藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

募集、キンドル作家。

・(出版する)作品は五分で登録可能。
・ISBN(日本図書コード)の取得には二週間待てばよい。
(これとてそのうち数が増えればオンラインになるだろう)
・しかも費用は一点2000円程度。(これまでは200-300万円!)
・本の価格は著者が決められる。

書棚が要らなくなるのも素敵だが、誰でも自費出版、はもっとすごい。
著作者側の「創造のロングテール」もぐんぐん伸びることだろう。

なくなるものと残るもの。


そもそも出版社とか、新聞社とかが持っていた「最大の優位」はどこにあったか。
というと、それが「印刷された紙」だったということに気づく。
印刷されたペーパー媒体、という形で何かを手に入れようとすると、どうしても出版社の世話にならずにはいられない。
一冊分の本の内容がwebに上がっていたとしても、それをダウンロードしてA4用紙などに印刷し、持ち運んでいては不便だし、コストも合わない。

出版社の絶対性は、グーテンベルク印刷機にあった。(ちょっと変かな)


なので「出版社ヌキ」という、今のネットの常識はアプライされなかったわけである。


もう村上春樹が一冊5000円で、「1Q84/第三巻」を自己出版してもよいわけだ。
新潮社からでなくとも。
本当にほんの再販価格制度、はいっきに吹っ飛んでしまうのではないだろうか。
すでに音楽配信はi-Tuneのおかげで一曲100円くらいまで値崩れしているし。(シズシズ)


よく新聞がなくなる日、などと言われていたが、新聞社は多くの記者の組織化と、論説委員の分析力でのみ、生き残るのだろう。
紙媒体というハードウェアの利益は電子ペーパーによって剥奪される。
情報力、批評力、予知能力、といったソフトウェアでのみ、これからの彼らは残り得るのだと思う。


早くも日経の記事には『「キンドル」作家、募集中 米アマゾンが自費出版支援』の文字が踊る。
それにしても、そうして出版点数が増えると、サイバー書店はますます必要になる。
アマゾンなしにコンテンツは流通し得なくなるのだろうか。


それにしても。
本そのものを古本としてコレクションしたい、という人以外には「古本」という概念もなくなるに違いない。
だってデジタルに古いも新しいもないもの。
第一版と第百版の差、など何もない。


そしたらブックオフは大丈夫なのだろうか。(疑)





<NIKKEI netより>

キンドル」作家、募集中 米アマゾンが自費出版支援
 インターネット小売り大手の米アマゾン・ドット・コムは、全世界を対象に電子書籍端末「キンドル」向けの著作を自費出版する出版社や作家の募集を始めた。米国内の出版社や作家に限って自費出版する仕組みはあったが、これを米国外にも拡大して仏語や独語にも対応する。対応言語も増やす考えだ。

 アマゾンが展開するのは「デジタル・テキスト・プラットフォーム」。パソコンなどで作成した文書を投稿し、アマゾンが運営する書籍配信サイトを通じて全世界に販売できる。販売収入はアマゾンと出版社・著者が分け合う形となる。

 アマゾンは2009年10月から日本を含む世界100カ国以上にキンドルの販売地域を広げており、自費出版の対象地域・言語も拡大する。(シリコンバレー=岡田信行)