藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

補助金という麻薬。

だから薬物は禁止されているのだと思うが、一旦手を出すと自分の意志ではなかなか抜け出せないらしい。
酒とかたばことかギャンブルなんかはまだ「自律」の範囲だということなのだろう。
麻薬にはだから「手を出さないこと」が大事なのだ。

それはともかく。
厚労省が重症者向けのベッドの配置を見直すという。
重傷者扱いの入院比率要件を15%から25%へと引き上げるということだ。

重症ベッドは病院が高い報酬を得やすくこの10年で8倍の37万床になった。病院が軽症の患者を重症ベッドに入れるケースも多い。(中略)
重症向けベッドは厚労省の認定が始まった06年度時点で4.5万床だったが、多くの病院が報酬を増やすために看護師を集めて重症向け病院に転換。現在は全国の一般病床の半分以上が重症向けになっている。

社会人になりビジネスの世界に入ってみて自分が最も驚いたことの一つは「補助金行政」だった。
税金や補助金を絡めた事業がなんと多いことか。
そしてそれを当然とする業界の姿勢にも驚いた。

政治主導の制度とはいえ、「それ」を見てビジネスマンたちは動く。

補助金ありき、で利益を最大化しようとするからどうしても「補助金取得」が自己目的化していくのを何十回も目の当たりにした。

今回の重症病床認定よろしく、補助金・税金投入という麻薬を使うのは最低限の量と期間にしないと知らずに中毒になり、それなしには生きられなくなるようだ。

企業たるもの、長く生きていくためには補助金政策に魂を奪われない姿勢が肝心だと思う。

入院病床、軽症向け拡大 重症用の1.5万床を転換
厚労省2016/1/12 2:00日本経済新聞 電子版
 厚生労働省は4月から全国67万の入院ベッド(病床)の配置を見直す。看護師が多く患者の自己負担が重い重症向けの病床を約1.5万床減らし、軽症向けの病床に切り替える。重症ベッドは病院が高い報酬を得やすくこの10年で8倍の37万床になった。病院が軽症の患者を重症ベッドに入れるケースも多い。需要に応じた配置への見直しにより、患者や公費の負担を削減。看護師不足も和らげる。


 厚労省の審議会で2月までに条件を詰める。
 厚労省案ではまず、重症向けの認定基準を厳しくする。現在は放射線治療などを受ける重症者が入院患者の15%以上といった条件を満たせば「重症向け」と認定される。今後は重症者の比率が25%程度なければ重症向けと認定されない見通しだ。退院して自宅に戻れる患者の比率も高めるよう求める。
 重症向けベッドは脳梗塞やガンなどの手術を終えた患者を集中的に治し、早期の退院につなげるのが本来の目的だ。1人の看護師が担当する患者は軽症向け病床では10〜15人だが重症向けは7人。手厚い看護を受けられるがその分、病院が受け取る報酬も高い。
 重症向けベッドは厚労省の認定が始まった06年度時点で4.5万床だったが、多くの病院が報酬を増やすために看護師を集めて重症向け病院に転換。現在は全国の一般病床の半分以上が重症向けになっている。
 厚労省の試算では、重症向けベッドの約4%にあたる1.5万床が軽症向けに移行する。患者の窓口負担も1日あたり千円単位で減る可能性があり、医療費を約130億円抑制できる。深刻化する看護師不足の緩和にもつながる。