この年にして。
自分のワクワク感が一番強いのはどんな時だろう。
ああ。
思えば若かりし頃の。
風俗営業の店に行き、「一体どんなサービスがあるのやら」といった気持ちに似たり。
十代、二十代は意中の彼女とのデートの前、とか。
そして、今は休日の前の「漫画」なのである。
このワクワク感。
何物にも代え難く。
また若干情けない感じがするのは、まだ自分が何か「ぶって」いるのだろうか。
ともかく、「意中のタイトルの漫画が自宅に待っている時」の感覚は普通ではない。
これから読む出あろう、過ごすであろう「その時の過ごし方」などを夢想しては楽しむ。
飲み物は何にしようか?
BGMはジャズ? ヴォーカル? クラシック?
いつものPCの前のオフィスチェアで読む?
それともソファでリクライニングしながら?
この間エノテカで買ったワインを開けるってのはどう?
それともいただいた秘蔵の日本酒、黒龍をチビチビやってしまうのはどうか?
なら、つまみは豆腐?
妄想は際限ない。
たかが漫画。
されど漫画。
なんでここまで心躍るのか。
それを説明する術を私は知らない。
かくして、どんなきれいな女性と待ち合わせるよりも、
どんな大きなビジネスの商談よりも、
人に隠しながらウキウキする週末を過ごすのであった。