藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

生と食の間で。

ハーバード発。
炭水化物の制限食に危険あり、とのこと。
しかしそもそもローカーポ万能説を唱えたのも、ハーバード出身の医師である。
スウェーデンの30-50代女性を16年間追跡調査した結果だという。

まさか炭水化物の摂取量を分類しただけで、糖分はノーチェック、ということはあるまいが、「炭水化物を摂る必要がある」のか「糖分の過摂取を抑える必要があるのか」ということははっきりさせてもらいたい。

自分もいわゆる「スーパーローカーポ(一日当たりの炭水化物40g以下)」をしてきたが、これまで真っ向から「この理由で×」というの学説なかった。
むしろ血糖値や、糖尿病対策では不動の地位を確立しつつあった、といってもよいくらいだと思う。

具体的にはどのような研究内容だったのか、と思って少しググったら、なんとサマリーは日本語訳されているし、登録だけで原文も公開されている。
これぞネットの恩恵である。

決起的には「低炭水化物」が悪いのか「低糖」が悪いのか、あるいは「高タンパク」が原因なのかは、未だはっきりしていないようである。
直感的には「脂肪の摂取量」が何か関係しているような気もするが、まだあと数十年はデータの積み重ねが必要なのだろうと思う。
食事療法は大事だが、それ以上に「適度な運動量の確保」が健康には大きく関わっているとも感じる。
次世代の医師は、こうした生活習慣全体のことや、日常の運動量、そして食習慣について総合的にアドバイスする職業になってゆくだろうと思う。
今の専門医と対極をなす総合医療が、もう一つの柱になるに違いない。

低炭水化物ダイエットご用心…発症リスク高まる
炭水化物を制限する食事を長期間続けると、心筋梗塞脳卒中になる危険性が高まるとの研究を、ハーバード大などのグループが英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」に発表した。

 炭水化物を減らすダイエットが日本でも広まっているが、慎重に取り組む必要がありそうだ。
 同研究グループは1991〜92年、スウェーデンの30〜49歳の女性4万3396人の食生活を調査し、その後平均約16年間、心筋梗塞脳卒中などの発症を追跡調査した。
 1270例の発症例を、炭水化物とたんぱく質の摂取量によって10段階に分けて分析。炭水化物の摂取量が1段階減り、たんぱく質の摂取量が1段階増えるごとに、それぞれ発症の危険が4%ずつ増えた。一般的に炭水化物を制限する食事では高たんぱく質になる傾向がある。低炭水化物・高たんぱく質のグループでは、そうでないグループに比べて危険性が最大1・6倍高まった。
(2012年7月8日09時52分 読売新聞)

低炭水化物高蛋白、心血管リスク2012年06月29日 ソース:BMJ カテゴリ: 一般内科疾患 ・循環器疾患 ・内分泌・代謝疾患
文献:Lagiou P et al.Low carbohydrate-high protein diet and incidence of cardiovascular diseases in Swedish women: prospective cohort study.BMJ 2012;344:e4026.
 スウェーデンで30-49歳の女性4万3396人を対象に、低炭水化物-高たんぱく質食と心血管疾患の関連を前向きコホート研究で検証。平均15.7年の追跡調査で、たんぱく質摂取量の10分の1の増加、炭水化物摂取量の10分の1の減少、または低炭水化物-高たんぱく質スコアの2単位増加が心血管疾患の増加と統計学的有意に関連した。
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