藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

アーティストの力。


松任谷由実が36枚目のアルバムを発表。
ユーミンは言う。

。「なくしたものを懐かしむのはぜいたくな感情。つらい思い出は消去しがちだけど、それをずっと持っていられる人は強い人。

そして、もうデビューからは40年近い。
57歳で再び全国ツァーを行い、再びファンの前に「永遠のユーミン」である彼女は肉体的な努力も欠かさないという。

「ボディーラインはメロディーライン。たるみは表れると思う。同時代を生きてきたファンは、もしかしたら私の老いや情けない姿も見たいかもしれない。でも、ステージではそんな現実感を見せたくない」

初代のアイドルは、おそらく「永遠のアイドル」であることを決心したのだろう。
そしてそれを可能にする自らの才能を同時に見つけたのだろうと思う。

体もたるまないこと。

「ボディーラインはメロディーライン。たるみは表れると思う。同時代を生きてきたファンは、もしかしたら私の老いや情けない姿も見たいかもしれない。でも、ステージではそんな現実感を見せたくない」

そして、初代のトップミュージシャンは、今なお未踏の領域に挑戦している。

「50代の壁って、きっとある。地声も低くなるし。でも、必ずや越えます。
枯れたシックな方向に行くのは70を過ぎてからでいいかな。まだまだファンタジーの世界を提示できる。もう3ラウンドぐらいはいかせてもらう」

ユーミンの時代はもう「3ラウンド」くらいは平気で続く。
若手はその本当のエッセンスを吸収しなければならないのではないだろうか。
ユーミンは、やはりただものではない。


大人の恋、ユーミンは歌う 新譜発表「50代、壁越える」
シンガー・ソングライターとして第一線を走り続ける松任谷由実が、36枚目のアルバム「Road Show(ロード・ショー)」を発表した。全11曲に表現した銀幕のヒロインのような大人の恋愛の世界を、15日から始まる全71公演の一大全国ツアーで体現する。


 「ひとつの恋が終るとき」で始まる今作は、抑えたテンポでさまざまな人間模様を歌う。「曲を作りながら浮上したのが、ロードショーというテーマ。私の中の永遠の子供が往年のキャサリン・ヘプバーンやベティ・デイビスに対して抱くときめきがそこにある。メランコリックでアンニュイな、ちょっと複雑な大人のストーリー」


 締めくくりは、どんなに疲れてみじめでもあなたとならと歌う「ダンスのように抱き寄せたい」。全編に喪失の痛みがほの見える。「なくしたものを懐かしむのはぜいたくな感情。つらい思い出は消去しがちだけど、それをずっと持っていられる人は強い人。そんな精神的に大人な人たちに降る雨の質感や彼らのしぐさに、いくつもカメラを向け、映画監督のような視点で編集した」


 夜明けの空の濃淡のように、色彩が微妙に移り変わるようなコード進行も、変わらぬ聴きどころのひとつだ。


 「もともと作曲家になりたくて曲を作り始め、曲には絶対的な自信があった。つねに自分の歌声を頭の中で響かせながら作り、曲と声は密接にからみ合っているが、十数年前、このままでは思い通りの高音やニュアンスで歌えなくなると危機感を持ち、ボイストレーニングに力を入れるようになった。スポーツ選手のフォーム改造のようなものですね」


 57歳で一大全国ツアーを可能にし、スタイリッシュなファッションも難なく着こなすのは、1日8キロ走る努力のたまものだ。「ボディーラインはメロディーライン。たるみは表れると思う。同時代を生きてきたファンは、もしかしたら私の老いや情けない姿も見たいかもしれない。でも、ステージではそんな現実感を見せたくない」


 マイケル・ジャクソンになりたいのかもしれない、という。


 「50代の壁って、きっとある。地声も低くなるし。でも、必ずや越えます。枯れたシックな方向に行くのは70を過ぎてからでいいかな。まだまだファンタジーの世界を提示できる。もう3ラウンドぐらいはいかせてもらう」(藤崎昭子)