それまで超一流、と言われていた企業が市場や株主の要請、そして競争の激化などを理由に再編を進めてきたのはここ十年くらいの流行である。
国営企業は形だけでも民営化され、また大企業も自分たちの事業ドメインを離合集散させ、変化し続けねばならないのが現代の企業の姿であろうか。
四十年前は「切符切り」の駅員さんがいたところに、今や人影はなく、またさらに決済はほとんどが電子マネーになっている。
結局ここ半世紀、いや二百年ほどは"ハードウエアで提供されていたもの"は悉く合理化(自動化)されてきた。
コンピュータをあらゆる形に駆使し、計算し、記憶し、データ通信をして驚異的な進化を遂げたといっていいだろう。
インターネットの普及で、もう大分「伸びしろ」は無くなってきたようにも思えるが、この「便利さイノベーション」は今後も続く。
ともかく合理化、である。
合理化されないものを。
自動織機に象徴される労働集約型の労働が、どんどん合理化されて約百年経つ。
おそらくこの2000年代中に、いわゆる合理化は行きつくところまで行くだろう。
改札の駅員も、レジの店員も、また銀行の窓口やテラーマシン(ATM)までも「徹底的に合理化されて」行くと思う。
その先で、次世代にも「合理化できないものは何か」ということが重要になってくる。
しかも、それはそんなに難しいものでもない。
本当に自分たちの食べたいものを探す、とか
本当に見たいコンテンツを購入する、とか
本当に学びたい機関に触れる、とか
本当に住みたいところを探す、とか
また、本当に過ごしたい人生を探す…とか。
そんな「人間的なもの」はまだまだ残り続ける。
IT化は、そういう意味では「そういうものと"それ以外のもの"」をはっきりさせる試金石だったのかもしれない。
産業界の合理化はまだまだこれから続くが、「その後」を見据えてきちんと「自分たちの居場所」を認識しておく必要があるだろう。
"これまでの常識"では自分自身の「所在」が無くなってしまうかもしれないことが、現代の恐いところではないだろうか。
自分の居場所は自分で作る、というのがどこまで行っても基本なのだろう。
新日鉄・住金、統合3年で合理化効果 年1500億円
「新日鉄住金」12年10月1日発足で合意 2011/9/22 17:24 ニュースソース 日本経済新聞 電子版 新日本製鉄と住友金属工業は22日、2012年10月1日に経営統合することで基本契約を締結したと発表した。新日鉄を存続会社とする合併により統合し、住金株1株に対して新日鉄株0.735株を割り当てる。統合後の新会社名(商号)は「新日鉄住金」とする。代表者や資本金など詳細は今後、両社で詰める。
経営統合に伴い国内生産基盤の効率化に加え、海外事業への展開を加速する。具体的には海外での製造販売拠点の強化や新設などを通じて、得意とする高級鋼板を中心に幅広い品種をグローバルに供給できる体制を構築する。鉄鋼事業のグローバル生産規模は6000万〜7000万トンを目指す。両社の2011年3月期の粗鋼生産量は合計で約4800万トンだった。
このほか製造ラインの最適化や原料調達・輸送の効率化など各種合理化策で、統合後3年をメドに年1500億円規模の統合効果の実現を目指す。