藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

筆記具回帰。

ずい分と欲しいものがなくなり、「これから夢中になれるもの」を探さねばと思う今日この頃。
それでも文房具への思いだけはなくなっていなかった。
思えばワープロの台頭以降、"手書きメディア"は防戦一方。
それなりのファンはいたが、衰退の一途をたどっている。

銀座の某文具店にて、愛用のボールペン(staedtler)の替え芯を探す。
ドイツのメーカーゆえになかなか見つからないが、店員さんが丹念にカタログをあたり、ついに在庫の切れた純正品以外に「適合する製品」を発見。
さすがであった。

でこれで、また次の会議から自由に赤インクが使える、とホッとした矢先。
店員さんと別のお客の会話が耳に入る。

「最近の書き味では、ジェットストリーム(インク)か、やはり"インジェニュイティ"ですね」
「あ、やっぱり?」
「ええ、賛否両論ありますが、ちょっと別格です」

むむむ。

「インジェニュイティはどこ?」別の店員さんに尋ねる。
「え?どちらの?」
「んー・・・パ、パイロット。確か。」
「ち、ちょっとお待ちください」
一分後。
「お客様、インジェニュイティは"パーカー"ですが?」
「そ、そうか。それ!それです!」

というわけでそのまま売り場へ。


結局その得体のしれないペン先(というか素材)からにじみ出る感触に、しばし試し書きをし、その場で購入してしまった。
「ど、どの色のペン軸にしよーかな」
「・・・」
「この黒もいいし、シルバーの装飾のもいいし・・・」
「あ、お客様の感じには、この銀のボディーのが」

というわけで、ちょっと高価な「新素材ペン先」の万年筆を購入。
そのまま食事をしながら提案書を書いてみる。

もはや、提案書の内容よりは、その書き味とか、書体とか、ペン軸の重心が何処にあるか、とかそんなことしか気にならない。

久しぶりの「文具熱中」の日だったのでした。

【後記】
その"インジェニュイティ"。
老舗文具屋さんで買ったのはよかったが、その後ネット検索してみると、21,000円のものがなんと、14,700円で売っていた。
orz...

恐るべしアマゾン。
恐るべしネット通販。