藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

軸をブラさず。

本当にグローバル化してしまうと製造も販売も「その国」に移ってしまい、必ずしも「国産メーカー」というのが正しい表現でもない昨今。
それでも国同士の「攻防」は続く。
各国の規制政策を「ゲームチェンジ」と称して表現するのは面白いが当事者は大変だ。

というか、そう思えば経済界、産業界は相当「政治」に引っ張られる。

自分は政治家ではないので、そういう風に政治を見たことはなかったけれど、補助金とか規制とかエコとか売電とか、ここ最近でも「ゲームのルール」に大手も杓子もみんな引っ張り回されていることに気がついた。
数年前のソーラー発電とLEDの補助金ブームは記憶に新しい。
今思えばみっともない感じがする。

今は医療とか介護、農業などが中心だろうか。
こういう「ゲーム」を見る目も大事かもしれないが、あまり「それ中心」で右往左往しても長続きしないなぁ、というのが正直な感想である。
できれば「ものづくり」とか「消費者目線」を中心に据えて、やれ追い風だ、向かい風だ、とあまりうろたえないようなことを仕事にしたいと思う。

とはいえ、世の流れって確かにあるよねー。

クルマ異次元攻防(3)エコカー、笑うのは? 変わる規制 EVに風
2016/8/2付日本経済新聞 朝刊
 4月の北京モーターショー。エコカー戦略の中心にハイブリッド車(HV)を据えてきたトヨタ自動車が一転、プラグインハイブリッド車(PHV)の投入を発表した。中国政府の環境規制が変わり、普段は電気自動車(EV)として走り、バッテリーが切れた場合にガソリンエンジンで補うPHVとEVに1台あたり最大100万円の補助金を支給することを決めたからだ。トヨタが強いHVは補助対象から漏れた。

政府の求めに応じて、現地生産した基幹部品を初めて搭載した新型HVを発売した直後の政策転換。手厚い補助金の支給で中国でのEVとPHVの販売台数は2015年には前年比4倍の33万台と急増。世界最大の電動車市場となった。トヨタのHVの販売台数は年間3万台にすぎない。さすがにトヨタも対応せざるを得なかった。

高まるハードル
米国でもトヨタは試練に直面している。同国最大の自動車市場、カリフォルニア州。17年発売モデルから同州の環境規制が強化され、HVがエコカーとは認められなくなるからだ。同州は段階的に規制のハードルをあげ、販売台数に占めるEVや水素を使う燃料電池車(FCV)などの比率を25年に22%まで上げるよう求めている。目標値に届かない場合、罰金を払うか、他社が超過して達成したクレジット(排出枠)を買い取らなければならない。

トヨタは14年末に初の量産FCV「ミライ」を発売したが、生産能力に限りがあり15年は初めてクレジットの買い手に回った。一方、EV専業のテスラモーターズは16年1〜3月にクレジット取引だけで5700万ドルを稼ぎトヨタにも売ったとみられる。

およそ半世紀前の1970年。米国は当時、世界で最も厳しい排ガス規制とされたマスキー法を制定した。業界では達成不可能とされたが、ホンダは「CVCCエンジン」を開発、最初にクリアした。この快挙が後発のホンダが世界で躍進するきっかけとなった。

 新たな環境規制一つで業界の勢力図は変わりうる。規制は「ゲームチェンジャー」としてメーカーに開発競争を促す一方、外国メーカーの勢いをそぎ、自国の車産業を育成するための手段として各国政府がしばしば利用する。

古く新しい攻防
 軽自動車の燃費不正の発覚から3週間で三菱自動車への出資を決めた日産自動車カルロス・ゴーン社長は三菱自の魅力を「東南アジアでのブランド力」と説明するが、もう一つの狙いは同社のPHVの技術だ。この数年さえなかったゴーン氏の猛進。世界の規制の変化が「攻め」への転換を同氏に促した。

 「第3のエコカー」として低燃費のディーゼルエンジンを売りにトヨタと世界トップの座を競った独フォルクスワーゲン(VW)。しかし、そのディーゼルエンジンは規制を上回る窒素酸化物(NOx)をまき散らしたとして、147億ドルもの和解金を米当局などに支払うことで和解した。不正の背景には電動化への遅れと高まる環境規制への焦りがあった。VWはディーゼルに代わり、遅れていたEVの開発に急ピッチでかじを切る。

 刻々と変わる環境規制。国によってその内容も異なる。「ゲームチェンジ」にいかに迅速に対応できるか。古くて新しい攻防が進んでいる。

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