藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

局面を読む、ということ。


敢えてすることがタブーのようでもある「羽生善治の強さ」というものに、構造化の天才である梅田氏が挑んだ。
ご自分でも書かれているが、「将棋を指す」ということではなく「観戦して楽しむ」という楽しみ方がもっと分厚く潜在するだろうことと、その啓蒙に恐らく初めて挑戦している氏のアプローチは、本著の中に棋譜の引用はとても多いものの非常に興味深い。
将棋云々、ということを飛び越えて、
知力、とか
スキルアップ、とか
研究の積層、とか
対戦力、とか
人間性、とかそんな側面からのアプローチがとても面白い。


プロレスの観戦には、その「勝負の勝ち負け」ではなく、筋骨隆々の男たちの肉弾戦が持つ「すご味」を味わうことに醍醐味があるのだ、ということらしいが、それに似ている。
恐らく究極の「知力と読みと研究知識の勝負」の中での「厳しさ」が観る者の心を惹きつけ、離さないのであろうと思う。


本のレビューはあす以降にしてみたい。
これまた、梅田氏のこれまでの著作よろしく、読み込むのに軽く一月を要した。
「噛みごたえ」のある本は、消化が大変だが、いくら噛んでも味が出る、ということが実感されるのでブックカバーが染みだらけになっても携帯して味わいつくす、ということになる。


これも読書の最高の楽しみ、と言えなくはないだろう。