日にタイ・パタヤで開催される東アジア首脳会議で提案するアジア成長戦略も説明し、「アジア経済倍増」の目標を掲げた。

 首相はこれまで、経済政策について短期は景気回復、中期は財政再建、長期は成長戦略に取り組むと表明してきた。成長戦略がこの日に発表されたことで、麻生政権の経済政策の柱が出そろったことになる。

 「未来開拓戦略」と示した日本の成長戦略では「ピンチをチャンスにかえる」新たな成長モデルとして「低炭素革命」「安心・元気な健康長寿社会」「日本の魅力発揮」を示した。「官民による集中的な投資と大胆な制度改革」を通じて、今後3年間で40兆〜60兆円の需要と140万〜200万人の雇用を創出、20年には国内総生産(GDP)を120兆円押し上げ、400万人の雇用が新たに見込めるとしている。

雇用創出、環境・健康で400万人強 政府の成長戦略
 政府の成長戦略策定会議(議長・鳩山由紀夫首相)は30日に決定する新たな経済成長戦略で、2020年までの新規雇用創出計画として、環境分野で140万人、健康分野で285万人、合わせて400万人強の数値目標を掲げる方針を固めた。
官民の研究開発投資を国内総生産(GDP)比4%、食料自給率と木材自給率を50%にする目標も明記する。来年春に具体策をまとめる。

 成長戦略は環境、健康、アジア、観光・地域活性化、科学技術、雇用・人材の6つを重点分野とする。このうち環境と健康を、日本が他国に比べて「強みをいかす成長分野」とみて、重点的に育成する