藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

デジタル世界の税金について

*[ウェブ進化論]リアルの"国"とは違う世界を。
最近いろんな先進国が、ITの超大手企業を相手になんとか課税しようと躍起だ。
フランスは当初、欧州連合EU)レベルで多岐にわたるデジタル税の導入を目指したが、アイルランドスウェーデンデンマークの反対に遭い、必要な全会一致の承認を得ることができなかった。
EUレベル、というのがどうもしっくりこない。
ユーラシア大陸だけの話ではないだろう。
さらにはこうだ。
ある世界的なIT企業の幹部はこう話す。「我々のビジネスモデルでは、税金を支払うべき場所を厳密に特定しにくい場合がある。欧州でもっと税金を払うことになるのは構わないが、その場合には米国での課税が減らなくてはならない」。
さてさて。
どこまでも広がる一方のネット社会での税金とはなんだろうか。
デジタル社会では「どこか一つの国」というのが存在しない。
だから「デジタル帝国そのもの」が一つの国だろうと思う。
今のようにEUとかアメリカとか中国とかいう「リアルの国」の単位の話はやめて「デジタル国」の単位で税金を課し、さらにその使い途も「デジタル国内」で考えてはどうだろうか。
デジタル企業に国籍があるから、といってそれをリアルな国の税金と結びつけるから話がややこしくなる。
デジタルはデジタルで閉じて考え、必要なインフラとかセキュリティについて応分のインフラ投資などを考えるのが自然ではないだろうか。
利用ユーザーの数に応じて、国ごとに税金を配分するような方法もあると思うが、どうもサイバー経済にはしっくりこないと思う。
デジタル帝国こそ国境を越え、みんなで運営していってはどうだろうか。
 
「デジタル税」、米仏対立の裏にあるのは?
2019年7月12日 13:51

Financial Times

米国の巨大IT(情報技術)企業に狙いを定め、フランス国内でのデジタル取引に課税するというマクロン大統領の計画をめぐり、米仏両国の間では数カ月前から緊張がくすぶっていた。だが今週、トランプ米政権がフランスのデジタルサービス税について、米企業の不当な差別にあたらないか調査を開始するという攻撃的姿勢を取ったことで、一気に緊張が高まった。調査は最終的に、仏製品への懲罰的関税につながる可能性がある。すでに高まっている大西洋間の貿易摩擦が大きく悪化しかねない事態だ。

トランプ政権はどこまで本気なのか

 
フランスのデジタル税導入で貿易摩擦の暗雲がたちこめてきたマクロン仏大統領(左)とトランプ米大統領=ロイター
デジタル税を理由にフランスを懲らしめるという脅しは、トランプ氏がツイッターで示したものではなく、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表による正式な動きだ。いわゆる米通商法301条に基づき、課税が不公正な貿易慣行にあたらないか調査する。米国が中国との貿易戦争で用いているのと同じ法的枠組みであり、同じように真剣な姿勢ということになる。
USTRはフランスのデジタル税によって生じる米IT企業の損害について、時間のかかる評価作業に入る。その間に仏政府との協議で問題に決着がつかなければ、意見公募の期間を経て仏製品への追加関税発動に進めることになる。しかし、米政権がこのプロセスを終えるまでに1年以上かかる可能性もあり、すぐに関税が発動されることは考えにくい。

デジタル税のどこが問題なのか

フランスは11日、世界で7億5000万ユーロ(約920億円)、仏国内で2500万ユーロ以上の売上高を持つIT企業を対象に、ネット事業の売上高に3%を課税する先駆的なデジタル税の導入を決めた。消費者に関するデータを利用するオンライン広告の売り上げが主な対象で、アルファベット(グーグルの持ち株会社)やアップル、フェイスブックアマゾン・ドット・コムなどの米企業に加え、中国、ドイツ、スペイン、英国の企業など合計約30社が影響を受ける。仏企業も1社、ネット広告会社のクリテオが該当する。
仏当局は、幅広い国際合意がまとまるまでの一時的な措置だとしている。フランスは当初、欧州連合EU)レベルで多岐にわたるデジタル税の導入を目指したが、アイルランドスウェーデンデンマークの反対に遭い、必要な全会一致の承認を得ることができなかった。仏当局は今年のデジタル税収に5億ユーロを見込み、以後急速に増加するはずだとしている。

調査の次の標的は英国?

デジタルサービス税の導入計画で、英国もフランスのすぐ後を追っている。11日には、英国内でのSNSやネット検索、ネット通販による売り上げに2%課税する内容の法案が公表された。対象となるのは世界で5億ポンド(約680億円)以上、英国内で2500万ポンド以上の売上高を持つ企業だ。EU離脱をめぐる争いの中で立ち往生してしまわない限り、来年4月に導入され、2022年までに税収は年間4億ポンドに達する見込みだ。
この法案は英議会で幅広く支持され、米国の脅しを受けても承認される可能性が高い。閣僚らは、英国の法案も米国に目をつけられることを承知の上で推進する覚悟だ。ジェシー・ノーマン財務下級大臣は法案の公表に際し、「的を絞り、バランスも取れた」内容で、デジタルサービス税に関する国際合意がまとまれば撤回されると述べている。

国際的な取り組みは成功するか

欧州主要国の政府は以前から、自国内で巨大IT企業が得ている利益に課税できないことに不満を募らせていた。例えば、ハモンド財務相は昨年の予算演説で「前進は痛々しいほど遅い」と述べ、「いつまでも話を続けているわけにはいかない」ので単独行動に踏み切るべき時だと主張した。
EUでデジタルサービス税を導入しようとする動きが18年末に立ち消えになった後、20カ国・地域(G20)や経済協力開発機構OECD)の下で世界レベルの合意をまとめ上げることが目標となっている。今年6月、単独行動での課税が現実味を帯びるなか、G20財務相は「合意に基づく解決への努力を倍加し、20年までに最終報告をまとめる」ことで合意した。世界レベルでの解決策の模索では、公平かつ他の収益税の原則に準拠して巨大IT企業の利益に対する課税を分配するという問題が、各国の合意が得られない障害となっている。

シリコンバレーの反応は?

米国のIT企業は、デジタルサービスに追加課税しようとする欧州の動きに強い怒りを示している。二重課税につながりかねないとの主張だ。ある世界的なIT企業の幹部はこう話す。「我々のビジネスモデルでは、税金を支払うべき場所を厳密に特定しにくい場合がある。欧州でもっと税金を払うことになるのは構わないが、その場合には米国での課税が減らなくてはならない」。業界内では、フランスの計画に強硬姿勢を取ることをトランプ政権に期待する声が多いが、米国がOECDでの多国間協議を利用せずに一方的行動を取ることへの懸念も広がっている。企業幹部が最も恐れているのは、各国が保護主義の動きを強めて負の連鎖を呼ぶ貿易戦争に巻き込まれることだ。
By James Politi, Kiran Stacey, Harriet Agnew & Chris Giles
(2019年7月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/