検索のグーグル、スマホとコンテンツ配信の米アップル、通販の米アマゾン・ドット・コム、交流サイトの米フェイスブック。
いよいよPCの時代が終わろうとしている、という話。
スマホが17億台普及し、この短期間にPCの四倍になったという。
ハードウェアの革新が「閾値越え」をした時の恐ろしさ、を象徴している現象だがその勢いは凄まじい。
ハードも進化するが、ソフトも進む。
LINEを始めとする無料通話、無料あるいは100円程度で販売されるアプリ群。
どれもが十年前には想像だにできなかった存在である。
これらを「現場で目の当たりにしながら」ただ傍観してきた自分、というものについては、改めて考え直さねばならないと思う。(訝)
ソニーがそのカメラ技術をデジカメからスマホへシフト、とか3Dプリンターが注目されたり、とか「どこか下らないような用途」にせよ、
デジタルの革新は止まらない。
良くも悪くもひっくるめてともかく"突進"するのが成長分野の持つ破壊力だろうか。
ともかくそんな進化を「高い解像度の目」で見ていたいものだと思う。
後から振り返ると「あっという間だった」というしかなかった先人たちはとても多いのだ。
モバイル革命 IT盟主争い、主役は新ビッグ4へ
グーグル・アップル・アマゾン・フェイスブック
IT(情報技術)業界の勢力図が激しく変化し始めた。競争の最前線はスマートフォン(スマホ)などモバイル端末。2016年の世界需要はパソコンの4倍の17億台にのぼり、従来の競争ルールはもう通用しない。新たな盟主の座をうかがう攻防の現場を追った。■パソコンいらず
都内の高校に通う鈴木美佳さん(仮名、18)はスマホ歴1年。今ではすっかり生活に定着した。友人とは交流アプリ(応用ソフト)を楽しむ。話したいことを打ち込むと美佳さんの顔写真と吹き出し文字が画面に出る。友人も同じように返信する。時折使う通話機能も含め無料だ。英単語は単語帳アプリで覚える。通う塾がスマホに配信する入試対策講座も受けるつもりだ。「もうパソコンは使わない」
博報堂DYメディアパートナーズの調査によると現役高校生の4人に1人は初めて買うモバイル端末がスマホ。今、世界中で増えるスマホネーティブたちは常にネットにつながりITサービスを享受する。11月20日、パソコン世界最大手の米ヒューレット・パッカード(HP)は2四半期連続の赤字決算を発表した。子会社の減損処理が主因だが、パソコンの減収も響いた。「好転には数年かかる」。メグ・ホイットマン最高経営責任者(CEO)も苦境を認める。
「なぜモバイル分野で主導権をとれないのか」。11月28日、米マイクロソフト(MS)の株主総会で株主が経営陣に詰め寄る一幕があった。「ソフト会社であり続けたい」(創業者のビル・ゲイツ会長)としてきたMS。「ソフトだけではイノベーションを起こすのが困難なこともある」。スティーブ・バルマーCEOは弁明した。
IT市場をけん引してきた両社でさえ方向を見失う構造転換が進む。1940年代のコンピューターの誕生、70年代のパソコンの登場、90年代のネットの普及。そしてスマホとタブレット(多機能携帯端末)が急増する今、IT革命の現場はモバイル端末に移った。
「IT市場は新ビッグ4が引っ張る」。米グーグルのエリック・シュミット会長はそう読む。検索のグーグル、スマホとコンテンツ配信の米アップル、通販の米アマゾン・ドット・コム、交流サイトの米フェイスブック。4社はモバイル市場を見据えた製品やサービスの開発にアクセルを踏む。一方でパソコン時代の覇者、HP、MS、米インテルの3社は株価も振るわない。
■デジカメも侵食
モバイル端末が生む経済圏はパソコン以外にも及ぶ。世界需要が合計年2億台のデジタルカメラ、ゲーム機、カーナビ。日本勢が得意な分野も飲み込み始めた。ソニーは画像センサーの軸足をデジカメからスマホにシフト。2012年度までの3年間で生産能力の増強に2200億円を投じる。ゲームでもネット上で遊ぶ技術を持つ米ベンチャーを約300億円で買収した。
HPが赤字決算を発表した日のニューヨーク。ある開店イベントに人だかりができた。素材を塗り重ねて置物やアクセサリーなどの立体物をつくる「3Dプリンター」で2割のシェアを持つ米メイカーボット・インダストリーズの店だ。
多くが業務用だが同社が扱うのは個人向け。立体物の設計図はネットから取り込むのが一般的だが、スマホアプリで立体物を容易にスキャンできるようにした。店頭では1台約18万円の装置がすでに100台売れた。「誰もがイメージを形にできる」。ブリー・ペティスCEOはスマホ時代の新市場に期待する。
米JPモルガン・チェースはアップルの新型スマホ「iPhone(アイフォーン)5」発売が関連市場を創出、米国の10〜12月の国内総生産(GDP)を最大0.5ポイント押し上げると試算。日本でも総務省はモバイル端末が年7.2兆円の経済効果を生むとみる。
だが、その担い手となる企業の新旧交代は容赦なく進む。今の勝ち組も安泰とは限らない。