藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

考えの基準

昔は「生涯独身を貫く」というちょっと悲壮感すら漂う決意を表していたが、時代が変われば見方も変わる。
思えば「核家族化」という言葉が出てきたのは、まさに自分の幼児だった1960-70年代だった。

"核"という耳慣れない言葉に、そしてまさに自分の家も、祖父母と同居のない家族構成だったので、妙にリアル感があったことを思い出す。

結婚する平均年齢がどんどん上昇し、離婚率もどんどん上がり、若者の人口も過去最も減少し、さらに高齢者人口は最も増え、という「結構未曾有の事態」に日本は晒されているのである。

日経の調査では「生涯独身で暮らす」ということをサポートするサービスの特集が。

必要があるから「そういうもの」が存在するのである。
これも(良い悪いではなく)時代の要請なのだな、などと妙に納得する50前のおっちゃんなのであった。

nikkei.comより
生涯独身でも困らない 若者の不便・不安解消サービス広がる
日経産地研調査
若年独身者の日常生活をサポートしたり、安全や安心を担保するサービスがじわじわと拡大している。こうしたサービスはこれまで年配者や富裕層のものだと思われていたが、未婚者の激増に伴い、彼ら若年未婚者が新たな利用者として浮上してきた。独身として一人で暮らしているがゆえの様々な不便や不安を解消するために、有料サービスに頼らざるを得なくなっているようだ。

■家事代行件数の35%が単身者
家事代行サービスに変化が現れている。少し前まで富裕層、準富裕層向けの印象が強いサービスで、若い人で利用する場合も仕事で忙しい「ヤンエグ」的な人に限定されていたが、近年は所得面で中間層といえる独身単身生活者の需要が増えている。もちろん職を持っており、せっかくの休みは好きなことに有効に使いたいという動機が大きい。

健康な食生活を送るためプロに調理を任せるニーズも(ベアーズの「楽ラクうちごはん」)

長谷川興産(東京・豊島)では2010年10月から単身者向けの「単身パック」を開始した。主にワンルームマンション住まいの人を対象に、食事の支度を除く掃除、靴磨き、場合によっては洗濯など家事全般を請け負う。これが現在「家事代行件数全体の35%を占めるまでになった」(渡辺信明・メイドサービス事業部課長)という。利用者の9割が独身単身者で、20代後半から30代前半。このうち7割が男性だが、女性もじわじわ増えている。

ベアーズ(東京・中央)でも独身単身者による家事代行サービス利用者が、この3年ほど毎年前年比25%増のペース。それまでは件数全体の1割程度だったシェアも25%ほどに達した。「看護師や介護関係者などの利用者も増えている」と高橋ゆき専務はいう。荷物の受け取りや日用雑貨の買い置きなど、休日に時間を割くにはもったいない雑事を、家事代行スタッフに肩代わりしてもらうわけだ。

若年未婚者はこうした家事サービスに対し、「食事を作ってほしい」という要望が強く寄せられている。不健康な食生活を心配してのことだ。ベアーズでは2月から、1週間分の夕食の献立作りと調理を請け負う「楽ラクうちごはん」というサービスを開始している。これはファミリー層のほうが主要ターゲットだったが、独身者の申し込み全体の2割を超えており、その多さに驚いている。

働いていれば、スーツやシャツなど、必ずクリーニングサービスを必要とする。しかし、わざわざクリーニング店に衣服をもって行ったり、それを受け取りにまた店に行くのは面倒だ。自宅から遠いところに店があるとなおさらだ。

■単身生活者と単身予備軍が57%
最大手の白洋舎では、この面倒を解消するために5年前から「らくらく宅配便」というサービスを始めた。申込者が衣服を宅配便で白洋舎の指定工場に送り、クリーニングの後自宅に送ってもらう。

また、頼めばその指定工場で、次の季節まで保管してもらうことも可能。多くの利用者は衣替えとしてコートなど重衣料を送り、そのまま工場で次の季節まで保管するという。

ここ最近、利用者は前年比3割増で推移しており、その多くが独身単身者だ。「自宅で収容するには余裕がない人も多いし、自分で保管していると傷んだり虫に食われたりするおそれもある。それなら次の季節まで、と考える人が多くなってきた」と武田順クリーニング事業部長は指摘する。

単身生活では、荷物の受け取りも面倒。そんな面倒を解消するのが、ヤマト運輸の「クロネコメンバーズ 宅急便 受取指定」(10年1月開始)だ。個人会員組織「クロネコメンバーズ」に登録している人を対象に、eメールで事前通知し、ネット上で受取場所や日時を自宅だけでなくコンビニ、職場など自由に変更・指定できる。ヤマトでは会員(数は12年3月で約750万人)の5割弱が利用していると推定している。

日経産業地域研究所が2月初めに実施した調査(全国の20〜40代の独身男女1030人が回答)によると、家族と同居している人(全体の66.3%)のうち、34.6%(全体の22.9%)が「いずれ単身で暮らすつもり」と回答した。すでに単身で暮らしている人(全体の33.7%)と合わせ、全体の56.6%が単身生活者ないし単身生活予備軍にあたる。この人たちに、「単身生活でどんなことが不便で困るか」を聞いてみた。

トップは「部屋の掃除」で、次いで「トイレの掃除」「風呂の掃除」など(図表3)。また、「日常の調理」「食器洗い」など、「作って汚れる」ものもかなり面倒くさがられている。最近の家事代行サービス市場の変化は、このデータからも裏付けられるのではないか。

「宅配便の受け取り」など、一人暮らしなので融通が利かないことも、かなり不便がられている。このほかには「役所の窓口の業務時間帯が限られていること」「郵便局や銀行の窓口の時間帯が限られていること」などだ。

また、「単身生活で怖いと思うこと」つまり、犯罪に巻き込まれることや、急病などについても聞いてみた。一番気にしているのは「病気やけがで、突然自宅で倒れても、誰にも気づかれないこと」で6割強(図表4)。20代全体でみても、男性62.9%、女性64.7%とかなりの高率で若い人が相当気にしている。最高は女性40代の78.4%。年を取ると「孤独死」も身近に感じるようだ。次は「病気や怪我で寝込み、食事や身の回りのことに困ること」でやはり6割を超えている。

警備業界ではこの2年ほど、賃貸アパートなど集合住宅でのホームセキュリティーサービス導入が進んでいる。最大手セコムでは「大都市圏では、20〜40代独身女性が住む1〜2LDKなどで件数が倍増している」という。これを映してか、「空き巣や強盗の被害」を気にする単身女性は47.7%、「ストーカーやのぞきなどの被害」を気にする女性は34.8%に及ぶ。

■もはやパラサイトは許容できず

また、未婚単身者が、親の高齢化に伴って困りそうなのが、賃貸住宅を契約する際の連帯保証人の問題。「賃貸住宅の連帯保証サービス」には19.9%の人が利用意向を示し、男性40代が最も多い(32.2%)。

最大手のオリエントコーポレーションが手がける「オリコスリーウェイサービス」の利用者(賃貸住宅入居者)はこの数年急増しており、前年比で契約数が1割増のペース。同社と入居者、賃貸住宅管理会社との3者契約で、オリコのクレジットカードにより入居者の口座から家賃の引き落としと一緒に毎月手数料(家賃の1.2〜1.5%)を徴収する。親が高齢になって親自身の収入保証がしにくいことに加え、家計状況をおもんぱかってか、親に連帯保証人を頼みたくない若者が非常に増えていると同社では指摘する。

未婚の若者というと、「パラサイトシングル」がすぐ頭に浮かぶが、現況の経済情勢はもはやパラサイトを許容する状況ではない。日本銀行金融広報中央委員会の10年調査によると、50代で44.9%、60代で44.0%が「この1年間に貯蓄が減った」と答え、「増えた」のそれぞれ15.1%、13.9%を大きく上回っている。自宅を後にせざるを得ない未婚者は基本的に増えるだろう。彼らの収入事情にも関わるだろうが、一人暮らしをセーフティーネット的にサポートする市場は、基本的に拡大傾向で進みそうだ。