藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

サイバー世界の鉄道。

*[ウェブ進化論]寡占はこれから
IT業界を独占するGAFA規制について。
日本でも戦後財閥解体(今でもあるけど)とか公社の民営化とかあったのだろうけれど。
こうした話は欧米が進んでいる。
不透明なバーター取引(「無料」でサービスを提供する代わりに利用者のデータを得る)を手掛ける各プラットフォームで、これ(反トラスト法違反)を証明するのは難しい。かくしてゲートキーパーは成長し続けるわけだ。

 昔と縮図は同じでも、規模とスピードが違う。

今の話はサイバー空間のことだ。線路の敷設に時間はかからない。
しかも昔の鉄道時代と違い、GAFAは「サービスを丸ごと取り込む」スタイルだ。
鉄道とサービスを分けるように、amazongoogleを解体しては「ユーザーから見たメリット」が実は損なわれるような状態になっている。  
つまり「プラットフォーマーは、より寡占化して他業種を取り込むことで、ますますユーザーにメリットをもたらす」優良企業という位置付けだ。
 
プラットフォーマーが独占することで、より安く良いサービスを提供するのだとしたら。
さて独占は、良いのか悪いのか。
 
自分はこれからもGAFAと言われる企業たちが、その振る舞いを「ユーザー目線」で提供する限りは独占は続くのではないかと思う。
これは効率の話だ。
そして行き着くところまで行ってから、「いよいよ解体」となるのではないだろうか。
仮想通貨も決済も認証も、ようやくこれからが本番だ。
ただこういう発想でGAFAを眺めておく目線は重要なことだと思う。
 
[FT]GAFA規制、19世紀の鉄道問題に解あり
2019/6/21 2:00 (2019/6/21 2:01更新)
 インターネットはかつての鉄道と同様、今や世界の多くの商取引やコミュニケーションに不可欠な公共インフラとなっている。だが、ネットを支配しているのは民間の営利企業だ。そしてかつての鉄道各社と同じように、そのIT(情報技術)大手各社も独占という問題に直面している。
Matt Kenyon/Financial Times
 国際通貨基金IMF)のラガルド専務理事や、米司法省の反トラスト法(日本の独占禁止法に相当)部門のトップを務めるデラヒム司法次官補など、各方面からIT大手が握る権力について警告が最近相次いでいることを踏まえると、これは慎重に考えるべき問題だ。
 デラヒム氏は12日、講演でこうした「ゲートキーパー」がもたらす課題について、19世紀の鉄道各社による独禁法違反問題に触れながら説明した。また、米司法省と米連邦取引委員会(FTC)はこのほど、米ITの大手グーグル、アマゾン・ドット・コムフェイスブック(FB)、アップルに対する調査について役割分担を決めた。
 だが、注目すべきは米下院司法委員会の動きだろう。同委員会は、巨大IT各社に一定の歯止めをかけるべく、現行の反トラスト法の規則を改定する必要があるかどうか独自に調査を進めると発表した。従って、司法委員会は今後1年半ほどかけて公聴会を開き、関係者によるとIT業界の有力幹部や前述の4社に抑え付けられたとする競合他社に聞き取り調査したり、証言を求めたりするという。
■19世紀の鉄道各社による独占に酷似
 司法委員会の議員らが、この問題を考えるにあたっては、チャールズ・フランシス・アダムズ氏が1878年に出版した「鉄道 その起源と問題」を読むと非常に参考になるだろう。同氏は、かつては鉄道会社の幹部を務めていたが、その後、規制当局側に転じた。本は簡潔で、驚くほどわかりやすい。
 アダムズ氏は同著の中で、欧州と米国で鉄道各社がどのように少しずつ力を持つようになり、19世紀にその独占を維持しようとする一握りの実業家たちを、鉄道を一般社会の人々にとって有用な存在にするのにいかに苦労して協力させるに至ったかを描いている。
 アダムズ氏は「鉄道の問題」と題した章で、当時の規制状況をこう説明している。「鉄道産業の発展を振り返ると、産業を巡る法律や規制は存在しているが、鉄道を所有し、その輸送も独占している人々による主要路線の使い方、運営の仕方は、よくいってもうまく機能しているとはいえないのは今や明白だ」
 この章の題名を「ネットの問題」に変えて読めば、我々が今直面している産業の構造とその問題を的確に把握できる。アマゾンは米ネット通販の消費額の3分の1以上を占めているし、グーグルは米検索エンジン市場の88%、モバイル検索では95%のシェアを握る。米国民の3分の2がFBに登録しており、同社は写真共有アプリの「インスタグラム」や対話アプリの「ワッツアップ」を買収し、SNS(交流サイト)アプリ上位8つのうちの4つを所有している。
 これら3社と、世界で初めて時価総額が1兆ドル(約107兆円)を超えたアップルは、自らが築いた巨大なエコシステム(生態系)を利用して、自社の製品やサービスを優遇し、競合他社をネットワークから排除しているとして批判を浴びている。
 1970年代以降、米規制当局にとってのネックは、米国の判例では独占状態が原因で価格が上がっていると証明できなければ、反トラスト法の裁判で勝訴するのは困難になっている点だ。不透明なバーター取引(「無料」でサービスを提供する代わりに利用者のデータを得る)を手掛ける各プラットフォームで、これを証明するのは難しい。かくしてゲートキーパーは成長し続けるわけだ。
■プラットフォームと商取引は分離すべきだ
 だが、潮目は変わりつつあるようだ。反トラスト法、商法、行政法を管轄する下院小委員会で働く競争法の専門家、リナ・カーン氏は新たな論文で、鉄道問題とIT大手各社の問題を鋭く比較している。彼女は、もっと公正で、競争できるデジタル環境を整えるには、プラットフォームと商取引を分離する必要があると結論づけている。
 この考え方は、次期大統領選で民主党候補の指名獲得争いに名乗りを上げるエリザベス・ウォーレン氏らも推進している。ウォーレン氏も巨大IT企業を鉄道会社と比べ、世界の売上高が250億ドルを超えるIT企業については、プラットフォームという「公共財」を所有する一方で、そのプラットフォームの参加者にもなることを認めるべきではないとしている。
 この点は、市場を築いてかつ支配するのを防ぐために、鉄道各社に適用された分離策を思い出させる。
 例えば、1900年には米鉄道6社が無煙炭市場の90%を握っていたため、無煙炭は高騰し、鉄道各社は莫大な利益を上げていた。そのため、独立系の石炭各社が6社の鉄道を使って製品を輸送することは極めて難しかった。
■独占を許すことは国の支配につながる
 この問題は結局、プラットフォーム(輸送手段を提供する鉄道各社)と商取引をする企業は分離しなければならないと定めた「コモディティー条項」によって是正された。こうした分離策はその後、銀行など他の分野にも広がり、銀行持ち株会社が様々な業界で顧客と競合するのを阻止した。2013年に発覚した米金融大手ゴールドマン・サックスが何万トンものアルミニウムを購入し、これを複数の倉庫の間を移動させ、アルミの供給を操作していたとする不正保管疑惑を追及する根拠となったのもこの原則だ。
 これらと同じ基準を今の巨大IT企業に適用すべきなのは明らかだ。もっとも、IT各社が今後何カ月も、この動きを阻止しようとロビー活動に全力を挙げるのは間違いない。
 アダムズ氏が19世紀に指摘したように、鉄道会社が石炭をはじめ様々な産業を支配していくことになった「プラットフォームと商取引を一体化するプロセス」はかなり進行していたため、当時、「もし国が鉄道各社による独占問題に対応しなければ、鉄道各社が国を支配する時代が到来する」とまでいわれた。
 今後の巨大ITの規制を巡る攻防をみれば、今の産業界の巨人が米国の政治システムを既に支配しているのかどうかが明らかになるだろう。
By Rana Foroohar
(2019年6月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/
(c) The Financial Times Limited 2019. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.