中国に進出した「日系企業の悲喜こもごも」にまつわる話は多いが、中国から見た日本の姿、特に「日本の内部」についての話はあまり聞かない。
中国の友人と親しくなると、「日本は高度な共産主義システムですね。」などというけれど。(苦笑)
宋さん(ソフトブレーン創業者)のコラムが人気なのは、偏見のない「中国人から見た日本人」が綴られているからだろう。
自分はコラムも好きだが、「山東省出身の中国の人」が、北大に留学するも天安門事件で祖国に帰れず、日本で「営業支援パッケージ」を開発し、上場まで果たしたプロセスにも興味があったが、なにより横文字が跋扈し、欧米が席巻する「ソフトウェア製品の世界」で数千社に導入される製品を開発した人物の考えを知りたかった。
また、昨年ソフトブレーン社を訪問させていただいたが、
事務所内を見学していると、デスクワークの社員が全員「いらっしゃいませ!」と歓待し、外回りの営業マンが「ただいま帰りました!」と声を張り上げるのを見るにつれ、ますます大したものだと感心した次第。
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□普遍的な提言
著者は「営業スタイル」を通じて、自分の価値観を語っている。
いわゆる欧米式のSFA*1、CRM*2でもなく、しかしながら日本式の「根性論」には疑問を呈する。
その主旨は至極妥当。
・信じていないものは売ってはいけない。
・数字のみのインセンティヴは、(モノ溢れの)現代ではそれほど強くない。
・必要なものを必要な分だけ届けるのが営業
また、日本企業の営業指向を「モノ作り偏重主義の弊害」だと分析する。
「良いもの」は売れないはずがない、という思い込みだと。
著者はそこで現代の「営業スタイル」を提唱している。
・営業の本質は「売る」ではなく「知る」こと。
・営業課長のミッションは部下の「営業プロセス分析」のみ。自らが売ることではない。
・「足で稼ぐ」ことの意味は、「アクセス母数の増加」であり、「強引な売り込み」はお門違い。
自分も昔よく先人から聞いたものだ。
「提案力なんて高級なものは必要ない。必要なのは〝情報編纂力(聞く力)だ〟と。
「勝敗は兵家(ひょうか)の常」(勝ち負けは戦いにつき物で、その後の改善が肝要、の意)という著者の言葉に接しながら、日常を「本当に」客観的に見直し、改善していくことの難しさを再認識した。
「当たり前のこと」が一番できてないよ。と
印象に残った言葉が二つ。
戦い方は会社が決めることであり、社員が決めることではない。会社が決めた戦い方で負けた場合、その責任は社員にはない。
生き残ったのは、最も強いものではなく、最も賢いものでもなく、最も「変化に順応した」ものだった。(ダーウィン)