藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

漂う寂寥感。

民主党の代表選は、マスコミの報道通り現職の圧勝。
その理由が日経の記事で分かりやすく説明されている。
もう「反小沢」という"外敵カード"が使えず、窮していた政権は、確かに「外交最優先」を選択すべきだったのかもしれない。

解散していれば首相も谷垣氏も党首選がなくなり、衆院選で雌雄を決する。選挙の結果が出れば数の多い方が首相、もう一人が副総理になればいい。民・自が組めば衆参両院で過半数を制し、第三極抜きで政権運営ができる――。森喜朗元首相たちも提唱したこのシナリオの実現性は、いまやゼロに近い。

まったく分かりやすく、また旧バージョンのキングメーカーがその絵を描いていた、というのも見えやすい。
だが、一国民としては、そうした「過半数狙い」だけが自己目的化した、「全体設計のない政権」は、既存の大勢の延長をするばかりで、日本の最も弱点である「問題先送り」を再び実施するだけだったろう。

その意味では、オールドエスタブリッシュの描く世界はむしろ実現しにくくなり、「何か新しい政治」(それが例えば維新の会でも)が始まる予兆ではないかと感じる。
一度、壊れるものは「きちんと壊す」というケジメがないと、結局日本の体質は「どんどんと嵩にきて」幾らでも問題解決をせず、また幾らでも国民の税金に依拠してしまうのである。

実に、ビジネスでも、実生活でも同じようなことがあるが、「ビシッと正面から問題と向き合う」という根本精神を忘れてしまうと、いつしか「常にズルッこく、脇道ばかりを考える体質」が身についてしまう。
人は安きに流れるのである。

法律が1本も通る見込みがないまま国会に突入し、予算の執行が欠かせない赤字国債発行法案などが成立しなくても「それは自民党の責任だ。自民党チキンレースになる」と首相官邸民主党幹部はみている

こうした考えで、どんどん国政を停滞させてゆく姿も、一度行くところまで行かせる、ということで、国民も悪戯に「安易な政党」を支持するべきではないだろう。

増税でも(増税なしは難しいだろうから)、経済成長優先でも、地方分権でも「確信を持つ政治家」を選ぶことがこれから問われてくるのではないだろうか。
そんな意味で、今これからが「バラバラの最盛期」を迎える気配であるから、ここしばらくは小政党、政治家の発言を聞き、また記録しておいて次世代の政治へと期待をつなぎたいな、などと思うのである。

これからが本番である。

首相「孤独」な圧勝 強敵なく、もろい基盤(永田町ライブ)

 終始一貫、熱気のない選挙戦だった。野田佳彦首相が圧勝した民主党代表選が盛り上がらなかったのは「次の総選挙でも過半数をとって与党でいる」と思う人が、票を投じた議員や党員の中に、ほとんどいなかったからにほかならない。7割近い得票率とは裏腹に、首相を取り巻く空気は「他に適当な人がいない」「野党になってしまうから」との消極的な信任だ。強敵も盟友もいない首相を支える基盤は、極めてもろい。

 ■党内重視…失ったもの大きく
 代表選最後の政見演説で、首相以外の3候補が口をそろえたのは「挙党態勢」だった。党勢を挽回する目的で派手派手しく盛り上げようとした代表選のさなかにも、離党を表明する議員が出た。いきおい、首相も党内向けの発言に終始せざるを得なかった。
 首相陣営はもくろみ通りの国会議員票を得たとはいえ、人事とポスト次第で風向きはいかようにも変わる。人事で不満があれば、7割の票はあっという間になくなってしまう。これまでの3年間、党内の対立軸だった小沢一郎元代表は党外に去った。なにかことがあれば「反小沢」で結束する効果は見込めない。
 党内を重視した結果、失ったものは大きい。
 首相の政治的盟友は、実は自民党谷垣禎一総裁だった。ともに党内の強い異論に悩みつつ、消費増税関連法の成立に二人三脚でこぎつけた。先の通常国会が閉幕する前日、谷垣氏が「あした、衆院解散があるかもしれない」と言ったのは、盟友の最後のシグナルでもあった。
 解散していれば首相も谷垣氏も党首選がなくなり、衆院選で雌雄を決する。選挙の結果が出れば数の多い方が首相、もう一人が副総理になればいい。民・自が組めば衆参両院で過半数を制し、第三極抜きで政権運営ができる――。森喜朗元首相たちも提唱したこのシナリオの実現性は、いまやゼロに近い。
 ■自民との協調、限りなく困難
 谷垣氏に代わって登場する新総裁は、自らの思いとは関係なく、政権奪回を狙う野党トップの立場上、解散へ向けて対決姿勢を強めざるを得ない。自民党との協調は、限りなく困難だ。
 法律が1本も通る見込みがないまま国会に突入し、予算の執行が欠かせない赤字国債発行法案などが成立しなくても「それは自民党の責任だ。自民党チキンレースになる」と首相官邸民主党幹部はみているが、米国でも最重要法案となれば、大統領自らが与野党を問わず議員への説得、交渉を繰り返す。
 党の内も外も、国内も国外も難題ばかりが目につく。97年、無投票で自民党総裁再選をはたし、基盤は盤石とみられた橋本龍太郎首相は、佐藤孝行氏を閣僚に起用した途端に失速した。圧勝とは言い換えればライバルも、強い支持もないことを意味する。首相が言う通り「高揚感はない」代表選の本当の結果は、これから出る。
(丸谷浩史)