藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

技の上達

技を作り出す力。

よくプロの音楽家が「子供は無心に演奏できる」というアドバンテージがあるけれど、「考えて聴き、そして演奏する」というのは大人が絶対に有利である、と仰る。「ためらいや気負いなく演奏する力」と同時に「分析し、考え、ストーリーを持って演奏する」と…

音楽の先生から「作品の解像度を上げなさい」としばしば指導を受ける。 「解像度」とは"いい加減さのない度合"のことである。具体的には主題の4小節×2、のようなものを「徹底的にマスターし切るかどうか」というような「練習のメソッド」のことである。 ま…

学習成果と密度。

単語の記憶系の学習などは、忘却曲線との戦いで、「数多い範囲を数多く繰り返す」というのがコツだという。 音楽の練習をしていて思うのは、これと反対。 やはり記憶系の学習というのはその「量」が勝負なのであって「一つ一つへの理解の深度」というのは求…

高みの追求ということ。

アンドラーシュ・シフ 演奏技術とは、何かを表現する手段に過ぎない。 その技術とは・・・ 1.自由に曲想をつけることを可能にするカンタービレの技術 2.複数の旋律線を同時に演奏することを可能にするポリフォニーの技術 3.多様な音色を奏でることを可能にす…

アマチュア考。

人への説明や報告。 ニュースの解説。そんなものの上手な人と、下手な人がいる。 同じテキストの情報を目にしても、「見えているもの」が歴然と違うのだ。 「○○国と△△国の交渉が決裂しました。」という事実を聞いて、それが当事国同士の利害だけの問題なのか…

基礎に戻る勇気。

評判の受験参考書にも、よく「中学レベルからやり直す」というキャッチフレーズの物があり、またあながちそれが的外れでもない。 人の見栄とか常識というのは、実はとても根拠のない物であり、「最短距離で目的地に着く」ということすらなかなかままらないも…

急がば回れ、しかなく。

九州の片田舎に住む友人は、東京の喧騒を見て「とても住んでいられぬ」と嘆いている。 でもそんな彼も、大都市圏の「来日アーティストの多さ」には舌を巻く。 彼はオーストリアとかウィーンとかに住んでいたが、それでも「東京ほど世界中からアーティストが…

それこそ神髄。

音楽のレッスンももう57回目。 あ、というか"アア!"という間の出来ごとである。 月二回としても四年超。 月一回なら六年分か!はぁぁぁ。(ため息) なんで「音楽のレッスン」であって「ピアノのレッスン」ではないか、というと、実はピアノを通して 「音楽へ…

アーティストの力。

松任谷由実が36枚目のアルバムを発表。 ユーミンは言う。 。「なくしたものを懐かしむのはぜいたくな感情。つらい思い出は消去しがちだけど、それをずっと持っていられる人は強い人。 そして、もうデビューからは40年近い。 57歳で再び全国ツァーを行い、再…

ダ・ヴィンチ展、今日まで。売店に気をつけろ。

※出口のスーベニアで、なんと2億DPI!の解像度を駆使したモナ・リザと最後の晩餐が販売されていた。 最後の晩餐は30万円という高額だったが結構購入者がいるようで、近くに控えているキュレーターと思しき女性が、「これだけのものはもう作れませんよ」と理性…

究極の人たち。

普通に生きていても、自分の思うとおりに事が運ぶ、とばかりは限らない。 当たり前である。 自分の周囲にあるものはすべて「物」であり、自ら勝手に動いたりしない、のならかなり自分の「思うまま」になるだろうが、それだと自分の「手の届く周囲」以外はお…

謳うこと。

音楽は難しい。 音楽に限らず、芸術というのは全てそうなのかもしれない。 「芸術」とはよく名付けたものだと思う。 とそんなことをこの年にして知ることになった。 原因は音楽のレッスンである。 ただし、今思い返せば、小林秀雄とか、吉田秀和とか言った巨…

道と人生。

オリンピックの金メダリストにせよ、イチローにせよ、その「一流性」を自分たちは好み、その栄光を分析して「何か」を得ようとする。 ヒーローにあこがれるのは庶民の常、とはいえ同じ時代を生きている人間としては(だからこそ)興味の対象としての好奇心は尽…

終わりのないもの。

関西地方ではトイレットペーパーは「減りの少ない一枚ロール」が主流だという。 一方東京では「二枚重ね」「三枚重ね」の売れ行きが好調なのだそうだ。 ははぁ。 東西の違いはともかく。 「トイレットペーパーは必ず終わる」。 つまり取り換えねばならない。 …

ベートーベンの底なし沼。

いまさらながらに。 年を取ればとるほど、「一から出直し」みたいなことは、正直辛い。 けどそれでもやろう、と思って四十過ぎて音楽に挑みだした。 毎日、基礎練習からしなければ上達はない。 だが一日で充てられる時間は限られている。 気持ちは結構焦るが…

達人域。

バンクーパのスケルトン競技の日本代表、越選手は45才。 その名も公式、「オヤジの星」だそうである。(憮) オリンピックを見ていて、ふと思う。 姿勢。 姿勢には多分二つあって体の姿勢と、精神の姿勢。 精神の話は、またごっつ深いので、それはさておき。…

道は果てなく

産経新聞のよさは、報道でもなく、評論でもなく、「芸術家へのアプローチと取材」にあるのではないか、と自分は思う。 日本人は(多分、歌とか、鍵盤とかに比して)弦楽器が得意だとはよくいうけれど。 また現れた天才少女の進化の過程。 「ドイツではどこか緩…

技術の底力。

ベトナム、中国、EUで採用され始めた新幹線。 技術の確かさは折り紙つきのようで、 ついに「E5系、最速320キロ披露」ということらしい。 安定的に走行でき、しかももちろん死者ゼロ、という驚異的な記録は、知らぬうちに「世界一」の技術水準を知らしめ…

頭で聞くこと。

音楽なども。 その世界に入れば入るほど、「体で覚える部分」というのは表層的なのだとわかる。 一方重要なのは精神部分、なんである。 頭で弾くとか、頭で聞くとか。知らなかった。 若くして「そんなこと」が表現できるのは、そんな才能がある人なのだ。 そ…

芸術家の矜持。

四十を過ぎ、芸術の深遠の淵に遭遇する度に、恐れ入る。 内田光子さんに「ナイト」の称号に伍する「デイム」が与えられるという。 エリザベス女王からの授与。 すごい誉れである。 ピアニスト内田光子さんに大英帝国デイム 英女王、直接授与へ 英政府は13…

スラーの秘密。

ジャズの練習があまりに興に乗らぬゆえ、そしてそういえばクラシックも「行き詰った感」があったので、レッスンで相談する。 弾き出して数小節で、 「息継ぎできてません」 「間の取り方が気持ち悪い」 「メロディが埋もれてるし、強弱バラバラ」と厳しい声…

分かってきたこと。

思えば二年前に「ハノン全奏」を試みて以来、手の調子がおかしくなった。 ちょうど厄年で、身体の変調が始まったことも関係したようだ。 そして、それから「練習すること」についていろいろと考えるようになった。 一つには単純に「故障を回復したい」という…

音楽の意味。

常に世界平和を願い、小澤征爾さんらとともに演奏活動を続けたロストロポーヴィチ。 その、孤高とも思えるチェロの響き、特にバッハは聞くたびに鳥肌の立つ思いがする。 それにしても、芸術の、演奏の持つ凄み。 そんな動画が無料で閲覧できる、その素晴らし…

春の宵。

昨日は新人さんの歓迎会。 いつの時代も若い人が入る、というのは活力が出るものだ。 事務所の規模もずい分大きくなってきたが、常に「若さ」と「活力」を保っていたいものだと思う。 企業として、若い人が入り、またさらなる成長を志向する。 それができて…

演奏するのは頭であること。

ピアノの練習曲にハノンピアノ教本、てのがある。全訳ハノンピアノ教本 全音ピアノライブラリー作者: ハノン,全音楽譜出版社出版部出版社/メーカー: 全音楽譜出版社発売日: 2008/08/08メディア: 楽譜購入: 11人 クリック: 107回この商品を含むブログ (28件) …

名演説と英語力。

内田ブログより 大統領就任演説を読んで - 内田樹の研究室 アメリカという国が「もともとある」共同体ではなく、国民ひとりひとりが自分の持ち分の汗と血を流して創り上げたものだという考えが全体に伏流している。 その建国にかかわった人々への言葉が印象…

名器に出会う

不思議なもので、幼時には何の興味もなかった基礎練習とか。 そんなものすら何だか楽しめる、というのがまあ大人の境地、なのだろう。 そしてそして。 その基礎練習も。 いい土台でやると、これまた全然違う、ということをごく最近発見した。 ハノンの一番だ…

専門家の目

いよいよjazzレッスンも七回。 ドミナント、サブドミナント、トニック。 ミスティ、ハピバースデーに続き今度はベートーベン第九のテーマ。 ジャズのアレンジとは存外に論理的で、しかも面白味のあるものなのだ、と少しわかってきた。 △9th、add9thと、感覚…

専門家の目

いよいよjazzレッスンも七回。 ドミナント、サブドミナント、トニック。 ミスティ、ハピバースデーに続き今度はベートーベン第九のテーマ。 ジャズのアレンジとは存外に論理的で、しかも面白味のあるものなのだ、と少しわかってきた。 △9th、add9thと、感覚…

上達のプロセス

レッスンで宿題が出ている。 手書きで書いてもらったMisty。 高々20小節の繰り返しなのだが、なかなかコードが型にはまってイメージできない。 ふと考える。 これまで、クラシックの曲などは(自分は初見が悪いこともあり)「何回弾いたら譜面に引っかかりがな…