藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

成熟社会への入り口。

年収431万。
生活実費540万。
税外収入のヘソクリは41万。
そして「資産を担保にして455万円の追加借り入れ。」である。

借金だけで合計7500万円。
経営者が考えるべきは「今後の姿」である。
収入を増やすか、支出を減らすか。
そもそもこれからの家族構成や外部環境はどうなるか。

外部の稼ぐ環境は、急に海外市場でも開かぬ限り改善しそうにない。
かといっていきなり副業を始めて成功する確率は低いことも想像がつく。
今の収入を前提に何を控え、何を進めていけばいいのか。
アベ家が決めねばならないのはその方向そのものである。

今すぐすべてが決まらなくてもいいのだ。
ただ「経済成長しかない」という旗印の下で無理やりな政策を考えても破たんするのは、個人の家計ではよくあることである。
稼げなくても暮らせる知恵、暮らせる文化をいよいよ作る時代に日本も来たと思う。
きちんと成熟できるかどうかが問われているのである。

年収431万円で生活費540万円…「アベ家」
政府の2013年度予算案について、歳入と歳出の単位を1兆円から10万円に置き換え、「アベ家」の家計に例えてみた。地方の大学に通う息子への仕送り(地方交付税など)を減らそうと思っているが、借金は増えるばかりで、台所事情はますます厳しい。
 昇進したアベさんの13年度の年収(税収)は431万円で、前年度より少しだけ増えそうだ。しかし、住宅や自動車ローンなどの返済(国債費)だけで222万円を取られる。息子には家庭教師のアルバイトに精を出してもらうつもりだが、164万円は必要だ。
 高齢になった同居する親の医療費や介護費用など(社会保障費)に291万円かかる。自宅が古くなっているので、地震にも耐えられるように、53万円かけてリフォーム(公共事業費)もしなければならない。高校生の娘の学費(文教・科学振興費)などを含め、仕送り以外の生活費は年間で540万円かかる見通しだ。
 お金は出る一方なので、奥さんのヘソクリ(税外収入)41万円にも手をつけざるを得ない。それでも資産を担保に入れて、455万円の新たな借金(新規国債発行額など)を銀行に頼みにいかなければならない。
 このままでは、積もり積もった借金の残高(国債発行残高)は13年度末には7500万円までに増えてしまいそうだ。会社の業績も今ひとつで、昇進後の給料は増えそうにない。仕送りをもっと減らしたいが、息子は怒るだろうし、悩みは深い……。
 (河野越男)
(2013年1月30日10時05分 読売新聞)