藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

AIの目。

*[ウェブ進化論]一番自分を見ているやつ。
そう遠くないうちに、AIが自分たちの表情をリアルタイムに見て、健康状態から精神の安定度、さらには犯罪を犯しそうかどうか、を予測できる日が来るだろう。
自分でも気づかない「顔色」とか「表情」を誰よりも客観的に判定してくれるのだから、ある意味最高のパートナーとさえ言えそうだ。
 
ネットでやり取りされたデータの解析なんて、実に簡単な入り口だろう。
(そのうちみんな大事な情報のやり取りはネットではしなくなるのでは、とも思う)
そうした不正の防止のためだけではなく。
できればもっと前向きなことにITを使って欲しいものだ。
 
例えば「兆候アドバイス」。
夫婦やカップルの関係が悪化したり。
親子のコミュニケーションは大抵摩擦があるものだし。
仕事場での関係もストレスフルだし。
そんな中で自分が「果たして平常な精神状態でいるのかどうか」ということも疑わしい。
 
「少し表情が険しいですよ」
「睡眠が安定していませんでしたね」
「脈拍が速いですよ」
「今夜はリラックスしていますね」
なんてAIスピーカーが話しかける未来はもうすぐだろう。
却って自分たちが一番不得意な「冷静な目」を提供してくれる最良のパートナーになるかも、と期待しているのは自分だけだろうか。
 
 
 
 
 
AIで不正取引の芽察知に乗り出す銀行
2019年3月27日 7:03
もしトレーダーの不正取引をほんの出来心の段階で、例えば離婚で巨額の慰謝料を抱えたり、ポーカーで大負けしたり、退屈な日々の仕事がイヤになったりして魔が差す前に止めることができたらどうだろう。
もし「クロ」と判定されるメールが1日1万通にも上り、身動きがとれないでいる不正監視担当者が、トレーダーの言葉使いなどの微妙な変化から彼らの行動の異変を察知できるようになったら、とも想像してほしい。
銀行はトレーダーによる不正の兆候をつかもうと、AIを活用して会話やメールなどの監視に動き出した=ロイター
万引きを予測する人工知能(AI)搭載カメラを日本企業が発売する世の中だ。世界有数の大手銀行が今、例示した以上のことが可能になる先進技術を取り入れ始めているというのは、それほど信じがたいことではない。
ここ数年、銀行業界はトレーダーを監視する能力を飛躍的に向上させている。いかにも不正を働いていることがわかるような語句だけでなく、「この会話はオフラインでしよう」といったさりげない言葉も検知できるコミュニケーション監視ツールを採用し始めているのだ。
銀行はトレーダーの行動に以前より厳しい制限をかけるようになった。巨額取引が簡単には行えないようにし、(米JPモルガン・チェースのトレーダーがロンドン市場で巨額のデリバティブ=金融派生商品=の持ち高を抱えて動けなくなり、大きな評価損が発生した「ロンドンの鯨」事件のように)一度に60億ドル(約6600億円)もの巨額損失を出す事態に至りにくいようにしている。アイルランドの情報分析会社コーリティクスによると、世界のトップ13行が過去10年間に被った損失と科された罰金の合計額は100億ドルを超える。

メールの言い回しまで特定

AIと機械学習を武器にした銀行の不正取引をなくす取り組みは今、新たな時代に入ろうとしている。「我々は可能性の扉を開けた」。米IBMで同社のAI「ワトソン」を利用した金融機関向けサービスを担当するマーク・アンドリューズ副社長はこう語る。不正を行う可能性の高いトレーダーを予測するための同社のツールは、会話の口調を監視したり、借り手の信用力を示すクレジットスコアの変化を利用したり様々なことをするという。
すでに10行以上の銀行がワトソンを導入し、日々のやりとりを監視している。「我々はトレーダーのメールを調べ、コミュニケーションのパターン、つまり内容だけでなく言い回しまで特定している」とアンドリューズ氏は話す。
機械学習を利用することの利点の一つは、容易に回避されてしまうような特定のルールを設定しないで済むことだ」と同氏は言う。「トレーダーの立ち居振る舞いが変わった途端にコンピューターはひとりでに学習し、より迅速に対応できるようになる」
重要な成果の一つは銀行が処理しなければならない「偽陽性」の件数が減っていることだ。本来はシロであるのに、誤ってクロと判定される事案のことで、従来のシステムでは1カ月あたり数十万通ものメールが不正の疑いありと分類されるため、その中から実際の不正を探し出すのは至難の業だった。
ワトソンがリスクの高低を識別するおかげで、銀行は受け取る警告数を減らすことができる。低リスク事案に割く労力やコストを削減するのが狙いだとアンドリューズ氏は話す。

警告事案が毎月45万件も

同じく銀行向けの監視ツールを提供する英ビヘイボックスのアーキン・アディロフ最高経営責任者(CEO)は一例を挙げ、ある銀行ではトレーダーが妻に頼み事を送信するといった「くだらない内容」まで検出するせいで、全体の警告事案が毎月45万件に上っていたと話す。
「我々のツールを導入することで、そのうちの95%を削減できた」。アディロフ氏は言う。
アンドリューズ氏によると、銀行は新たに別の指標も監視システムに取り入れ始めている。例えば人事評価やクレジットスコアを使い、不正取引を行う動機や傾向があるトレーダーを特定するのだという。
IBMはそれとは別に、公的記録など他の情報を監視システムに利用できるようにするツールも開発した。有罪判決や巨額の支払いを伴う離婚調停は危険信号になりうる。「これについては多くの問い合わせを受けているが、製品化したケースはまだない」とアンドリューズ氏は話す。
「多くの企業は、まだどの手法に投資すればよいか見極めようとしている段階だ」
不正取引検知システムの価格は通常1000万ドル以下で、銀行が被ってきた数十億ドル規模の損失に比べれば少ない。しかし、銀行は採用するシステムについて依然、「価格を気にしている」とアンドリューズ氏は言う。
その一因として、同氏は巨額の不正取引事件が近年は起こっておらず、規制当局者の要請が顧客の身元確認やマネーロンダリング資金洗浄)対策に移ったことなどを挙げる。

高度な技術でも根絶できない

銀行は不正取引を完全になくす解決策を求めてはいないものの、「警告数を20%減らしつつ、その20%の中には絶対、実際の不正が含まれないようにすることはできないか?」などと聞いてくるという。それに対するアンドリューズ氏の答えはいつも「ノー」だ。
重要な問題は銀行文化の改革や取引制限の厳格化、規制当局からの圧力などに加え、技術的に高度なツールを使うことで不正取引を過去の遺物にすることができるかどうかだ。
英調査会社オートノマス・リサーチのアナリスト、レックス・ソコリン氏によると、機械学習と、IT(情報技術)を活用して規制などに対応するいわゆる「レグテック」を組み合わせることで、大手銀行は実際に市場で不正取引が行われる前に内部で兆候をつかみやすくなる。同氏は「(とはいえ)絶対確実なシステムはありえない」とも指摘する。
ある米大手投資銀行の頭取は、不正取引は10年前と比べ、緊急性の高い課題とはみなされなくなったものの消え去ったわけではなく、今後も決してなくならないだろうと話す。他行でも同じような見方をしているが、断言していると思われないよう、公には語りたがらない幹部が多い。
「基本的には、常にそれ(不正取引)は懸念材料だ」と英金融サービス助言会社FSコムのオーエン・クミスキー氏は述べる。
「ITを活用すればより効果的な抑制策になるだろうが『大丈夫、不正を根絶してくれるブラックボックスを手に入れたから、もう過去の問題だ』などと本気で口にする人には出会ったことがない」
By Laura Noonan
(2019年3月25日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/
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