藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

未来を想像する力。

北朝鮮が発射するミサイルも脅威ではあるが、「見えない世界」ではもっと深刻なことが起こっているようだ。
記事ではイスラエルは「サイバー防衛」の世界でビジネス界さながらの「ベンチャー育成」を行い、続々と人材を投入しているという。

インターネットが普及しつつ、どうやらさらにネットワーク化が進み、自動化も進み、AIなども浸透し、自分たちはさらに「かつてないIT化のさらに先」に突入するのだと思う。

まるでバーチャル世界が実生活を脅かすような時代がすぐそこに来るかもしれない。

産業革命以降、何度か自分たちは「そんな変化」を経験してきたはずだが、「次の革命」を予想できるという保証は何もない。

"今、その変化の最中にいるかもしれない"ということを自覚して、これからの未来を考える必要がありそうだと思う。
少なくとも「国同士の争い」はサイバー世界の中に舞台を移そうとしている。

仕事も生活も外交も、これからの世界は「今までにはまるでなかった姿形」になるのかもしれない。

AIでサイバー防衛、軍隊仕込みのイスラエルVB参戦

 世界最高水準のサイバー攻撃能力を持つといわれるイスラエルの情報セキュリティー会社が海外で大攻勢を仕掛けている。イスラエルでは国防軍のサイバー部隊で非友好国に対する攻撃に携わり実戦で鍛えられた優秀な若者たちが退役後に起業するケースが多いからだ。大規模なサイバー攻撃が増えるなか、人工知能(AI)などを活用した独創的な防御技術を生み出すイスラエル企業の存在感が一段と高まりそうだ。

 「最先端のAIである深層学習でウイルスを検知する技術を実用化したのは我が社だけだ」。イスラエルのテルアビブに本社を置くディープインスティンクトで最高経営責任者(CEO)を務めるガイ・カスピ氏はこう胸を張る。

■友好国だけ取引

 同社はカスピ氏が2014年に創業した。イスラエル国防軍と情報機関「モサド」のサイバー部隊出身の技術者らが中心となり、社内ネットワークに侵入したコンピューターウイルスをAIを使って検知するシステムを開発している。

 サイバー攻撃に対してAIを活用する技術は世界最大手のシマンテックマカフィー、IBMといった米国の情報セキュリティー会社はもちろん、NECや富士通など日本勢なども開発に躍起だ。それでもカスピ氏が「他社に先行している」と豪語する根拠がある。

 現在、ウイルス検知技術は過去に見つかったウイルスとプログラムが一致していたり、一部が似ていたりすることを手掛かりに探す方法が主流だ。ただ、これでは新種のウイルスを検知することが難しい。

 カスピ氏は「AIの深層学習であらゆるウイルスに共通する特徴を見つけた。国が開発した未知のウイルスも検知できる」と語る。つまり、ウイルスの遺伝子の解析に成功したわけだ。

 世界を混乱させる大規模なサイバー攻撃では未知のウイルスこそが最大の脅威だ。ただ、新種のウイルスをゼロからつくるには高度な技術と豊富な資金が必要であり、サイバー犯罪組織には無理だ。それが可能なのは事実上、国家が運営するサイバー部隊ぐらいだ。

 ディープインスティンクトのウイルス検知技術が非友好国の手に渡れば、国家によるウイルスを使った攻撃がしにくくなる。それゆえ販売先は米国、カナダ、欧州諸国、シンガポールなど友好的な国に限られる。日本でも情報セキュリティー会社のアズジェントを通じて7月ごろまでに販売を始める予定だ。「中国企業2社から会社ごと買いたいという打診あったが断った」(カスピ氏)という。

 AI技術でサイバー攻撃の予兆を捉え、効果的に防御する分野でもイスラエルには世界の注目企業がある。同じくテルアビブに本社を置くケラグループだ。

 同社の日本事業責任者であるドロン・レビット氏は「今朝も日本企業に対するサイバー攻撃の兆候を発見し、警告を発したばかりだ」と笑顔を浮かべる。テルアビブにあるネット監視室から顧客企業を狙うハッカーがいないか常に目を光らせる。監視役は人間ではなくAIだ。

 ケラはハッカーサイバー攻撃について密談している闇サイトなどにAI技術で潜入、チャットの内容を分析する。そこでつかんだ情報を基にさらに潜入捜査を進め、計画の全体像を明らかにしていく。顧客企業に対する差し迫った脅威を察知すれば、実際に攻撃が始まる前に先回りして防御体制を強化できるよう警告を発する。

 レビット氏は「軍で経験を積んだ情報分析官300〜400人が必要な作業をこなしている」と語る。その意味は情報分析官の頭脳をAIで再現して監視しているということだ。日本では昨年11月からIT機器販売を手がけるテリロジーを通じ提供している。

■米国勢崩せるか

 企業が実際に攻撃を受け社内のシステムにハッカーの侵入を許した場合の対策では米情報セキュリティー会社のサイバーリーズンが注目されており、昨年1月には日本法人も立ち上げた。

 サイバーリーズンの本社は米ボストンにあるが、発祥の地はイスラエルであり、技術開発でも中枢を担う。

 テルアビブのオフィスで取材に応じた共同創業者のヨッシー・ナール氏は「豊富な資金を持つ軍のサイバー部隊であれば、どんなに強固な防御体制を敷いても侵入できる」と指摘する。

 同社の防御技術はハッカーが重要情報のありかを探すため、しばらくシステム内を回遊する不審な動きを素早く察知、個人情報などが盗み出される前に侵入者を排除する。AIがシステムの正常な状態を学習し、そこから逸脱した動きを察知する。これもイスラエルならではの独創技術だ。

 イスラエル生まれの技術ではサイバー攻撃の予兆段階から、実際に攻撃を受けたときのウイルス検知、侵入を許してしまった後の対策まであらゆる段階でAIの活用が進んでいる。

 米調査会社ガートナーによると、16年の世界のセキュリティー対策ソフト市場は236億ドル(約2兆6000億円)に上る。そのうち上位5社をシマンテックや米IBM、トレンドマイクロなど日米の情報セキュリティー大手が占める。イスラエル企業は新興企業が多いこともあり、まだ5位圏外にいる。

 だが、米大手3社のシェア合計でも3割弱にとどまる。イスラエル企業が躍進する余地は大きい。人口900万人にも満たない小国ながら、国防軍で英才教育を受けた若き技術者が除隊した後にベンチャーを相次ぎ設立している。世界で最強とされる米国勢の牙城を切り崩しそうな勢いだ。