で、お題は職業のツブし、ではなく「人として」のツブしのこと。
【人としてのつぶし】
――が効(き)・く
それまでの人間をやめても、他の人生また他の分野の人生でも十分やっていく能力がある。
ようするに「リセット力」か。
まだ無垢で、その代わり何の自信も持てぬ「二十歳くらいまでと、それ以降」ではだんだん「積み上がってくる」ものがある。
「そういうもの」が自信、になったりプライドになったりする。
いい風にはそんなことがあるが。
これがヘンに固まると。
『ツブしの効かぬ』人間ができあがる。
とはいえ、実際四十にも五十にもなり、「これまでの自分」を完全に捨て去る、というようなことは生半可ではできるものではない。
我われはそんな「積み重ね」の上に立っていることも事実である。
だからこそ、いざとなればいつでも「ツブせる」ような覚悟が必要なのだろう。
「心の柔軟性」みたいなものだ。
これがないと、何が起こるか。
だんだん、「気持ちが硬直」してくる。
年とともに、ストレッチが必要なように。
筋肉や筋がどんどん固まっていき、何の柔軟性もない老人が出来上がっていたりするのだ。
ツブしの効く人、というのは「心の老いない人」ということなのか。
最近いろんな人の転職に立会い、そんな風に感じる。
まだ三十代なのに、
いやまだ二十代なのに、もう硬直している人もいる。
ここでも「囚われない心」ということか。
真理は常にそんなところにあるようさ。