藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

時代の空蝉。

つくづく、評論家は評論家である。
と言われても仕方ない。
政権が代わり、ただそれだけで「金融緩和」を振りかざす政策に、市場は敏感に反応している。
日経の記事では日経平均は1万3000円、一ドル=100との予測が踊っている。


自分は社会人になり、すぐにバブルになり、それが弾けたときに感じた「理不尽さ、周囲の胡散臭さ」を忘れえない。
今回の政権交代にも似たようなにおいを感じるのである。

国の実態が何も変わらず、税制も特に見通しも変わらず、ただ通貨政策だけが強気で走り出す。
だれもが「金融緩和礼賛」ムードなのは、往年の「土地信仰」のそれに酷似している。
通貨安がなぜいいのか(輸出には一面的にはいいだろうが)、、結局エネルギー政策とか、税制とか、公共事業の在り方とか、多次元方程式は未だ全然解かれていない、と感じられて仕方ない。

しかもこの方程式は、「他との関連性」を考えねば一つ一つを簡単には決められない。
通貨政策は輸出にも輸入にも、エネルギーにも食糧にも、製造業にもただちに関わってくる問題である。


金融緩和で、国内の公共事業にまず水をばら撒く、というのはこの多次元方程式の「一つの変数に値を与えた状態」に過ぎない。
インフレとか、社会保障費の増大とか、移民政策とか、教育とか、法人税制とか、いくつもいくつも絡み合う要素を場合分けし、全体の整合性をとってゆくという、実に数学的な試みなのである。

通貨はインフレ誘導するが、海外の税制はどうするのか。
国内の税制は高福祉型に切り替える方針か、それとも経済成長重視型か。
その場合にはライフラインをどう考え、国民に説明するのか。

もう時代の流れだろう、地方分権への変化はどのように指揮してゆくのか。
道州制を敷く中で、そうした自立の素地のない自治体や地方のブロックへの指導や暫定措置はどうするのか。

あまりにも変数の多い方程式は、考えてみてやる気が失せてしまうが、こうした国の問題は「ある方針、哲学のもとに一つ一つを意思決定してゆく」ということが可能であると思う。

金融緩和とか、国債発行による公共事業とか、「一時にしか過ぎない策」ではない、システムの構造改革につながるようなことに予算を使わねば、間もなく日本の国債は(国民の貯蓄の裏付けがなくなり)未達なになり、財政破綻が近いと言われている。

リーダーシップが発揮できるかもしれない、という珍しい「追い風環境」のなかである。
ぜひとも「連続性のある政策の実施」を願いたい。
日経平均や円相場は、それ自体が何かの意思をもつものではない。

株→1万3000円、円→100円 25年の相場、エコノミスト強気の予測も
 安倍晋三政権の経済政策への期待感と、円安の追い風を受け、年初来高値を更新して締めくくった平成24年の東京株式市場。25年は、円安・株高の勢いを続けることができるのか。民間エコノミストによると、株の高値は1万3千円、円ドル相場の底値は1ドル=100円と強気の予測もある。
 「年明けの株式相場を牽引するのは、日銀の金融政策の強化と、新体制への期待感」。富士通総研経済研究所の米山秀隆上席主任研究員はこう指摘する。
 市場では日銀が1月21、22日の金融政策決定会合で2%の物価目標導入に踏み切るとの観測が支配的。4月の白川方明総裁の任期切れを受け、物価目標政策に積極的な人材を軸に後任選びが本格化し、デフレ克服の期待が高まる。
 しかし、世界経済は楽観できない。米国の「財政の崖」問題や欧州債務問題への懸念が再燃、「株価の上値を抑える」(SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミスト)可能性もあるほか、日中関係悪化が長引くリスクも残る。海外リスクは輸出企業の株価に影響を与えかねない。
 次の焦点は、夏の参院選を乗り切った安倍政権が、本格的な経済政策に乗り出すときだ。株価の上下幅が大きくなるとの見方が強く、市場は輸出の回復を頼みにする。
 第一生命経済研究所の嶌峰義清首席エコノミストは「米経済が本格回復し、円安ドル高が加速する」と期待を込める。
 一方、安倍政権が国債増発に動くとの思惑から長期金利が上昇(国債価格は下落)するリスクもあり、足元では、やや高めに推移している。今後、急騰するとの見方は少ないが警戒は必要だ。