この年になってわかってきたことだが、大人たちというのは案外ずるい。
というかかなりシャイなのだ。
つい目下にも見栄を張りたがる。
だから「今更気づいたんだけど」とか「実は知らなかったんだけど」という話をあまり若手に積極的にしていないと思う。
たまに酒場で酔った勢いで「説教」する人もいるが、それでは全然伝わらない。
むしろ鬱陶しいだろう。
「あの、ちょっと恥ずかしいんだけどもさ」というスタンスで、きっちりと若者に伝えねばならないと思う。
自分もそうした先輩の「ハッとする一言」でずい分救われた思いがする。
そして、若い人は何よりも「先人の財産」が聞けるチャンスなのだから、少々抹香臭いと思っても素直に聞いておいたほうが得だ。
結果あなたが得をする。
そうしていれば。
そのうち先輩たちは「仕事」とか「異性」とか「夫婦」とか「友人」とか「家族」とか、そして「人生」についても語りだすだろう。
もうその時には先輩たちは若手に語る、というより自らに自問しているのかもしれない。
それもいい機会だ。
「アウトプットは自らを育てる」というのはビジネスの世界ではよく聞く話だ。
自分が今知って、理解している「最新の見解」を後輩に話す。
偉そうにする先輩たちが一番かわいそうに見えているのは、実は若い人たちだろうから。