藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

自己防衛。

ここ十年近く、法律業界の仕事に集中し、いわゆるIT系の仕事からは遠のいていた。
遠のく、というかあくまでITありき、ではなく「法律のためのIT」というスタンスだったのである。

それが今年から、またセキュリティを柱にしたITに関わっている。
今年になってからでもずい分、ネット社会は物騒になった。
それは「より重要な存在」になったネットの"必要悪"という気もする。
当初は実名で、しかも一部の人だけが使う手段だったネット。
それが、もう小学生から老人までが何らか日常的に使う「手段」になってしまった。
便利なものには「ダークサイド」が付きまとうのは、人間社会の宿命と言ってもいいだろう。

今年になってから、超大手のIT系企業とか、金融機関、政府機関などが相次いで「サイバーテロ」に遭っている。
まだテロの質は、それほど宗教色も帯びず、また人命を脅かすようなものは少ない。
が、ことはコンピュータである。
今や自分たちの周囲には、道路、エレベータ、車、電車、衛星、航空機など「ありとあらゆるところ」にコンピュータが組み込まれている。
これらすべてが「汚染」され、暴走したらどうなるだろうか。
IT機器の便利さを享受している分、その影響は大きい。

インターネットに常時接続できるようになって久しいが、我われはそろそろ「安全のためのコスト」とか「安全のための煩わしさ」について考えねばならなくなってきている。
その「煩わしさ」は、日常家を出る時にドアを施錠する、あの手間と同じである。
それほどにサイバー世界は、リアルの我われに対して影響を持ってしまってのである。

「セキュリティー」という言葉が表立って必要でない社会、はとても美しい。
いやそれこそが「美しき日本なのだ」という気すらする。
けれど、今や日本にも「その世界」は少ない。
辺境の村社会にて、唯一その名残をとどめるが、基本は鍵をかけ、「自己防衛、自己責任」が通り文句になっている。

これから最も危険なのはスマホ、だと言われている。
それだけ便利で、急速に普及しているのだ。
スマホが便利に、高機能になればなるほど、"ある集団"から狙われてしまう。
究極の便利さに潜む、本当の安全性とは何か、を「利便性最重視」でやってきたこれまでを自重して考える時代が来ている。

スマートフォンは「身につけるpc」に近い。
利便性の偏重が過ぎて、大けがをしないよう気をつけたいものである。


サイバー攻撃スマホ標的も間近」 米シマンテックCEO
「守る情報、選別を」

大企業を狙ったサイバー攻撃が後を絶たない。今春のソニーに続き、三菱重工業やIHIなど防衛産業も標的となり事態は深刻だ。スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)市場の拡大など新たなビジネス機会を生かしながら、どうリスクに向き合うべきか。セキュリティーソフト世界最大手、米シマンテックエンリケセーラム社長兼最高経営責任者(CEO)に聞いた。
――ソニー問題以降、企業はサイバー攻撃を警戒したはずだが、被害が続く。

「もはや企業も個人も政府も攻撃と無縁ではいられない。攻撃は標的を定め巧妙だ。ネットには個人や企業に関する情報があふれ、攻撃者は狙いをつけやすい。ある調査によると、企業の70%以上が攻撃を受けたことがある。内部の人間が攻撃にかかわる例も目立つ」

――攻撃者像をどうみるか。

「伝統的な金銭目的の犯罪者のほか、企業や政府の機能まひを狙う人々がいる。最近は自分とは主義・主張が異なる組織を攻撃する『ハクティビスト』も存在する。動機はさまざまだ」


――どう対処するか。

「企業はまず、どれが守るべき大事な情報か取捨選択をしなければならない。その上でそれを重点的に防御する必要がある。国から国へのサイバー攻撃も増える。国の繁栄は攻撃から国民や企業、インフラを守れるかどうかに左右される。『自己防衛』について発想を改める時期だ」

――手軽にネット接続できるスマホが普及する。

「パソコンに代わりスマホがコンピューターの主役となり、攻撃の対象になるのは時間の問題。利用者の認証など安全対策が急務だ。スマホは個人の端末を仕事に持ち込む人が多いうえ、基本ソフト(OS)が多岐にわたり、これを総合的に管理する仕組みを求められる。当社はパソコンからスマホまで広く問題解決策を示したい」

――言論統制のある中国でネット利用者が急増する。懸念材料か。

「(SNS=交流サイト=が大きな役割を果たした)エジプトの民主化運動を見れば明らかなように、ネットでつながり始めた人々を誰かが支配するのは無理だ。いかなる保護主義、検閲も長続きしない」

――日本でもフェイスブックなどSNS利用者が増え、個人情報が膨らむ。リスクは。

「いまや企業の人事部が採用候補者のフェイスブックを探す時代だ。利用者は一度書き込んだ情報は消せないと認識すべきだ。趣味について書けば、関心を引きそうな表題の有害メールが届き、うっかり開いてしまうかもしれない。SNSを使うなとは言わないが、用心がいる。私自身はほかに交流の方法があり、フェイスブックは使っていない」

――世界経済は先行き不透明だ。

景気動向にかかわらず、安全対策への投資は続く。携帯機器の技術で先行してきた日本市場は当社にとって重要であり、他社との提携など事業強化を進める」(聞き手は村山恵一)