藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

ウェブ税制。

ウェブ上で活動範囲を拡大する企業に課税するのは誰か。
もともとの国際間取引でも問題になるテーマが、いよいよ本格化する。
今でも「サーバーがどこにあるか」ということがしばしば「アクセスの守秘義務」とか「事業者の特定」などで取りざたされてきたが、いよいよ「ウェブカンパニーはどこの会社か」ということが問題になってくる。

さらに事態はもう一歩進んでいる。

(アマゾンは)徴税で各州に協力する代わりに物流センター増設で公的支援を引き出す「したたかな戦術」(米メディア)に転換した。

もうデファクトとなったウェブ企業は、いち早く立ち位置を変え、「物流業者」としての意思表明をしているということになる。
つまり「実際にコストが比可及的に膨らむリアル世界の物流」を優先し、ウェブ上のコストに目をつぶるということである。

ウェブの最大の特徴、特性である「通信・決済の利便性」への課税にはあえて抵抗せず、もっともコストの下げにくい「リアル物流」での税制優遇を引き出すという、非常にしたたかな方針になっている。
これからのウェブカンパニーの戦略にも大きな影響を与えるだろうアマゾン税は、今後の世界標準になるだろうか。

リアル世界は、常に一歩先を追いかけていかねばならないものである。

米で「アマゾン税」賛否、業界も議会も賛否割れる 州財政救済へ上院が法案可決
2013.5.18 20:44
 【ワシントン=柿内公輔】米インターネット通販大手アマゾン・コムなどのオンライン小売業者への課税を強化する「アマゾン税」と呼ばれる税制論議が米国で高まっている。ネット通販の普及と、財政難にあえぐ自治体の台所事情が背景にあるが、導入をめぐっては業界や議会内でも賛否が割れている。こうした中、議会上院は6日、各州に売上税(日本の消費税に相当)徴収を義務づける法案を可決した。
 全国一律の連邦消費税がない米国では、一部の州を除き、オンライン業者は州外で販売した商品に対しては売上税の徴収が免除される。厳密には消費者が納付義務を負うが、自己申告のため、「多くの米国民は知らず知らず“脱税”している」(民間コンサルタント)とも指摘されてきた。
 だが、インターネットの普及と、割引やスピード配送を売り物にしたオンライン業者の台頭で、既存の小売業者との競合が激化。米調査会社によると、昨年の年末商戦でオンライン販売の売上高は前年同期比16%増の387億ドルに上った。
 上院が可決した法案は、年商100万ドル(約1億円)以上のオンライン業者への徴税義務を州に課すもの。ウォルマート・ストアーズなどが中心の全米小売業協会(NRF)は「公平な税制に向けた重要な一歩」と歓迎する。税収増につながる各州の期待は強く、財政が危機的なカリフォルニア州はすでに導入している。
 だが、事態は複雑だ。ネット通販最大手で新税の標的とされたアマゾンは、当初の反対から一転して賛成に回った。大手業者は経営体力もあり、徴税で各州に協力する代わりに物流センター増設で公的支援を引き出す「したたかな戦術」(米メディア)に転換した。一方、零細業者は徴税事務などの負担を懸念し、ネット競売大手イーベイは「中小業者を守るべきだ」と訴える。米シンクタンクヘリテージ財団も、各州で税率が異なり、州政府も顧客の購買情報を追跡する負担が増すと指摘する。
 増税に抵抗する野党共和党には「税収に飢えた州による強奪だ」との慎重論が多い。だが、流通業者の支持を受ける議員もいるだけに、共和党が主導権を握る下院でも法案が通過する可能性もある。