藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

合理化の意味するもの。

東電が、希望退職者を募り、年金カットで賠償費用をねん出するという。
これまでのムダをカットし、それを賠償に充てるのなら良いことである。

それまで「ムダ」のあった部分をしぼって経費をねん出する。
それが合理化である。

例えば、それまで業界の大手として君臨してきた会社同士が合併する。

すると営業、製造などのライン部門も、本社機能などの間接部門も「重複」しなくて済む。

そうすると、「小さな政府」よろしく、色んな企業は"集約"へ向けて動いていくことになる。
究極、「各業界大手一社」とまではいかないが、そのような気配の「大合併」が最近は多い。

事実、経営陣の戦略が定まり、命令系統などの「神経系」が整備されていれば、「頭は小さいほどいい」だろう。

ただ人件費だけを短期的に削減し、「キャッシュ創出」だけを狙うと、その会社の体力そのものを奪う。
つまり「これまでのムダ」を洗い出して、取り除くことと、「元々必要」と思われる人件費すら削ってしまうこと、というのは根本的に性質が違う。
後者を推進すると、結果的には「人材そのもの」が蝕まれてしまうのである。
周囲からの圧力に屈し、「ひたすらリストラ」を繰り返した結果、優秀な人材から先にいなくなってしまい、数年後には亡骸になってしまう会社の例は枚挙に暇がない。

東電についても、「引き締め」が有効な部分と、インフラ企業として必要な部分を外部機関が分析し、「再生企業扱い」として精査することが必要ではないだろうか。
いたずらに今今のキャッシュだけを出す策を弄しても、国のインフラを担当するという役目はこれからも続く。

いまこそ感情論ではなく、再建へ向けての英知を集め、経営再建を目指す好機なのである。

この問題は、つまり日本の官僚機構の合理化にとどめを刺すが、常に「枢要機関」にはそうした「外部の目」が常に働くようにならねばならない。

東電の問題は、そういう基本的なことを自分たちに知らしめたという意味で、非常に教育的な事件だったと思う。

東電、初の希望退職募集へ 1割削減、年金カットで1000億円捻出
東京電力は、福島第1原発事故の賠償資金を捻出するためのリストラ策として、同社として初となる希望退職の募集を行う方針を固めた。新規採用の抑制と合わせて今後数年間で、現在約3万7千人いる従業員の1割程度を削減する。退職者も含め、企業年金も削減する方向で、人件費の削減額の目標を当初の年間540億円から倍増し、1千億円程度に拡大する。

東電の資産売却やリストラ策をチェックする政府の第三者機関「東電に関する経営・財務調査委員会」(委員長・下河辺和彦弁護士)が月内に今後10年程度の収支見通しなどを盛り込んだ中間報告を策定。これに基づき、東電が10月中に新たな人員削減を盛り込んだ特別事業計画を策定する予定。

東電はすでに役員報酬や社員の給与削減、新規採用見送りなどで年間540億円の人件費を削減するリストラ案を公表。一方で、原発停止による代替火力発電用の燃料調達の増大で収益が悪化しており、賠償資金確保には電気料金の値上げが避けられないとして料金改定の申請を検討している。

しかし、同委が値上げの前に徹底した合理化を求めているほか、政府内には値上げへの反対論が強い。このため、東電はリストラの上積みが不可欠と判断した。原発事故の収束や賠償金支払い作業のための人員を確保する必要があり、配置転換を進めると同時に、削減は数年かけて実施する方針だ。

一方、年金の削減は、会社が保証する運用利回りを引き下げることで実施する。現役社員は現行の年2.0%から1%程度に、退職者については現行の最高年5.5%を3.0%程度に引き下げる案を軸に検討している。ただ、退職者の年金削減には同意の取り付けが必要で、調整が難航する可能性がある。