藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

{ウェブ進化論}[次の世代に]自動車の未来。

つくづく、自分の生きている時代のことは捉えにくいものである。
もう相当便利なのに、さらに上、さらにその先、と常に進化してきた人類。

自動車や電車などの交通機関も、もう都市部ではこれ以上ないほどに張り巡らされている。
数百年前の人が聞いたら腰を抜かすほどの交通網。
そして数百年前の人が信じられないだろう通信網、が生活に溶け込んでいる。
自家用車などは、江戸時代から考えれば、現代の「空飛ぶ自動車」くらいのインパクトはあると思うが、今では誰も驚かない。

そして、さらに自動車は進化するという。
自動操縦。
そして、その技術の先端は、地図情報などで先んじているgoogleだというのだ。
自動車メーカーは「ハードに腐心」して、完全において行かれた格好になっている。
こちらでも"ソフトウェアの勝負"になっている。
思えば、二十世紀からの革新はすべて「ソフトウェア」がキーワードになっている、と思うのは自分だけだろうか。

もう充分「そんな意識」になっているつもりだが、自分たちはまだまだ"ソフトウェア革命"のとば口にいるのかもしれない。
先日も17才の少年の開発したアプリが高額で買収されたが、こうした出来事もこれからが本番なのではないだろうか。
社会の「ソフト化」はこれから始まると思っておいた方がよさそうである。

「自動運転」は破壊者か 攻めるグーグル、悩むトヨタ
2013/3/28 7:00ニュースソース日本経済新聞 電子版
 「究極の自動車」ともいえる自動運転車の開発に、世界の企業が取り組み始めた(図1)。意外なのは、自動車開発とは無縁に思える米グーグル(Google)が先頭を走っていることだ。スマートフォンスマホ)関連事業で成功したビジネスモデルを、自動車の世界に持ち込む狙いが透けて見える。自動車メーカーはグーグルを警戒しつつ、開発のアクセルを踏み始めた。
図1 自動運転のイメージ(写真:Volvo
 自動運転車の開発を進めたいのに躊躇(ちゅうちょ)している――。
 2013年1月に、米国ラスベガスで開催された世界最大のエレクトロニクス関連展示会「International CES 2013(CES)」。トヨタ自動車による無人での自動運転を実現する実験車の発表では、同社が苦悩する姿が浮き彫りになった。
図2 トヨタが開発中の自動運転車。LexusブランドのHEV「LS600hL」がベースで、無人走行が可能。レーダーやカメラなどのセンサーがむき出しで、実験車と一目で分かる外観である。現在、米国ミシガン州の公道で実験中だ
 発表の場で新しい技術の利点をじっくり説明するわけでもなく、持ち時間の45分のうちわずか10分強で説明を切り上げた。その上、無人で走れる実力がある実験車を披露したにも関わらず、「自動運転を目指した車両ではない」(トヨタ)と説明はちぐはぐだった。
 外観は無骨だが、技術的には高い水準に達する車両である(図2)。自信を持ってアピールするのにふさわしいものだ。トヨタの態度が煮え切らないのはなぜなのか。
■自動車ビジネスを根底から覆す?
 背景には自動運転車が、自動車メーカーにとってもろ刃の剣になる危険性をはらんでいることがある。「究極の安全技術」(トヨタ)として最大の課題である交通事故を大幅に減らし得る一方で、これが実現するとこれまでの自動車ビジネスが根底から覆る可能性がある。
 そんな危機感をあおるのがグーグルだ。自動車開発とは無縁に思えるソフトウエア開発企業の同社が、世界で始まった自動運転技術の開発競争をリードしている。
トヨタが認める高い技術水準
図3 グーグルが開発中の自動運転車。トヨタの「Prius」がベースの車両。米国ネバダ州やカリフォルニア州の公道で実験中。この車両のほか、トヨタLexusブランドのSUV「RX450h」や、Audi社の「TTS」をベースにした車両もある。トヨタの車両と同様に360度方向のレーザーレーダーを屋根に搭載する
 グーグルが自動運転車を最初に発表したのは2010年のことだ(図3)。以来、急ピッチで開発を進めており、現在までに10台以上の実験車を開発した。
 既に公道で実験中で、これまでに全車両の合計で30万マイル(約48万km)以上を走らせた。しかも、自動での運転時に事故を一度も起こしていない。グーグルの開発リーダーと話したトヨタの幹部が「極めて優れた技術」と認める水準に達している。
 なぜグーグルは自動運転技術の開発に熱心なのか。一つには、自動運転技術の中核と同社の事業の親和性が高いことがある。自動運転技術を磨くことで、「Google Maps」などの地図サービスに必須(ひっす)の地図情報を格段に充実したものにできるのだ。
 自動運転技術では、車両に搭載したセンサーを使い、あらかじめ作った3次元の地図情報と走行中に収集する周囲の情報を照合することで自車の位置を推定し、最適な走行経路を計算する。地図情報を基に計算する技術が自動運転には極めて重要であり、これはグーグルの得意とするところだ。
■真の狙いは「自動運転OSの開発」
 同社の狙いは既存事業の強化にとどまらない。自動車メーカーがあせりを覚えるのは、その先にもう一つの狙いがあることだ。自動運転車のOS(基本ソフト)の開発を手掛けようともくろんでいることだ。
図4 グーグルが描いたロボットOSの適用先のイラストには、クルマが大きく描かれている
 グーグルは最近、スマホだけではなく通信機能を有するあらゆる端末のOSを開発することを狙っており、その矛先の一つにロボット分野がある。そのロボットOS(Robot OS:ROS)に、自動運転技術の開発で培ったソフトウエアを取り込もうとしている。
 2011年5月、グーグルはROSの開発を手掛ける新興企業の米Willow Garageと提携した。グーグルのスマホ向けOS「Android(アンドロイド)」で、ロボットを制御する技術を開発するのが狙いだ。その提携に際して見せたROSの適用先を示したイラストに、グーグルはクルマを大きく描いている(図4)。
■最悪のシナリオは「電機メーカーの二の舞」
 完全に自動化された自動車は、見方を変えれば“車輪のついたロボット”である。その上、テレマティクスサービスが普及しつつある自動車は通信端末でもある。自動車ビジネスの市場規模の大きさを考慮すると、「ROSを適用したい分野の筆頭」(ROSを研究する産業技術大学院大学教授の成田雅彦氏)と言えるだろう。
 ROSの実現は、これまでの自動車ビジネスを覆す可能性がある。グーグルのスマホ事業と同じ構図が見えるからだ。同社はスマホ事業で、優れたOSをいち早く無償で提供することで、市場の主導権を握った。
 そして自社の地図や検索のサービスと組み合わせることで大きな利益を生み出す。一方でスマホを開発する電機メーカーは、グーグルのOSに合わせて開発を進めざるを得ない従属的な立場に甘んじている。
 自動運転車が実現すると、スマホと同様にクルマの価値はソフトウエアに左右される比率が高まり、ハードウエアの価値は大きく下がる(図5)。エンジンやステアリングなどにこだわって実現してきた「走る楽しみに商品力はなくなる」(アクアビット代表取締役の田中栄氏)からだ。
図5 自動運転車の中核技術はソフトウエアである。そのOSを開発する企業が、将来の自動車開発の主導権を握る可能性がある
 冒頭で示したトヨタの発表は、そんな未来に対する不安の表れだ。それでも電機メーカーの轍を踏まないために、自動車メーカーは開発を進めるほかにない。
(日経Automotive Technology 清水直茂)
[日経Automotive Technology 2013年3月号の記事を基に再構成]