藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

性差とは何か。

渡辺千賀さんのコラム、シリコンバレーより。asahi.com

シリコンバレーでも「女性の待遇」についてが話題だそうだが、そもそもこの問題についての疑問。

そもそも、こうした男女の性差とか、処遇が問題になってから、まだ50年くらいのものだろう。
ウーマン・リブしかり。
もっと以前には奴隷制度とか、侵略とか、もっと別の「人種間の侵略とか差別」があり、そしてそれらもまだ解消はしていないものの、特に先進国では「男女の性差」がここ数十年の話題である。

男性と女性、いろいろと分析はあろうが、大まかな傾向としては、「男性は仕事社会でも戦いや競争を好み」、「女性は概ね調和を好む」という分類は乱暴だろうか。

もちろん女性にも競争を望む人もいるし、男性にも調和指向の人はいる。
が、「好戦的か、安定的か」というところに一定の性差はみられるのではないだろうか。
名にし負うシリコンバレーベンチャーキャピタルでも、男女比は男性が著しく高いという。
「理系か文系か」という話では、すでにMITの男女比は五分五分とのことだし、こと"学ぶ"という観点での性差はあまりないのかもしれない。


ハラスメントは、男社会の中でも厳然と存在し、権力の争いの中では無くなりようもないものだと思うが、女性が真に望み、どのような土俵で勝負するのか、ということはもう少し突っ込んでヒアリングがなされてもいいのではないかと思う。

そして、同様に今の二十代の男性層も、「どのような社会人環境を望むのか」ということを、カウンセリングがてら聞いてあげる必要もあるだろうと思う。
これから"約半世紀"にも渡って、かなりの時間、関わってゆく仕事については「ただ甘えることもなく」、また五十年後の世界の様子も想像しながら、「リアルにイメージしてゆく」ことが必要である。

これからの時代、"考える事象の幅"を狭めてはならない。
視野が狭まるほど、選択肢を考える能力も狭まる。

むしろ、これからの世の中「固定的なもの」はないし、しかし「流動的に決まってゆくもの」は自分の価値観である。

いろんな価値観が揺らぐ中、確かなものは「自分の信念」でしかない。
仕事にしろ、家族や友人にしろ、"自分独自の物差し"を持つことは、これからの時代ますます重要になるだろう。

横並びの統一指標から、ついに「独自メジャー」を持てる時代に日本も入ってきたのである。
これからが、人生の本当の喜びを見つけられる時代なのではないだろうか。

今世紀はそんな意味でも、実に面白い時期ではないだろうか。

ベンチャーキャピタルのセクハラ訴訟

シリコンバレーベンチャーキャピタル大御所、クライナー・パーキンズがセクシャルハラスメントで訴えられて話題になっています。
 訴えたのは、クライナー・パーキンズの中国系女性パートナー。過去7年にわたるハラスメントの内情を事細かに綴(つづ)った19ページの訴状が公開されました。
 いわく、同僚に迫られ数回関係を持った。しかし、同僚には妻があったこともあり、その後は断ったところ、仕事のなかで冷たい仕打ちをするなどのし返しをえんえんされ続ける。それを上位パートナーに訴えたところ「彼と結婚したら」と言われた(!)。さらに、別の上位パートナーからは、性的な描写のあるThe Book of Longing (憧憬の書)なる詩集をプレゼントされ、土曜のディナーに誘われた、などなど。訴状には、それぞれの人物が全て実名で語られ、メディアの格好のネタとなっております。
 そして、こうした問題をセクハラとして提起した彼女を煙たがって、オフィスの離れ的なところに彼女の部屋を追いやろうとし、さらには中国オフィスに転勤させようとした、といった問題が。その後、冒頭に登場した「同僚」は、別の女性ジュニア・パートナーがセクハラ被害を社内で申し立て、外部機関の調査の末、2011年にクライナー・パーキンズを去っています。
 こうした個人的なハラスメント問題以外に、社内カルチャーとしても、男性だけのパーティーを開催して女性を阻害、プロモーションで男性を優遇といった、より構造的な問題が挙げられています。

シリコンバレーは男の世界 さて、シリコンバレーはかなり男の世界です。どこかの会社の社食にランチ時に行ってみれば歴然。ぱっと見渡して女子比率が2割を超すところはあまりありません。マーケティングなど、女性が多い職種もありますが、やはりどこの会社も技術者が多く、そして技術者は男・男・男の世界。
 60キロほど海側に行ったところにサンタ・クルーズという街があるのですが、そこはシングルの女性が多いので「サンタ・クルーズの女性と、シリコンバレーの男性の出会い系飲み会」というのが開催されたこともあるくらいです。
 そして投資家も男の世界。今回の訴訟で問題となっているクライナー・パーキンズは、皮肉なことに、ベンチャーキャピタルの中では最も女性比率が高く、ウェブサイトに載っている48人の投資担当者のうち12人が女性。他の大手ベンチャーキャピタルでは、例えばアクセルは女性は45人中4人、グレイロックは16人中1人のみ。セコイアに至っては、一人もいません。こうなってはセクハラ問題が生じる余地すらありません。
 投資する側が男ばかりなら、投資される側のアントレプレナーもしかり。インキュベータのY Combinatorの育成ベンチャーがプレゼンするデモ・デイは、男子校かと見紛うばかりです。それでも数社は女子がプレゼンに交じることが多いものの、数年前のデモ・デイ(確か2009年の夏)では、数十社あるベンチャーの全てが男性のみ。女性はただの一人もいませんでした。
 日本では、理工系の大学の女子比率は極めて低く、例えば東大工学部は10%。それに比べると、アメリカでは、例えば世界的にも有名なカリフォルニア工科大学の2010年の入学者の4割が女性、マサチューセッツ工科大学では半分に達するという、かなり意外な比率となっています。とはいえ、詳しく専攻まで見ていくと、電子工学や情報工学といったシリコンバレー的な分野はやはり男性が多いのが実情です。
 ということで、そもそも入り口からして男ばかりなわけで、仕方ないといえば仕方ないのですが、果たしてシリコンバレーのコア人材に女性が増えるのに何十年かかることでしょうか。