藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

価値観の未来予測。

自分が二十年も前、「金を稼ぐぞ」ということが、将来へのモチベーションの大きな一つだった。
同世代の若者は、多くがそんな感じだったと思う。
それはともかく。

その当時、「自分のそんな価値観が」二十年後、三十年後、五十年後、百年後、「いったいどう変わっているのだろう?」などということは想像だにしなかった。
自分の親の世代、そのまた親の世代から、あまり「経済的な豊かさへのあこがれ」という価値観は変わっていなかったと思う。
戦前、戦中、終戦、戦後、そして高度成長期の半世紀へと続く中では「価値観の目盛り」はあまり大差なかったのである。

新しい文化

低温世代、とは今の20-30代の若者を表現した言葉だという。
理由は、バブルを知らない、転職もしない、地方指向の若者のことで、草食系というのとどこか相通じる部分がある。
その世代の若者は、その約半数が「田舎で暮らしたい」のだという。
一億総「都会暮らし」の時代とはま反対。
変われば変わるものである。
それもともかく。

将来の価値観。

世の中、ファッションや流行の流行り廃りはあっても、価値観の目盛りそのものが「ま反対に変わる」などとはあまり想像しにくいものである。
まあ大戦と敗戦、などという激変のイベントがあればそういう事態もあろうが、これまで「働け、稼げ、前へ進め」とずっと言われ続けてきた時代が、いつしか「草食・低温」が流行りのの価値観の主流になろうとは、びっくりするばかり。

国のGDPが上がり、それだけ「豊かさの基準値が上がっている」ということなのだろう。
それでも「もっと上へ」という目線よりはよほど「品があって慎み深い」内容へと変化しているのかもしれない。
さもしいまでの競争や、合理化の追求よりはより熟成した人生観へと進化しているとも言えるのだろうか。

それにしても、その指向が「経済的なものかどうか」はともかく、上昇志向でない若者たちの世界というのも、ちょっと若さがないような気がして物足りないのは、自分だけだろうか。
内に「秘めた仄かな熱い思い」のようなものは若さの源泉、失ってほしくないと思うのである。

半数が「田舎で暮らしたい」、500人調査(若者、地方へ)
低温世代の経済学パート4(4)2012/3/30 7:00ニュースソース日本経済新聞 電子版
豊かな自然、安い物価、人のぬくもり……。大都会では得難い田舎暮らしの価値を享受しようと動き出す若者が増えている。どれくらいの人が田舎暮らしを望んでいるのか。いざ都会を離れ、田舎で暮らすにはどんな条件を求めているのか。バブル期の熱狂的な都会ライフを知らない20〜30代の「低温世代」と呼ばれる若者575人に率直な思いを聞いてみた。


■「敷地100坪の一戸建てに憧れる」――8割
まずアンケートから見えてきたのは、想像以上に田舎暮らしに憧れる人が多いことだ。「地方で暮らしたい」と回答した若者は半数近い47.3%に上った。
田舎に憧れを抱く理由は様々だ。「残業なしで、プライベートが充実」(30代前半、東京都の女性)「サザエさんのようなご近所環境」(20代後半、北海道の女性)「家庭菜園で自給自足。車も乗り回せる」(20代後半、兵庫県の男性)――。
「100坪の敷地に庭も駐車場もある一戸建て」。都会では多くの人が手の届かない住環境には79.3%が「憧れる」「まあ憧れる」と回答した。「通勤ラッシュと無縁の生活」は83.7%、「豊かな自然に囲まれた生活」も69.0%と高水準だった。
ただ田舎暮らしは、都会では当たり前の利便性を捨てることでもある。どんな環境であれば、実際に田舎で暮らせるのか。
アンケート調査は日本経済新聞電子版と婚礼施設情報サイト「みんなのウェディング」が共同で実施。同サイトに登録する20〜30代の会員を対象にインターネットを通じて2月23〜29日の1週間呼びかけ、575人から回答をもらった。地域別にみた回答者の内訳は、都会在住者(3大都市圏)が72.7%、地方在住者は27.3%だった。


近くにないと困るものを聞いたところ、7つの選択肢のうち、回答が過半数を超えたのは、意外にもコンビニエンスストアと総合病院だけ。大手学習塾に至っては、わずか7.1%だった。
さらに田舎暮らしをするうえで、どうしても避けて通れないものとして、不便な公共交通網や整備が遅れた生活インフラ、濃密すぎる近所付き合いなどがある。

■「水洗トイレなしは耐えられない」――9割
「耐えられない」という回答が88.2%を占めたのが、水洗トイレのない生活。次いで電車やバスが1時間に1本という交通網に耐えられない人が65.2%だった。月1回は地域行事に参加しなければいけないといった濃密な近所付き合いを嫌う人は41.0%にとどまった。
これまで田舎と都会のどちらで暮らしてきたかによって、田舎暮らしに対する意識に大きな差があることも分かった。
特に差が顕著だったのは、公共交通網に対する認識だ。電車が1時間に1本の生活が「耐えられない」という回答を地域別にみると、地方にずっと住んでいる人は36.9%にとどまった。
これに対し、都会にずっと住んでいる(または地方から都会に出て10年以上の)人は78.3%が「耐えられない」と回答した。都会に出て10年未満の人は中間の68.3%だった。
時刻表を気にかけなくても、5分も待てば電車が来る都会の利便性に慣れるほど、田舎の不便な公共交通網がストレスに感じられるようだ。

■都会生活短い人ほどラッシュが苦痛
一方、通勤ラッシュのない生活に「憧れる」と回答したのは、都会に出て10年未満の人が91.3%で最も多く、都会にずっと住んでいる人の84.4%を7ポイント近く上回った。
都会では朝の通勤ラッシュが消える日はない(JR新宿駅ホーム)
地方と都会の両面を知っているからこそ、通勤ラッシュのない生活に戻りたいという思いが強いようだ。
ちなみに、既に通勤ラッシュの少ない地方にずっと住んでいる人は77.1%だった。今回の連載企画で取材した島根県出雲市に住む山崎智子さんはこう話してくれた。
「通勤ラッシュといわれても、電車に座れない状況さえ知らない私たちには想像がつかない」
 なかなか都会の人には実感しづらい田舎暮らしだが、地方から都会に移り住んだ人であれば、その良さがはっきり分かるはず。そこで最後にこんな問いかけをしてみた。「都会に出て分かった古里の良さはありますか」――。
地方から埼玉県に移り住んだという30代後半の女性はこんな回答を寄せてくれた。「物価も安いし、水もおいしい。都会はすさんでいるように感じる」

地元の名所・旧跡で結婚を祝う「地元婚」を選ぶカップルも増えてきた(愛媛県松山市道後温泉本館前)
◆「地元婚」選ぶカップルも
今回のアンケート調査を共同で実施した「みんなのウェディング」運営会社社長の飯尾慶介さんは「最近、地元の名所・旧跡で地元の食材を使って結婚式・披露宴を挙げる『地元婚』が増えてきた」と感じている。一生に一度の晴れ舞台をホテルや専門式場で華やかに催すのではなく、「古里」を全面に出した形で祝いたい――。飯尾さんは若者世代の結婚式像の変化について「古里や人のつながりを重視する人が増えた表れではないか」とみる。こうした若者の強い地元意識は、田舎暮らしへの憧れとも重なる。
大都会を夢見るのではなく、人のつながりや緩やかな時間に包まれた田舎にひかれる低温世代の若者は今後さらに増えるのかもしれない。

■低温世代=就職氷河期の洗礼を受け、やっとのことで会社に入っても賃金は上がらず、好況といった浮かれた状況は知らないまま社会人として生活している世代。いくら働いても給料は上がらないので転職して給料を増やしたいという気持ちもあるし、やりたいと思う仕事もあるのだが、やっとの思いで入れた会社だから、失敗したらと思うと思い切って挑戦することもできず、そのまま現在の会社に残っている。
※「現代用語の基礎知識」(自由国民社)より抜粋