藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

セミ報告。


現金なものだ。(誤用)



一昨日の深夜に。


会社からの岐路、最大のピンチが。



自宅前の小さな森前。


これでもか、と鳴き上げるセミたち。


「ウォオーンウォンウォンウォン……」と響く声はある種の「音圧」を感じさせるほどの威力。


セミの林」をすり抜けるのは地雷原を突き進む思いだった。
(本当の地雷の地域の人には申し訳ない表現だ)

  • まず、前に立ち、一瞬呆然とする。

(この中をゆくのか)


一気にいくか。

  • まてまて、短慮はよくない。冷静にだ。よく見ろ。


ゆっくりと近づく。

  • 薄暗い街灯に、そらだんだん目が慣れてくるぞ。


ふむぅ。
地面になにやら。


落ち葉でもなく。


カサコソ。


おおおぉ。地面に留まっとるセミかぁぁ。

冷静に。
俯瞰せよ。


全体を見渡す。


ふむう。


なんとなくデカいハエみたいなものがブンブン飛んでるが。


目を凝らすと。


おおっ。
あれもセミだ。


地面にいるやつが4-5匹。


空中飛んでるのは5-6匹か。

  • 間合いを読め。


じりじりと近づく。
足のサイズの半分ずつくらい。


いよいよ森の入り口を越えると。

  • 幾分早足だ。だが慌てて取り乱してはイカん。

全員を敵に回すぞ。


すり足気味にシュッシュッと進む。


「ギャッ!」


なんと、木の幹に止まっていたやつが急に飛び立ち、こちらに向かってくる。


予想外ながら、比較的冷静に頭を傾げ、上半身を腰の位置まで下げて、かわす。


  • 歩く速度は緩めるな。


すり足はそのまま、地面にうごめく彼らも刺激せず、また空中をバタバタ旋回する一団を驚かせず。


  • 入り口の自動ドアに達した時には一仕事終えたくらいの緊張の緩和があった。

季節とともに


そんなスリリングな三日前だったが。


今日、一気に気温が下がり。


そしてあれほど鳴いていた蝉たちは、一斉に鳴き止む。


気温と蝉の関係については詳しくないが、季節の先取りは見事と感心した。


残暑から一気に初秋へ向かうかのごとく。


目線の高さと距離。


余談ながら、セミ地雷原を行軍する中、ふと「目線の位置」について考える。



なに、

  • 近く(2-3m先)ばかり見ていると、その先の障害物を見落とし、クラッシュ。が
  • あまり遠くをみていると、足元の地雷に気づかず、もろに踏むことに。

これってなんとなく、日ごろの生活に似ていないか。

目線は近すぎず、若干遠く、遠すぎず。

セミもなかなかの教訓じゃないか、などと。