昨日の「突風予報」は全国的によく当たった。
現代の天気予報は、昔のような「占い的なもの」ではなく、行動予定の基本になる生活情報になってしまった。
いつのころからか、気温な降水確率を基に、自らの出勤の用意をすることが普通になっているのは科学の進歩以外、何物でもないだろう。
それはともかく。
かねてから面白い「いちよし経済研究所」。
それが3か月後、1年後の「セクター別天気予報」を発表した。
実に興味深いので紹介する。
まず成長セクター全体を、ハイテク製造業、耐久消費財、資本財製造業、社会インフラ、レジャー、サービス、小売・流通、バイオ・ヘルスケア、ITインターネットの主要9分野と捉え、さらにそれぞれを、2〜6のセクターに細かく分類した。
この分類の仕方で、すでに斬新である。
政府の産業分類とはえらい違いではないか。
小分類としては、半導体・液晶、発光ダイオード(LED)、太陽電池、リチウムイオン電池、スマホ・タブレット、高吸収水性樹脂(SAP)、自動車部品、住宅・スマートハウス、自動車機械、電機用機械、FA・ロボット、スマートグリッドの12セクターになる。
そして、
FA・ロボットは連続[晴れ]マークにあり、中国における人件費の上昇を抑え込む、省力化努力、省人化投資の盛り上がりを予想する。
そんな感じだろうと思う。
そして
[曇り]から[晴れ]を予想するセクターは3セクターを数える。太陽電池、高吸収水性樹脂(SAP)、住宅・スマートハウスである。
と続く。
さらに
[雨]から[曇り]を予想するセクターは4セクターである。発光ダイオード(LED)、リチウムイオン電池、電機用機械、スマートグリッドはいずれも、当面は厳しいものの、年後半からの改善、需要回復・拡大が期待される。
そして、「晴れから曇り」、「曇りが連続」、とスマホ・タブレット分野とか、自動車部品関連などが続く。
実に大胆だが、細部まで検討された予報であると思う。
細部には、個別の企業の成功要因や敗因はあろうが、こうした「全国区の天気予報をする力」は、世界規模での大きな流れをつかむ上では非常に有用であると思う。
"細部を知ること"は実はとても重要だが、同様に"全体を把握するバランス感"はそれ以上に重要かもしれない。
自分がかかわる世界で、その世界の「天気予報を考える」ということは、あらゆる注意に勝る重要な点ではないかと思う。
若いうちから、そうした思考方法に触れ、"バランス感覚の優れた"能力を研鑽してもらいたいものである。
中小型成長セクター別の天気予報(上)
いちよし経済研究所はこのほど「3か月後」と「1年後」のセクター別天気予報をまとめた。まず成長セクター全体を、ハイテク製造業、耐久消費財、資本財製造業、社会インフラ、レジャー、サービス、小売・流通、バイオ・ヘルスケア、ITインターネットの主要9分野と捉え、さらにそれぞれを、2〜6のセクターに細かく分類した。その結果、中小型成長セクター全体は38セクターに分けられた。それぞれの業容は[晴れ][曇り][雨]で表示された。ハイテク製造業から社会インフラの一部まで 今回はハイテク製造業、耐久消費財、資本財製造業、それに社会インフラの一部を紹介する。小分類としては、半導体・液晶、発光ダイオード(LED)、太陽電池、リチウムイオン電池、スマホ・タブレット、高吸収水性樹脂(SAP)、自動車部品、住宅・スマートハウス、自動車機械、電機用機械、FA・ロボット、スマートグリッドの12セクターになる。2012年度の企業業績の改善予想を背景に、押し並べて3か月後と1年後のセクター毎の天気は回復歩調にある。FA・ロボットは連続[晴れ]マークにあり、中国における人件費の上昇を抑え込む、省力化努力、省人化投資の盛り上がりを予想する。
[曇り]から[晴れ]を予想するセクターは3セクターを数える。太陽電池、高吸収水性樹脂(SAP)、住宅・スマートハウスである。太陽電池はドイツの太陽電池メーカー大手のQセルズが破綻するなど海外市場は価格下落が続くも底入れも近い。国内市場は全量買取り開始を控え、本格的な需要拡大を予想する。価格下落が続く太陽電池メーカーでなく太陽光発電設備設置業などが注目されよう。高吸収水性樹脂(SAP)はアジア市場の生活水準の向上に期待すると伴に国内では高齢化社会関連として、大人用紙おむつ需要が期待される。住宅・スマートハウス関連では、首都圏の戸建住宅在庫に改善が見られないものの、秋口からの販売増加に期待がかかる。
[雨]から[曇り]を予想するセクターは4セクターである。発光ダイオード(LED)、リチウムイオン電池、電機用機械、スマートグリッドはいずれも、当面は厳しいものの、年後半からの改善、需要回復・拡大が期待される。リチウムイオン電池はスマホ用のリチウムポリマー電池の需要拡大は続いている。スマートグリッドは原子力発電所の休止等の影響が続くが、一方で電力有効活用も復興復旧計画にあり、スマートシティ計画に期待する。
一方、[晴れ]から[曇り]を予想するセクターは3セクターある。スマホ・タブレットに自動車部品、自動車機械の自動車関連セクターである。いずれも「3か月後」も好調が予想されるものの、意外に「1年後」が厳しい。スマホ・タブレットは米アップル、韓国サムスン電子の新製品需要向けに関連部品は夏場頃まで需要拡大が続く見込みだが、普及が続くほどに価格下落に向かおう。自動車関連2セクターも、当面は日米自動車メーカーの増産、挽回生産が予想されるものの、欧州景気の減速、国内生産の縮小リスクが顕在化しよう。
[曇り]が連続するのは、半導体・液晶セクターである。エルピーダメモリ破綻で底入れ観測あるも、世界的なデジタル機器の低迷が続きそうだ。スマホに加えウルトラブック等の新製品需要が期待される。次回に、社会インフラ分野の環境プラント、リサイクルの2セクターと、レジャー、サービス、小売・流通、バイオ・ヘルスケア、ITインターネットの主要5分野の24セクターを紹介する予定。合計26セクターのうち、連続[晴れ]マークは環境プラント、レジャー・遊戯施設、創薬ベンチャー、医薬品開発支援、電子商取引(e-コマース)、ネットワークの6セクターが上げられる。[曇り]から[晴れ]を予想するセクターは3セクターを数える。外食(レストラン)、眼鏡、モバイルコンテンツである。以下は次回に。
鈴木東陽(すずき・とうよう) 日本証券アナリスト協会検定会員。証券専門紙や経済誌、三洋経済研究所などを経て、現在、いちよし経済研究所シニアアナリストとして、投資セミナーや経済講演などに従事。