この五十年いや百年でまったく常識が変わってしまったものに「タバコ」があるだろうと思う。
社会風俗の中で、相当浸透しながらも、今ほどの"嫌煙"になろうとは、医学の進歩と共に起きた現象とはいえ、自分くらいの年齢でも改めておどろいてしまう。
三十年前の世界では、女性も喫煙人口が増えており、男性も七割方が吸っていた。(もっと多かった感じもする)
これがさらに遡り昭和前半になると、(もう映画や写真でしか知る術もないが)職場でも、公共の場でもプカプカするのがごく当然な感じで、不思議なことに「タバコの煙を嫌がる人」というのはまず目にしない。
慣れの問題とはいえ、今とは隔世の感がある。
自分も長いことスモーカーだったが、(しかも当時から「タバコの発がん性」はきちんと認識されていたのに)こういう「価値観」が浸透するには軽く2〜30年もかかってしまうということだろう。
ひと箱500円、1000円になっても「私は吸います」という人を見ていると、なにやらポリシーを感じてしまうのは自分だけだろうか。
いつも行く居酒屋で唯一の悩みは、両サイドが"ウルトラ・スモーカー"になったとき。
年配の男性は、特に「強い」タバコを好むようで、まさに「紫煙」が流れて直撃してくると、あまり慣れがない分、かなりキツい。
そんなおじさま達にとっても、居酒屋はまさに"聖地化"していて、「もしこの店が禁煙になったら来ないぞ!」と戦闘意欲が高い。
お店側もタジタジである。
まだ色んな事情で発売禁止、には出来ないのかもしれないが、そう遠くない時期に「喫煙およびタバコ製造の禁止法案」のようなものが国会で提出され、施行されるのではないかと思う。
またそんな風に価値観を誘導してゆくのなら、今の義務教育の中で「Smoking can kill you」(will,とかshould,でもよいかな)をきちんと教え、「あるタイミング」でなくしてしまうような十年がかりの試みが必要なのではないだろうか。
二十年後には「そう」なっているのでは、と予想する。
それでも吸いますか 米、たばこパッケージに「過激警告」義務化
「Smoking can kill you」(たばこはあなたを殺すことができます)。米食品医薬品局(FDA)は21日、来年9月から米国内で販売されるすべてのたばこのパッケージに義務付けるデザインを発表した。胸に大きな手術痕のある遺体、喫煙で黒ずんだ肺…。ショッキングな写真や言葉で「脱たばこ」を呼びかけている。
デザインは9種類で、(1)たばこの煙はあなたの子供たちを傷付けることができます(2)たばこはがんの原因になります(3)妊娠中の喫煙はあなたの赤ちゃんを傷付けることができます(4)たばこはあなたを殺すことができます(5)たばこの煙は非喫煙者に致死的な肺疾患を引き起こします(6)今たばこをやめればあなたの健康への危険を大きく減らします−などと警告文が表示されている。
2009年に成立したたばこ規制法に基づく措置。たばこのパッケージは前面と背面の上半分に警告を表示することが義務付けられる。新聞広告などについては、上部の20%以上の面積を警告に振り向ける必要がある。
■年に600万人死亡
写真入りの警告は2000年にカナダで導入されて以降、既に40カ国以上で導入されている。
世界保健機関(WHO)は先月(5月)、喫煙に関連した今年の死者数が約600万人に達するとの予測を発表した。このうち約10%が非喫煙者とみられ、死者数は30年までに年間800万人に達する可能性があると警告している。
喫煙を原因とする病気による医療費の増大も無視できず、各国は喫煙者や喫煙量の減少に向けて対策を急いでいる。
オーストラリア政府はたばこの銘柄のロゴやイメージカラー、宣伝文句をパッケージから完全に除去する法案を公表。世界初の試みで最も厳しい反喫煙法と強調している。
ロイター通信によると、欧州連合(EU)や英国、カナダ、ニュージーランドでも同様の法律の施行が検討されている。
写真付きの警告について、米疾病対策センター(CDC)が14カ国を調査したところ、13カ国で25%を超える喫煙者が禁煙を考えるきっかけになったと答えた。カナダがん協会が01年に委託した調査でも44%が禁煙意欲が増したと答えている。
■肩身が狭い愛煙家
たばこ規制法に対してはメーカー側が反発し、見直しを求める裁判も起こされているが、愛煙家の居場所はますます狭くなりそうだ。
CDCによると、25州と首都ワシントンで職場、酒場、レストランでの禁煙を定めており、「このペースで進めば、20年には残りも禁煙化される」としている。
規制法案に署名したバラク・オバマ大統領は禁煙を宣言しては吸うことを繰り返していたが、今では完全に断っているという。
キャサリン・セベリウス厚生長官は6月21日の記者会見でこう語った。
「この警告は確かに気持ち悪い。しかし、われわれは喫煙が気持ち悪く、かっこ悪いことだと子供たちに知ってもらいたい。口腔(こうこう)がんになったり、赤ちゃんを病気にさせるのでは、全くお話にならない」
(SANKEI EXPRESS)