藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

変化はゆっくり、でも確実に。


四十歳を超えた世代にはあたり前の話だけれど。
電気自動車が初めてお目見えしたのは、70'万博だった。
華々しく、まさに「未来カー」といった面持ちで、当時は「自家用車」が大衆化していなかった我われの目には新鮮に映ったことを思い出す。
(あの時、パナソニックかどこかの出し物で「人間洗濯機」があったのだが、これは一向に現実化していない。しそうな気配もない。私はあれと「自動歯磨き機」を心待ちにしている。少しくらいなら研究費を負担したいくらいである。まあそれはともかく。)


ここ三年の「あっ」という間のトレンドの中で、今やエコカーに無関心なメーカーはほとんどない、というくらいにまで「常識」が変わってきた。
ハイブリッドカー」というものにしても、まあ内燃機関と電池を使った「一時しのぎ」的な産物なのだろうな、と多くの人が捉えていたようである。
が、「ハイブリッドカー時代」が「ディーゼル」「ガソリン」に続いて車のスタンダード技術になり、その後に「もしかしたら電気自動車(EV)の全盛時代がくるのかもしれない」という感触になってきた。


時代のさ中にいても、技術の方向がどちらに向いて行くのか、ということを正しく見極めるのは難しいものである。

新技術に気づかない。


それにしてもハイブリッドカーの誕生する様子を目の当たりにしていても「これがこれからのスタンダードだ」とはなかなか気付けないものである。


そういえば。。。
思い返せば、この四十年ほどの自分の「触れてきた世界」だけを見てもそうだ、と気づく。
インターネットしかり。
携帯電話しかり。
無線LANしかり。
ブルーレイ,DVD,LDしかり。


中学のころ、ピアノの先生は大そうなレコードの蒐集家で、特にアナログレコードの摩耗(ピックアップの針がレコードの溝を削り、段々音が悪くなる現象のこと。だからみな大事なレコードは二枚買いしたり、大事なレコードはあまり聞かない、という矛盾した行為にしばられていたのである)を嘆いておられた。


自分は最新のプレスリリース(パナソニックだったかな?)で「先生、レコードに針を乗せないで音が出るレコードが出るらしいで」と情報提供したら「アホなこというてないで練習しなさい!!」と結構な剣幕で怒られたのを懐かしく思い出す。
でもその先生が、レッスンの帰り際「それがホンマやったらちゃんと教えて!」と言い残していたから、「レコード盤面に針が触れない」いわゆるデジタル技術は、すぐ足もとにあっても結構「信じられない技術」だったのである。


携帯電話も。
最初は大きめのトートバックくらいの、バッテリと送受信機のセットを持ち歩いていたのが、あっという間に単行本サイズに。
その「耳元に単行本一冊」の大きさになった時代にさえ「この携帯電話が、そのうち名刺サイズくらいになる、という人がいるらしいぜ」というのは自分たちの「軽い笑い話」だった。
そんなものが実現して、もう十年ほども経とうとしている。

時代を感じる力。


そんな目で反省してみると、自分たちは今なお、「技術の進むまっただ中」にいて、しかしなかなかそうした「流れ」は掴みきれないでいる、と見た方がよさそうである。
いま隆盛を極めるインターネットも、十年前に商用ベースのインフラになる、という人は少数だった。

今のインフラに見えるネットワークも、近い将来は「別のものになっている」ということを考えてみたいと思う。

先人の言う「未来を最もロマンティックに、しかし正確に予想するのはSF作家である」という言葉は実はかなりの真言かもしれない、と思う。

「今」から予想する「本当の未来」は実はそんな「想像を膨らませた先」にあるのがこれまでの歴史なのだから。


さあ、未来を予想して見ませんか



asahi.comより>
日産、10年ぶりHV 「フーガ」投入 先行2社追う
日産自動車が10年ぶりに自社開発のハイブリッド車(HV)を発売する。
日産が力を入れる電気自動車(EV)は価格や設備面で普及に時間がかかるため、しばらくは環境対応車の主流になりそうなHVに再び参入。
先行するトヨタ自動車やホンダを追う。

新しいHVは、大型セダン「フーガハイブリッド」。
11月2日に発売する。価格は税込み577万5千〜630万円。

日産はトヨタとHV技術で提携しているが、新型車の技術は日産の独自開発。
小型で容量が大きいリチウムイオン電池を積み、電気モーターだけで走行する時間が長くなるように設計した。
燃費はガソリン1リットルあたり19キロ。
ガソリンエンジンの同型車の2倍の距離を走ることができ、小型車並みの燃費水準にした。


志賀俊之最高執行責任者(COO)は記者会見で「究極のエコカーであるEVと、極限まで効率を高めた内燃機関の普及が日産の環境戦略の二つの柱」と説明。
12月にEV「リーフ」を発売するが、ガソリンエンジンと電気モーターで動くHVの拡充やガソリンエンジン車の燃費向上にも力を入れる方針を示した。


日産は2000年に「ティーノハイブリッド」を100台限定で販売したが、その後HVは国内で発売していなかった。
1990年代末の経営悪化から回復途中で、開発費がかかるHVを投入する余裕がなかったためだ。
02年にトヨタとHV技術で提携し、07年に北米向けに発売したHVはトヨタの技術を使った。


経営が改善に向かった04年以降、HV開発を本格化させ、今回、ようやく独自のHV発売にこぎつけた。
「特許などでトヨタの技術に触れる面はほとんどない」(開発担当者)という。

 
日産は電気モーターだけで動くEVを次世代の環境対応車の「本命」と位置づけている。
ただ、EVはまだ高価で、充電設備も限られる。
一方、HVはトヨタの「プリウス」が大ヒットし、ホンダの「インサイト」も合わせた09年度の販売台数は37万台と、新車販売の1割弱を占める。


日産は、EVは20年に新車販売の1割になると予想するが、逆に9割は内燃機関を使った車が残る。
幹部は「今後は多くの車がエンジンと電気モーターの組み合わせになる」とHVの普及を認める。

 
志賀氏は26日、「HVはさらに車種を拡大する。
他社への供給もオープンだ」と語った。
トヨタは高級車「レクサス」などにもHVをそろえ、ホンダは159万円と低価格の「フィットハイブリッド」を発した。
日産の再参入で、HVは国内大手の三つどもえの競争になる。(江渕崇)