*[ウェブ進化論]便利が押し流す世界。
IT業界というものいつの間にか「赤信号、みんなで渡れば…」一色になっている。
自分も業界に入った30数年前に「ソフトウェアというのはずい分不安定なものだなぁ」と思ったものだが、今やその比ではない。
ソフト製品のメーカーは、製品が出荷されてからもバグ直しをするし、さらに機能拡張も"これから"が前提だ。
デジタル技術も、必ずしも法的な根拠があるものばかりではない。
データ利用とかクッキーとか法律が追いついていないから、「まずはやってみよう」ということになる。
そしてモラルハザードが常態化する。
ソフトウェア製品なんて、完全になるのを待っていたらお客がそもそも納得しない。
もっと便利にワンストップで、全てスマホで。
(バグは後からfixすればユーザーは何も言わないし)
ログイン情報はもう一つか二つでいいのじゃない?
多分車とか精密機械のエンジニアが聞いたら卒倒しそうなくらい「まずリリースありき」ということが、特にスマホ時代には当たり前になってしまった。
メーカーがそんな具合だから、一般の開発会社はもっとゆるく、そして淘汰も激しい。
ユーザーにとって「致命的でないもの」は、できるだけ早く作り、早くリリースしてみんなで使う。
そして"受けないもの"は即退場という業界ルールだ。
製品のライフサイクルはますます早まっている。
けれど、かつての「完璧を期してリリースする」というスタイルよりは、恐らく何十倍も開発の範囲は広がっているのもまた事実。
"便利を優先"が当たり前の時代に、従来の日本の良さでもある"品質ありき"をどのようにミックスしていくかが、これからのヒントになるのではないだろうか。