藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

私が選ぶ時代。

*[次の世代に]仕事を自分で考えていい時代に。
「安心して一生働ける会社」か「自分が成長できる会社」か。
どちらも実現できるのが大企業だと思っていたが、そうではないそうではなかった。
今の日本は「大企業か否か」は重要なテーマでもなくなってきた。
一流企業でキャリアアップを狙うのか。
それとも起業を考えるのか。
中小企業ではそのトップを狙うのか。
自分は結局「新しいことを発想した人の勝ち」ではないかと思っている。
大企業かどうかとか、資格や博士号があるかどうかとか、業界に歴史があるかどうかとか。
そんな垣根を飛び越えて、新しい発想を持てるかどうかが、これからの「サバイバル能力」ではないだろうか。
面白いこと。
ユニークなこと。
望まれていること。
そんなことを掛け値なく発想できる人に、これからのビジネスチャンスはあるのに違いない。
少子高齢かとか、AI化とか、分かっていることはたくさんあるから、「じゃあ私はこれをしたい」と思えた人にチャンスはある。
未来は明るいと思う。
 

進化続ける「働きたい会社」


この春、社会人になる新卒内定者が就職先をどう選んだか。調査を様々見比べると、「成長できる環境がある」が「安定性」「知名度」を抑えてトップや上位に躍進しているのに気がつく。
成長できる環境。「会社とは経験を積む場所であり、一カ所に長くいる必要はない」ということだろう。企業の人気番付も合わせて見ると、順位を上げた企業には「キャリアアップが当たり前」とのイメージがある外資系が目立つ。
若い世代のこの傾向は少し前から表れていた。多摩大学大学院の徳岡晃一郎教授が大企業を対象に実施した調査によると、20~24歳の社員で転職を希望する人の割合は2012年に22.0%だったのが、17年には94.2%まで跳ね上がった。
理由は終身雇用に飽き足らないミレニアル世代の特徴だ、との見方もある。だが専門家の多くが指摘するのは日本企業の組織の実情だ。例えば若い世代が就活時や入社後に接し、驚くのはバブル期の大量採用組を中心とした40歳代後半以降の社員の多さだという。
45歳以上の大企業社員は現在、全国に約500万人いる。そのうち約200万人は管理職になれなかったり、役職定年を迎えたりしてポストのない社員と推定されている。若い社員はそうした世代から会社への不満を聞かされる一方、先輩層が滞留する結果、やりたい仕事を与えてもらえない組織に幻滅していく。
若者を巡る変化は日本企業への警鐘だ。平成と重なる「失われた30年」の間、多くの企業は再教育やキャリア形成への支援が手薄なまま組織を硬直化させた。技術革新は当然生まれにくくなり、それ以上に「日本の大企業で働くことが本当に幸せか」という根源的な命題まで突きつけられてしまった可能性がある。
元号の下で始まる時代に向け、新しい企業の姿を見つめ直す時かもしれない。考える起点はやはり、若者をはじめ社員が心の奥底で抱いているいまの組織への違和感だろう。
コンサルタントとして組織改革に長く携わってきたフレデリック・ラルー氏の著書「ティール組織」が世界で話題を集めている。同書によれば、従来型の組織に閉塞感や違和感を覚えているのは日本の社会人だけではないようだ。
計画や予算、結果。そうした用語に囲まれ、目標管理と評価制度、階層構造の中で生きる現代人は世界中どこでも「英産業革命が起きた18世紀、すなわち人間より機械が重要だった時代と変わらないと考えている」と同氏は言う。
ではラルー氏が推奨するティール(青緑)組織とは何かと言えば、「上下関係や目標管理がない」「一人一人が自らの考えと意志で働き、互いに支え合う」組織だ。例えれば生態系や臓器に近い。そんな組織が本当に存在するのかと思う人は多いだろう。だが同書に出てくるのは空想の産物ではなく、同氏が「既存の企業に違和感を覚え、世界中を歩いて発見した」というパフォーマンスの高い実在の企業や非営利組織だ。
重要なのはそうした事例をまねよ、ということではない。「個人の働きがい」や「幸福」「成長」という命題から逆算してみたら、企業が若者から避けられる理由や、不祥事、パワハラが相次ぐ原因が意外に見えてくる可能性がある、ということだ。
日本にもティール組織に似た企業は存在する、と私は考える。岐阜県にある電気設備機器メーカー、未来工業は社長、役員、管理職がいる普通の会社組織の体裁をとっている。だが、業務の「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」を一切求めず、社員一人一人に権限を与え、それを組織全体で支える経営で知られる。
山田雅裕社長は「社員のやる気がすべて。それを失っては組織がうまく回るはずがない」と話す。仕事に打ち込んでもらうために、社員からは1件500円で「業務改善提案」を募り、無駄な業務を年間5千件もとりやめる。残業は禁止。休日は日本企業で最も多い年間140日に達するが、創業以来赤字を出したことは一度もない。昨年12月には東証1部へ上場を果たした。
もう一社ある。コピーライターの糸井重里氏が経営し、手帳の販売などで知られるほぼ日(ジャスダック上場)。同社も似ており、社員の自主性、リーダーシップでヒット商品を連発している。
もともとは「東京糸井重里事務所」だった。改組したのは、「一緒に働く人と自分の関係が『子弟』から『教え合う仲』に一変したため。インターネットの普及は人と人の関係を大きく変え、若い人の方がむしろネットを巧みに操って情報を豊富に獲得する時代になった」と糸井氏は言う。
小規模な企業だから可能だ、というわけではない。組織の柔軟さという点では、グーグルなど米巨大IT(情報技術)企業もプロジェクトごとにリーダーや形を変幻自在に変えるフラットな組織構造を持っている。20世紀型の企業組織は米ゼネラル・モーターズGM)が1920年代に確立した「事業部制」に起点があるとされるが、働き手の役割を細分化し、効率性を追求するやり方はむしろほころびも限界も多い。
日本企業も組織をもっと柔軟に試す時だ。働く人を起点に考えれば、その先にはきっとポスト平成の「働きたい会社」「技術革新を生む組織」の輪郭が見えてくる。