藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

定点観測。

日経の論説より。
そもそも景気を予測すれば、人口が減り高齢化が進む日本のGDPは減少するだろう、とか高齢者へ向けたサービス業のシェアは上がっていくだろう、くらいのことは想像がつく。
しかし来年の相場はどう、というような話になると、よくまあこれだけ多面的な見方があるものだと感心させられる。

日本勢の奮起次第で、春を迎えるころには日本株は自律的な上昇局面へと転じることも考えられる。

という言葉で締められているが、日経平均を昨年と比べたり、またはバブル期と比較したり、はたまた初詣のの人の数や相撲の懸賞本数、スポーツ観戦者の数など、もう「因果関係探し」に血眼の様相である。
一説には今年末の株価は「現在の半値程度にまで下落」と見る向きもあるらしい。

見ようとすればするほど「見えない」という事象の典型のような気もするけれど、まだ戦後も70年程度しかたっておらず、その「過去の変化の波」から法則を導き出そうとしても、おなじ現象は二度と起こらない、という方が案外正しいのではないだろうか。
素直に現状を見て、先のことを考える視点を持つべきだと思うのである。

株大相場、経験則では簡単に終わらない
日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 永井洋一

2014/2/6 13:27
ニュースソース
日本経済新聞 電子版
 米中経済の見通しなど外部環境が不透明で東京市場の株式相場は不安定な展開が続いている。しかし、国内景気に目を転じれば、随所に底堅さがうかがえる。過去の日経平均株価の動きを調べると、「大相場は簡単には終わらない」という経験則も確認できる。押し目買いのタイミングを探るべき時期が近づいているようにみえる。

 年末年始のレジャー消費や商戦は好調で、初詣に訪れる人も多かったようだ。ただ、身の回りの出来事や身近なデータでマクロ経済を分析・予測することに定評のある三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストによれば、景気が良い時は初詣の人出は減る傾向があるという。景気が回復しているにもかかわらず「苦しい時の神頼み」とはどう解釈すべきなのか。

 宅森氏の調査によれば、大相撲初場所の懸賞本数は1991年夏場所以降、最多で企業の広告需要は回復傾向。東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)の復路のテレビ視聴率は10年ぶりの低水準で、この日外出する人が多かったことを裏付ける。一方、明治神宮(東京・渋谷)、成田山新勝寺(千葉県成田市)、川崎大師(川崎市)の正月三が日の人出は、いずれも前年に比べ1%前後増えたという。宅森氏は、「消費増税を控え、浮かれすぎていない消費者心理が読み取れ、地に足がついた状態と言える分、4月の消費増税後の景気減速は意外と軽微に終わるのではないか」と読む。

 日経平均は昨年末の1万6291円から1割以上、下落し、調整局面に入った。ただ、こうした国内景気の回復ぶりをみると、このまま一本調子で下がるとは考えにくい。このため、買いのタイミングを考えている投資家は少なくない。それを簡単に知る方法の一つとして、前年同期の水準と比べた騰落率が参考になる。上昇率・下落率のいずれの場合も値が大きければ、相場は行きすぎと判断でき、その後、どれだけ過熱感が解消されたかを確認することもできる。

 日経平均を月間ベースでみると昨年2月は前年同月比18.9%高だったが、その後、上昇率が急拡大。5月に61.2%となり、8月にかけて50%台に縮小したものの、11月には過去30年で最大となる65.8%に達した。昨年は歴史的な大相場だった。

 この数字の推移をチャートに表すと、上げ相場でも下げ相場でも50%前後からは「要注意圏」であることが分かる。2004年4月や06年4月は50%台でピークとなり、その後株価は下げに転じた。バブル崩壊による90年代の「失われた10年」の中では公共投資の拡大で比較的、景気が好調だった96年は6月に55.2%で頭打ちとなった。80年代後半のバブル期は、87年1月の53.7%がピークだった。逆にリーマン・ショック直後の下げ相場では08年10月の下落率48.8%が底だった。

 興味深いのは過去、上昇率が一度50%を超えた大相場の場合、株価は過熱感が冷えると再び上昇基調を取り戻すという点だ。04年や06年のケースでは日経平均の高値は07年と、上昇率がピークを付けた後だった。80年代後半の場合は、上昇率がピークを付けた87年1月から89年12月までに日経平均は2倍近くなった。96年のケースでは、日経平均は上昇率がピークを付けた後に96年の高値を上回ることはなかったが、00年のIT(情報技術)バブル期には、96年高値に近い水準まで上昇した。こうした事例は、実現するかどうかは別にして、日本経済の構造変化を嗅ぎ取る投資家が多いことが大相場の背景にあることを示唆する。

 今年1月末の日経平均は1年前に比べ33.9%高だった。前年比騰落率が拡大するには株価が動く必要があるが、縮小するには株価が横ばいでも時間の経過で実現する。このため、日経平均が仮に今後しばらく1万4000円で推移した場合、前年同月比の上昇率は2月末に21.1%、3月末は12.9%となり、4月末には1.0%と過去30年の平均値(4.3%上昇)を下回る水準まで縮まる。1万3000円であれば、3月末には30年平均並みとなり、過熱感は大幅に解消する。過熱感が解消した後、日経平均が87年と似たような軌跡をたどるとしたら、今後数年で一段と大きく上昇というシナリオも描ける。

 昨年1年間に日本株を15兆円買い越した外国人投資家。今年に入ってからは数千億円規模の売り越しに転じたが、外国人を除くと慢性的な買い手不足の東京市場では外国人の売りはインパクトが大きい。逆に言えば、外国人にとって自分の売りは自分の首を絞めるようなもので、日本に対する評価が180度変わるようなことが起きなければ、売り崩すような動きは続かないとも考えられる。

 宅森氏は「株価はスポーツ観戦との関係も無視できない」と話す。日本が冬季五輪で過去最多の10個のメダルを獲得した長野五輪があった98年2月は金融機関の大型破綻やアジア通貨危機という「厳冬期」にもかかわらず、日経平均は1.2%上昇した。7日に開幕するソチ冬季五輪で日本人選手が活躍すれば、投資家心理にも好影響を与えるという。日本勢の奮起次第で、春を迎えるころには日本株は自律的な上昇局面へと転じることも考えられる。