17日、光ディスクの発明対価訴訟で、メーカー側の上告が棄却、1億6300万
円の支払いが確定した。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20061017AT1G1703I17102006.html
元日亜の中村教授に続き、二番目の高額決着だが、それよりも画期的なこと。
その発明が海外で利用され、得た利益についても、対価の請求対象としたこと。
特許法は国によって微妙に違いがあり、特許の登録には、国ごとに、個別の出願手続きを取らねばならない。
それ故か、これまで海外の貢献分は対象しない、というのが通念だった。これが覆った。
この特許で、日立が得ていた利益は、海外6カ国にわたって、11億8千万。これに対し1億6千万あまりの支払いである。
大きな進歩といえるだろう。
これに対し、メーカの態度はどうか?
メーカーの性根…
日立の知財部長・平山裕之氏は、
「まことに遺憾。発明を奨励する会社の意欲をそぐ判決だ」。
との言。
また、同社は、
新制度に基づき支払った報奨金は合計で8億1000万円に上る。
と。
どうしてこういう思考回路なのか。
さらには、
「巨額の報奨金は、企業の競争力を阻害しかねないとの警戒感が強い。」
と。馬脚を現す、とは、
このことである。
研究理念は何か?
企業は、社員と目標を共有して発展していくのが当たり前である。
技術を核にするメーカにとって、技術者の「やる気」を鼓舞せずして、未来に希望が拓けるわけはない。
何も一発ねらいの「高額なだけの報奨金」が必要なのではない。
幅広い角度にR&Dを展開するメーカーは、単発の「発明と、その利益」だけにいちいち支払いをしていてはやってゆけない。
ただ、技術者に
・ 会社の開発投資の計画を示し、
・ 成果予想を公表し、それに基づいて
・ 必要な「係数」を合意して、
「本当に納得感のある報奨金規定」を練り上げていく必要があるのではないか。
煩雑さを理由に、発明毎には利益の算定ができない、と言うのは、提供者側の理屈でしかない。
「シンプルで、透明な」制度が鍵。
オープンに市場(発明者側)の意見を取り入れ、「企業と発明者の一体感が持てる」システムを作った企業に、これからの知的財産が集まってゆくのは当然である。
〝プロパテント〟の実践者は国ではない。
企業が、自分の会社でそれを標榜できるかどうかで決まるだろう。