藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

三行で自分を語る。

*[次の世代に]自分を語る、最後の一行のこと。
日経(FT)・EUの人事争い激化について。
 
以前研究者の島岡要さんが「研究者の論文は消費されるもの」と言っていたが、研究者に限らない。
メーカーでも商社でも農業でも、いわんやサービス業も役者も「消費」される。
仕事ってそういうものだとも思う。
さらに、政治家や法律家や官僚というエラい人たちですらも同様に「消費」されていくものだなぁ、と思えて仕方ない。
 
多分、どんな偉い人でも後世(の一般常識)に残るのは「二、三行のテキスト」だ。
 
専門分野に入れば膨大な著作や論文を残す作家や研究者も、偉大な事業を起こした企業家も、国の仁政を行った政治家も。
だから生き方とか職業については、自分で考えねばならない。
 
「麻薬に溺れ、放蕩の限りを尽くしたが、偉大な作品を残した」とか。
「いくつもの新事業を志し、果敢に挑戦するも芽が出ずに終わる」とか(それはそれでよい)。
「50代から上場企業を作り上げたが、晩年は孤独な最期を迎えた」とか。
「終生、家業の維持と発展に努めた」とか。
 
内容は自分たちのお任せだ。
若い人も、ご年配も「自分の一生を三行で語る」とイメージしやすい。
特に最後の一行だ。
 
「幼年期・青年期を無為に過ごし、
大手企業に勤めて40で独立。
その後「〇〇〇〇〇〇」を過ごした。
 
「恙無い老後」でもいいし「波乱万丈の生涯」かもしれない。
「何不自由ない老後」でも「天涯孤独の最後」でもいい。
若くとも、老いていたって。
自分が最後の一行に何を付け加えるのか、を逆算して生きる道筋を考えるのはどうだろうか。
 
 
次期欧州委員長候補、鉄道統合却下で失速
2019年2月15日 6:08
欧州連合EU)の欧州委員会で競争政策を担当するマルグレーテ・ベステアー委員は、仏独両国にあらがって独シーメンスと仏アルストムの鉄道事業統合という野心的な計画を阻止したが、同時に自分自身の夢も危うくしてしまった。欧州委員長の座をつかむという夢だ。
欧州連合(EU)の次期欧州委員長の候補と目されるマルグレーテ・ベステアー委員=ロイター
ベステアー氏は先週、統合計画の却下で欧州委員会の力のほどを示した。しかし、その一方で仏独両政府内の一部に、(今秋に任期満了を迎える)ユンケル欧州委員長の後任にはもっと融通の利く人物がいいと改めて思わせる結果にもなった。
「残念だ」と、今年の主要EU機関のトップ人事をめぐる交渉のすべてに深く関与している外交当局者は話した。一方、他の欧州委員長候補は喜びを隠さなかった。その一人は「彼女に仕事はない」と話した。
欧州委員会で際立った存在として頭角を現したベステアー氏が、欧州委員長の有力候補である政治家の一人と目されていることは変わっていない。その資質は特にマクロン仏大統領から高く評価されている。マクロン大統領の野心的なEU改革案が他のEU指導者から相手にされなかったときに、ベステアー氏は理解を示し、これがきっかけでマクロン氏の知己を得た。今度はベステアー氏がマクロン氏の支持を必要としている。
仏独両政府からの強烈な圧力にもかかわらず、信念を貫いてシーメンスアルストムの統合を阻止したことは、米アップルに対する130億ユーロ(約1兆6000億円)の追徴課税や米グーグルの優越的地位の乱用に対する姿勢と同じく、芯の強さを示すものだとデンマーク出身のベステアーを推す人々は言う。
同国のモルテン・ヘルベグ・ペテルセン欧州議員はこう語る。「(統合計画の却下は)彼女が決断を恐れないということを明らかに示している。相手国に好まれない決断であってもだ。これこそ、我々が今の欧州に必要としているものではないだろうか」
統合問題に関してベステアー氏は、欧州委員長への望みが断たれないよう注意深く扱っていたことを示す節もある。仏独の担当大臣は公然と決定にかみついたが、ベステアー氏の個人的批判はせず、EUの規定に怒りをぶつけた。
ベステアー氏は今のフランスの合言葉の一つを使い、欧州産業政策の「戦略的見直し」を支持すると強調した。市場アクセスが「互恵的」でない中国の不公正な競争から産業を守る規制強化などだ。
だがそれでも、仏独の野心的な産業協力に反対したことによる政治的摩擦は、ベステアー氏の政治的評価に打撃を与えている。
もとより数々の政治的障害を抱え、アウトサイダーの欧州委員長候補として最も注目を浴びているベステアー氏にとって、それはさらに障害が増えたことを意味する。
ベステアー氏は国籍が不利に働いている。同氏はデンマークの元経済相・内相で、同国はユーロに参加せず、EU協力の多くの分野で蚊帳の外だ。
国内とブリュッセルでのリベラル派政党とのつながりもハンディになるかもしれない。世論調査によると、ベステアー氏がつながりを持つ欧州議会の会派の支持率は1桁台で、デンマークからの欧州委員という同氏の大きな弱みがさらに際立つ状況となっている。「彼女の目はほぼないと思う」と、あるデンマーク政府当局者は言う。
デンマーク政府はベステアー氏の国際的な仕事を支えるだろうが、次期欧州委員の指名については「話は別」だと同国の国会議員ナサ・カダー氏は言う。「実力本位ではなく、デンマークの中で権力をどう分け合うかという問題になる。だから彼女が再指名される可能性はないと思う」
デンマークのラスムセン首相は、ベステアー氏の社会民主党中道右派政権を支持してくれれば同氏を支持すると冗談まじりに語っている。一方、ベステアー氏と同党のメッテ・フレデリクセン党首は関係が悪いと消息筋は言う。6月までに行われるデンマーク総選挙で同党の連合勢力が勝てば、フレデリクセン氏がラスムセン氏に代わって首相となる見込みだ。
デンマーク国民の多くがベステアー氏を近年で最良の欧州委員と見なしており、政府にとって圧力になるかもしれない。だが今年、EU機関トップの座を狙っているデンマーク人はベステアー氏だけではない。デンマーク政界では、ラスムセン氏がEUのトゥスク大統領(欧州理事会議長)の後釜を狙っているとささやかれている。
もう一人の候補はヘレ・トーニング・シュミット前首相だ。2011~14年の連立政権時代からのベステアー氏の政敵で、非政府組織(NGO)「セーブ・ザ・チルドレン」の事務局長を間もなく退任し、ブリュッセルで存在感を高めている。
ベステアー氏の次なる大きな試練は、欧州委員長の座に向けて自分をどうアピールするかだ。
マクロン氏と同様にベステアー氏も、欧州議会の各会派が欧州委員長の候補者を選ぶという「Spitzenkandidaten(筆頭候補者)」方式に懐疑的だ。だが、(欧州議会で)リベラル派の欧州自由民主連盟(ALDE)がベステアー氏を候補者の一人にしようとしている。
ALDEの熱い視線を受けていることは間違いないが、ベステアー氏は時機を見計らって関係を深めようとする構えだ。ALDEの一員である前出のペテルセン欧州議員は、ベステアー氏が候補者名簿に入ることを「期待し、当て込み、願っている」と言う。
ベステアー氏に有利に働きうる要因が一つある。先行きがどれほど不確かであろうとも、そうした問題は恐らく「筆頭候補者」方式と欧州委員長の選定手続きに対する疑問の陰に隠れる形になりそうなことだ。
今もマクロン氏の支持をつなぎとめられているのだとしたら、妥協を許さぬデンマーク人が妥協の格好の選択肢となるかもしれない。
By Rochelle Toplensky, Alex Barker & Richard Milne
(2019年2月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/
(c) The Financial Times Limited 2019. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
本コンテンツの無断転載、配信、共有利用を禁止します。